【首都スポ】[高校野球]「翔んで埼玉」の夏 山村学園、初の甲子園へ2019年5月29日 紙面から 愛情たっぷりに埼玉をディスった映画「翔んで埼玉」(武内英樹監督)が大ヒットした今年の埼玉は高校野球も熱くなる。地元開催の関東大会には強豪私学をおしのけて、浦和実、山村学園、東農大三が出場、悲願の甲子園出場へ勢いをつけた。センバツ出場の春日部共栄、夏4連覇中の花咲徳栄、昨年の南埼玉代表の浦和学院など甲子園常連校の牙城を崩せるか。戦国埼玉は6月19日に組み合わせ抽選、7月10日に開幕する。 ◇
男女共学になり野球部ができて11年目、埼玉開催の関東大会に出場した県勢4校のうち、山村学園だけが準決勝に進出。2017年春から3季連続など県4強の常連で、準決勝の東海大相模戦は延長10回、1-4で敗れたが初めての関東大会でも堂々のベスト4。創部当初から率いる岡野泰崇監督(42)は「関東大会でもベスト4。(選手時代の背番号の)4は好きですが、1がほしい。車のナンバーも1に変えようかな」と冗談まじりに口にした。 立大OBの岡野監督のチームづくりは、選手の体づくりが基本。そこに大学の先輩で元日本ハムの矢作公一コーチ(52)の打撃を中心とした技術指導を加えてチーム力を上げてきた。関東大会は2回戦で、センバツ準優勝の習志野(千葉)を13-2と圧倒し、同じくセンバツ組の国士舘も破って、東海大相模とはがっぷり組み合った。中心となったのは、1年秋からエース番号の左腕、和田朋也投手(3年)と攻守に急成長した橋本大樹捕手(3年)のプロ志望バッテリーだ。 コーナーをつく投球が持ち味の和田は、初戦の水戸商には7回途中までで5失点したが、習志野戦は6イニングを自責1点。スライダーの手応えもつかんだ。「初戦は硬くなりましたが、2戦目からは自分のピッチングができました。連投できたのも収穫。スライダーが武器になると感じた」。帽子のつばには「エースの責任」と記している。最後の夏はチームを初の甲子園に導く決意だ。 強肩捕手だった橋本はこれまで外野や投手での起用に甘んじてきたが、このオフに捕球、スローイングを徹底的に練習、待望の正捕手となった。矢作コーチも「いろんなことを聞きに来た。ようやく才能が開花した」と喜んだ。3番の小林匠(3年)の、力を抜いた打ち方をまねて打撃の精度もアップし関東大会では初めての4番も任され水戸商戦で本塁打も打ち、4試合すべてに打点もマークした。 埼玉では1998年の記念大会の西埼玉代表・滑川を最後に、花咲徳栄、浦和学院、春日部共栄など強豪私学6校が夏の甲子園切符を独占。岡野監督は「埼玉はレベルが高い。埼玉で夏に勝つためには、甲子園8強ぐらいの力がいる。そこを目標にしよう」と関東大会後のミーティングで強調した。主砲となった橋本も「関東は格上の相手に当たってくだけろだった。埼玉大会もチャレンジャーでいきたい」と意気込んだ。
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