蚊取り線香の主な原料は除虫菊であった。
防虫菊の原産地は旧ユーゴスラビアのダルマチア地方である。
この防虫菊がダルマチア地方からアメリカへと渡り、その後除虫菊の苗と有田みかんの苗木を交換する形で明治時代にカリフォルニア地方から和歌山有田地方に入ってきた。
この有田地方を主な生産地とする除虫菊のかとり線香は国内で広く使用されるようになり、除虫菊の生産地は瀬戸内や北海道にも拡大さらに除虫菊の粉の海外輸出なども盛んなった。
しかし戦争の勃発とともに防虫菊の歴史は一時的に途絶えることとなる。
戦後になり国内での除虫菊栽培は北海道を中心に再スタートしたものの収穫が天候に左右されやすいこともあり除虫菊栽培ではなく他の安定した農作物に転作する農家が増えた。
そのため国内での除虫菊生産は大幅に激減した。
これに危機感を感じた製造メーカーが除虫菊の構造を利用した新しい殺虫剤の合成・開発が盛んに行なうようになった。
その結果現在の合成ピレスロイド剤が生産・開発され蚊取り線香に使用されるようになった。
現在はこの合成ピレスロイドが主流であるが近年は安全性を疑問視する声もあり無農薬で育てられた除虫菊を主原料としたナチュラルかとり線香が注目されている。
このナチュラルかとり線香は原料だけではなく無着色で防腐剤も不使用である。
ナチュラルかとり線香が新しい日本の風物詩になりそうですね