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産米増殖計画

<産米増殖計画内容>

総督府殖産局長 西村保吉氏談
京城日報 1920.8.28-1920.8.30(大正9年)(併合から10年経過)
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00736994&TYPE=HTML_FILE&POS=1&TOP_METAID=00736994

(上)


  これまでの朝鮮産米増殖の成績は極めて良好で、併合以後の9年間において生産額約600万石を増加し、この間における内鮮人戸口の増殖、鮮民生活の向上に伴なう消費の増加を補い、なお内地に対する供給額約250万石を増加した。  

  従来における産米の増加は、主として、経済貧弱にして知識と経験に乏しい鮮人農家に対して勧誘して実行させることが可能な米種の改良及び自給肥料の使用を奨励した結果であり、鮮農はその効果を認識したるを以て、将来もその実行に努むるべきではあるが、品種改良の事業は、今日既に改良米種を栽培できる水田のほとんど全部にその普及を了し、栽培を拡張する余地が無い状況にあるので、今後朝鮮産米の増殖を図るとすれば、
(一)灌漑及び開墾事業を奨励して耕地の改良・拡張を図ると同時に、
(二)金肥(注:化学肥料)の使用その他耕種法改良の途を講ずることを要する。

  現在、朝鮮の耕地は、水田154万5千町歩、畑280万町歩、計434万5千町歩で、水田のほとんど全部と畑地約1万5千町歩に稲を栽培し、その収穫高は、水田は一反当たり9斗2~3升、畑は一反当たり7斗に当り、その総生産額大約1,400万石にして、内地における土地の生産力の5割内外に過ぎず、朝鮮産米増殖の余地は綽々として余裕があると判断できる。

  将来、朝鮮において耕地の改良、拡張が可能な面積がどれくらいあるかは未だ正確な調査結果が無いが、大観により察するに、
(一) 現在の水田の灌漑設備を改善すべき土地約40万町歩
(二) 現在の畑を変換して水田と為し得べき土地約20万町歩
(三) 荒蕪地、干潟地を開拓して水田と為し得べき土地約20万町歩
計約80万町歩に達する見込であり、朝鮮総督府においては産米増殖施設として大正9年度以降15ケ年を一期として、前記の土地の約二分の一に対し改良拡張を助成すると共に、耕種法の改良を奨励し、以て1年に約9万石の産米を増加し、一面では朝鮮内における消費の増加に充てると共に、一面では内地に対する供給460万石を増加し、一箇年移出額を700万石以上に達せしめ、内地における食糧政策の解決及び朝鮮経済力の発達に資すること期している。

  朝鮮産米増殖計画に基づいて政府が今後15年間に支出すべき経費は約6千余万円の巨額を要し、これを以て次の施策を行う。

(甲) 政府が直接施設すべき事項
  (イ) 耕地拡張改良事業の基本的調査
  (ロ) 土地改良事業の促進に関する奨励監督機関の設置
  (ハ) 小規模の土地改良事業に対し官庁において工事実施設計を施行すること
  (ニ) 農事改良奨励のため地方庁に農業技術員の増員

(乙) 政府助成のため採るべき事項
  (イ) 土地改良工事実施者に対する補助金の交付
  (ロ) 土地改良事業に関する特殊会社の設立及びこれに対する保護監督
  (ハ) 耕種改良のための採種田設置者に対する補助金の交付
  (ニ) 土地改良事業資金並びに肥料購買資金として低利資金の融通斡旋

 以下、本計画の各事項について概要を述べる。

(中)

土地改良事業の奨励
  本計画によって今後15箇年に施行する工事面積は、一年平均灌漑改善1万5千町歩、地目変換7,500町歩、開墾・干拓6千町歩、計2万8,500町歩にして、15ケ年間の総面積42万7,500町歩の予定なり。之に要する工事費は、15ケ年を通じて多少の増減はあろうが、仮に平均一反部当りとして灌漑改善30円~35円、地目変換40円、開墾・干拓60円を要するものとすれば、工事費所要総額1億6千余万円を要することになる。

  朝鮮においては、従来、開墾事業に対して補助金を交付した例がなく、灌漑事業に対しては大正8年以降、水利組合の企業に対して工事費の15%以内に相当する補助金を交付して来たが、本計画においては、事業の進捗を助成するため、灌漑改善事業に対しては20%以内、地目変換に対しては25%以内、開墾干拓に対しては30%以内の割合を以て工事費使用額に対し補助することとし、府令を以てその規定を発布する予定。

  工事費に対する補助率は、内地における開墾助成法に基づく金利補給の式によらずして、工事の遅延を防止すると共に、朝鮮人等をして計数上の諒解を容易ならしむるため、直接簡単に歩合を以て示すこととしたが、その補助の実質は、工事期間と工事完了後の収穫の未だ充分ならざる時期における工事資金の金利に当てるべき金額に相当し、開墾助成金とおおむね同一程度の恩典を受けるものである。工事費補助として政府の支出すべき金額は、15年間を通じて約3千8百円に達する見込。  

土地改良事業経営特殊会社設立
  朝鮮の現状においては、率先して土地改良事業のような困難な共同事業の中心たるべき適当の人物に乏しく、又、朝鮮人農家は一般に進取的にあらざるを以て、単に工事費の補助を与えるのみでは企業の促進を期すことが困難であるのは、過去に水利組合の事業が進展しなかったことに鑑み明瞭なり。よって、ここに、一つの特殊会社を設立して企業促進の中心たらしむるの必要ありと認めたるも、本件はまだ議会の議決を経るに至っていないので、ここでは省略する。

耕地拡張改良の基本調査施行
  本調査は、朝鮮全土に亘り、将来耕地として利用し得べき未墾地について、その所在面積及び利用方法を調査し、又、開墾ずみの田畑については、用水の過不足の程度、用水源及びその利用方法を踏査し、将来における土地改良事業に対する方針を決定し、之に依りて企業者に計画の資料を与え、以て事業の促進を図ると同時に土地改良事業の統一を図ることを期す。したがって、この調査はなるべく迅速にその結果を取りまとめる必要があるので、大正9年度から5年間で完了せしむるものにして、総経費約200万円を要すべし。

(下)

補助事業監督奨励機関の設置
  本計画に伴い、土地改良事業勃興の結果、補助金交付の処分及びこれに対する指導監督などの事務が繁忙を加えるほか、特殊会社の業務に関し種々の監督を要するため職員の増員を行うもので、大正9年度以降15年間における総経費200余万円の見込み。

小規模の土地改良事業保護
  大規模の土地改良事業は、企業者において自ら工事に関する調査及び実施の機関を設置するか、若しくは特殊会社の手に依り之を為すべきも、小規模の事業はこの種の便宜を欠くので、政府において相当の技術員を地方庁に配置し、企業者の申請に基づき工事の実施設計を調査し又は工事の監督を行い、その発達を助成する。大正10年度以降14ケ年間の経費総額200余万円を要する。

耕種方法の改良奨励
  産米の増殖は、単に土地改良のみを以てその目的を達することができるものではなく、今後は、殊に、金肥の施用、種子の更新その他各般耕種法の改良を奨励する必要がある。このために、一面では地方庁に於ける農業技術員の配置を充実し、又、他面では採種田の設置者に対し相当の補助を与える。大正10年度以降14ケ年間の所要経費総額600余万円の見込。

低利資金融通上の斡旋
  特殊会社が請負又は自営に依り施行すべき土地改良工事資金は、会社自ら之を調達すべきも、右以外の企業に係る土地改良事業の工事資金4,500万円及び金肥購買資金約3,000万円に対しては、従来に於けるが如く東洋拓殖会社、朝鮮殖産銀行をして一層融通に努めしむると共に、政府のあっせんに依りなるべく低利で供給させるよう努める。

  以上述べたように、この計画は、企業者の調達すべき事業資金が非常に多額に上るのみならず、政府の支出すべき経費もまた莫大となるが、その効果は、1年に900万石の米産を増加するほか、土地改良の結果に基く裏毛作の栽培をなし得る利益もある。両者相まって朝鮮の富を増加し、経済の発達に資すること甚大であり、かつ又、昨年における大干ばつが天候に一喜一憂する朝鮮人農家に刺戟を与えたるに鑑み、本計画の遂行が鮮人の福利増進上絶大の効果を産み出すべく、統治上好影響をもたらすことは信じて疑わざる所なり。



元のデータ作成:2005.5 神戸大学附属図書館


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