穏やかなるかなカルネ村   作:ドロップ&キック
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カルネ村の住人は、基本モモンガ様とキーノ嬢の影響を強く受けています。
何が言いたいかというと……多かれ少なかれ中二病感染(中二ハザード)気味です(特に戦闘職)

あっ、ラストにネムのキャラシート入りっす(^^




第22話:”一騎当千”

 

 

 

不可視化を切った最初の一太刀でニグンを屠り、着地と同時に数々の武技を発動。

エンリの多目標ロックオンの空間座標攻撃で、天使による武力展開を一時的に失っていた陽光聖典相手に赤い具足姿のハムスケは変化自在の尻尾を鋼線で編み上げた鞭のように振るい一撃で5名、ネムは蒼天画戟の高速横薙ぎで間合いにいた3名に首を跳ね飛ばしていた。

 

「”カルネ村七星剣”が一匹、”聖獣”ハムスケ!」

 

「同じく”カルネ村七星剣”が一人、ネム・”狂戦士(ジ・ベルセルク)”・エモット!!」

 

「「ここに推参っ!!」」

 

唖然とする陽光聖典相手に華々しく見得を切る一人と一匹!

そう、このコンビが野生の勘に磨きをかけた元”森の賢王”と、こと攻勢ポイントを見極める戦術眼と天性の直感なら姉すら凌ぐバーサークな妹が、『エンリに天使の悉くを一撃で落とされ呆然とする』なんて好機を見逃すはずがなかった。

お供のゴブリン・ライダーは突撃させるには少々危険なので周囲の警戒に走らせ、本当の単騎突撃だ。

 

なら、さらに動揺と混乱と殺戮を広げるため奇襲にて真っ先に大将の首級(みしるし)をあげるのも必定であろう。

ネムは戟を片手に握り直しながらサムズアップとウインクを決め、

 

「ゼロお兄ちゃん、デイブお兄ちゃん、もたもたしてるとネムとハムスケが全部食べちゃうよ♪」

 

それは過言ではない。

初太刀で馬ごとニグンを縦に真っ二つにし、その後に計8人をこの世から解放してるのだ。

放って置けばこのコンビだけで全てが終わってしまう。

 

 

 

ややもすると挑発的な言葉を向けられたゼロとデイバーノックは顔を見合わせるが……

 

「なあ、デイバーノック……ここは大将首を上げた我らが七星剣のマスコットに、このまま花を持たせてやるのが大人の対応というものだろうが……」

 

「つまらんことを言うな、友よ。我らは偉大なる師匠(マスター)に比べれば未熟、頭に卵の殻をつけたままの雛だ。であるならば、雛には雛らしい態度と言うものがある」

 

「そうだな。その通りだ。我らは未だ未熟。ならば……《能力向上》《能力超向上》《鉄壁》! 目覚めよ! 足の豹(パンサー)、背中の隼(ファルコン)、腕の犀(ライノセラス)!!」

 

「竜よ! その吐息で敵を焼き尽くせ! 《ドラゴン・ライトニング/龍雷》!!」

 

「そうこなくっちゃネ!」

 

「で、ござるなっ!」

 

 

もはやその顛末は語る必要すらないだろう。

ただ、エンリの……

 

『みんな! (たお)すのはいいけど、馬はなるべく生かしておいてくださいね~~~っ!!』

 

という戦場とは思えぬ暢気な声が妙に印象に残った。

ただし、ゼロとデイバーノックは気がついていない。

落ち着いてるように見えて、モモンガもキーノも存外大人気ないということを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

「あれ? イビルアイ様、どうしたんですか?」

 

陽光聖典を殲滅し終えるタイミングをまるで見ていたように魔法で転移してきたのは、赤いマントに仮面がトレードマークの小柄な少女、かつて”国堕とし”と恐れられた250歳越えの吸血姫にして、共に過ごした長き旅路の間にモモンガの女性のストライクゾーンを思い切り()()()()し、見事に正妻の座を射止めた張本人……イビルアイことキーノ・ファスリス・インベルン嬢であった。

ん? 意外と策略家? いや、残念ながら普段のモモンガの周りで今にも猫耳と尻尾生やしてコタツでまどろむ猫っぽくなりそうなくらいふにゃけてる姿を見てる限り、その線は薄いだろう。

 

ちなみに仮面装着時は村の外だろうと内だろうと、村人以外が居ようと居まいと基本”イビルアイ”で通すのが掟だ。

カルネ村の住人は、ホントによく訓練された村民だと思われる。

もっとも村内をうろちょろするときに仮面をつけてるのは、村外の人間が村に居るときくらいだが。

 

「なに。お前達だけじゃ屍を運ぶのも大変だろうと思ってな」

 

と虚空から次々と取り出したのは、マジックアイテムの”安眠の屍衣(シュラウド・オブ・スリープ)”だった。

死体の維持だけでなく蘇生の時に色々と特典がつく中々の逸品だ。

 

どうでもいいが……虚空から取り出すとは、モモンガから何かアイテムを貰ったのだろうか? いや、原作より大幅にLvが上昇してるキーノのことだ。もしかしたらその手の魔法を自己開発したのかもしれない。

 

「イビルアイ様、わざわざ敵にそんなアイテムを?」

 

「ああ。モ……こほん。ダークウォリアーからの指示でな。どうやら何か策があるみたいだぞ?」

 

どうやらモモンガと言いかけたようだ。

イビルアイが来ている事に気がついたらしいネムが、蒼天画戟ごと右手をぶんぶん振って駆け寄ってくる。もう片手に回収したらしい血塗れの水晶のような物を持ちながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

ネム・エモット

種族:(これでも一応)人間

二つ名:狂戦士(ジ・ベルセルク)

職業(クラス)Lv

ファイター:Lv5

ウエポンマスター(ジーニアス):Lv3

ハルバーディア(ジーニアス):Lv5

ライダー:Lv5

アーチャー:Lv3

サージェント:Lv1

コマンダー:Lv1

テイマー:Lv2

ベルセルク(ジーニアス):Lv4

総合Lv29

固有異能(タレント):Lvとは無関係にあらゆる武技をマスターでき、また同時発動可能な精神力上限が無くなる。

 

備考

戦闘特化型クラスの集中習得に加え、ジーニアスを三つ持つ紛うことなき”戦闘の天才”あるいは”()()()天才”。これに本人の在り方にぴったりなタレントまで持ってるのだから手がつけられない。

ウエポンマスターは技能的には『苦手な武器がなくなる(全ての武器に適性がつく)』という苦手というマイナスを補正するものだが、ジーニアスの場合は『全ての武器を使いこなせるようになる』というマイナスからプラスに転じるものと推定。

また、得意武器(愛用の蒼天画戟はハルバードの一種と解釈)やよく使う武器には個別にクラスLvがついてるようだ。

作中にまだ表記は少ないが、哨戒任務(パトロール)でハムスケによく跨ってること、また途中で騎射で村への土産にする獲物をしとめてる事からライダーとアーチャーにクラスがついたようだ。

サージェントとコマンダーは、まださほど経験はないがゴブリン・ライダーを引き連れてるからだろうか?(姉は最初からゴブリン軍団を与えられ、村人を指揮してるためサージェントをとらず最初からコマンダーで、すぐにジェネラルを習得)

テイマーが付いたのは、ほぼほぼハムスケと行動を共にしているからだろう。

最大の特徴で、二つ名の由来にもなってるベルセルクは”とてもレアクラス(モモンガ談)”で、本来なら『敵の血を浴びるとボーナスがつく』という物だったが、能力変化をおこしており、「敵の血を浴びると感情状態(テンション)が急上昇する」ということを基点に、テンション次第で身体能力が全体的に引きあがる(テンションが高いほど効果大。ジーニアスはその強化度がより高くなる)と言うものになっていた。

ただしバッドステータスも同時に発生しており、狂乱状態に陥りやすくなると同時にカルマ値が強化値に反比例して下がるようだ。

単体ならともかく、ハムスケ騎乗の場合は相乗効果でモモンガとキーノを除く、カルネ村最強戦力と言える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。

さらば陽光聖典!な回です(^^
同族だからでせうか? 実はモモンガ様に影響受けまくりなのが、デイバーノック。
「竜よ! その吐息で敵を焼き尽くせ!」とかドラゴン・ライトニングの発動に必要ないのに言っちゃうあたりが。
ただし、ゼロも興が乗ると絶対やってそう。

そして……キーノ嬢の業は深い(笑
きっとモモンガ様の容姿的ストライクゾーンを下げるため、不断の努力を続けたに違いない。


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