DeNA先発の平良への「全敗の呪い」は解けなかった。昨季は4試合に先発し、自身は1勝、防御率は4・95、被打率は2割7分6厘と打ち込んだにもかかわらず、チームは全敗していた。
与田監督が動いたのは9回。1死からビシエドが全力疾走で内野安打をもぎ取った。ここで代走・亀沢。2死後、二盗を仕掛ける。ところがDeNAバッテリーはピッチドアウト。リクエストで食い下がったものの盗塁失敗の判定は覆らなかった。実はその直前、石田のけん制球に逆を突かれた亀沢は、危うく刺されそうになっていた。それを見たDeNAベンチからの指示だった。
「(外せというサインが)出るかな、出るかなと思って見たらやはり出たので。その割には際どいタイミングになりましたけどね」
刺した嶺井も待っていた指示。読まれていたとはいえ、挑んだ結果なのだから仕方ない。同時に熱心な竜党なら「ビシエドに代走?」とも思ったはずだ。僕も思った。勝っている展開での休養、守備固めでの交代はあっても、同点、負けているケースでは初めて。熱心な竜党ならこれも記憶に新しいはずだ。3点を追う9回に猛反撃した21日の広島戦(三次)。1死一、二塁から高橋が左中間を破ったが、ビシエドは三塁で止まった。その1点が届かず。ビシエドは怠慢ではないし、遅くもない。ただ、結果的にはよりによってというゾーンに打球が飛んだ。恐らくはこの敗戦があっての代走・亀沢…。
野球とは不思議なものだ。延長11回、4番・筒香に勝ち越し打を打たれ、裏の攻撃では1死一、二塁で4番・亀沢に打席が回る。「正直、守る側としては(ビシエドと亀沢では)プレッシャーは違いました」と嶺井は話した。あえて動かなかった三次も決断。果敢に動いた今回も勝負手。実を結ぶかどうかは別の話なのだ。