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降旗康男監督死去 松本市出身 「鉄道員」「駅 STATION」

 「鉄道員(ぽっぽや)」「駅 STATION」など多くの名作を世に送り出した映画監督の降旗康男(ふるはた・やすお)さんが20日午前9時44分、肺炎のため東京都内で死去した。84歳。松本市出身。葬儀・告別式は生前の遺志により近親者で行った。お別れの会は行わない。喪主は妻典子(のりこ)さん。

 松本深志高校、東京大文学部フランス文学科を卒業後、1957(昭和32)年に東映に入社。66年に「非行少女ヨーコ」で監督デビュー。74年にフリーに転身した。

 「新網走番外地」シリーズなどの任俠(にんきょう)映画から、浅田次郎さんや向田邦子さんら作家の小説を扱った文芸路線まで、幅広い作品を手掛けた。

 2014年に亡くなった名優高倉健さんとのタッグでも知られる。60年代の任俠映画から、高倉さんの遺作となった「あなたへ」(12年)まで20本の映画で組んだ。高倉さん主演「鉄道員」(99年)は日本アカデミー賞の作品賞や監督賞など計9部門で最優秀賞を受賞した。

 遺作となった「追憶」(17年)をはじめ、つらい過去を背負った人、人生のやるせなさを抱えた人を「人のぬくもりや美しさがある」と題材に取り上げ続けてきた。生き残りの特攻隊員を題材にした「ホタル」(01年)や戦時中の家族を描いた「少年H」(13年)などは、戦時下の少年時代に松本で出会った特攻隊員や国民学校の教師から影響を受けた。

 02年に紫綬褒章、08年に旭日小綬章を受章。17年に信毎賞を受賞した。父は逓信相や松本市長を務めた故降旗徳弥氏。

(5月27日)

長野県のニュース(5月27日)