小樽沖の不思議な現象「高島おばけ」正体は
2019/05/27(月) 18:58 掲載
週末に真夏の暑さとなった小樽市の銭函。「高島おばけ」はこの海岸に現れると言います。
「おばけ」が現れると噂の海岸にカメラを向けてみました。沖合を進む1隻の大型フェリーを観察してみると…船体が浮かび上がって箱のようになり、煙突の形はほとんど見えなくなりました。
「おばけ」の正体は蜃気楼。石狩湾の周辺では、以前からたびたび蜃気楼が観測されてきました。
この蜃気楼のメカニズムについて20年以上研究している小樽市総合博物館の大鐘卓哉さんは「蜃気楼とは一言でいうと空気の屈折。光が曲がって見える、これが蜃気楼です」と解説しました。
石狩湾の場合、海に接する冷たい空気とその上にある暖かい空気の2つの層があることで、光が屈折して蜃気楼が発生すると考えられています。
石狩で蜃気楼が確認された歴史は古く、江戸時代から陶磁器や浮世絵にも描かれてきました。幕末の探検家、松浦武四郎も小樽沖で見た蜃気楼を記録に残しています。
大鐘さん「昔の人は科学的な仕組みはわからなかったかもしれないが、こうした現象があることを知っていた。またそれが『おばけ』として民間に伝承されていった。海坊主などの妖怪も蜃気楼が元になったといわれている」
蜃気楼がよく見えるのは、石狩湾の中であれば、水族館や博物館のある祝津や銭函、朝里の海岸。ここでは、高島岬、石狩湾のタンク群、沖合の船が変形する様子を見ることが出来ます。そして、蜃気楼の観測日和はよく晴れていて風が穏やかであること。石狩湾の海水温と、気温の差が10数度あるのが良いということです。「石狩湾蜃気楼情報ネットワーク」ではフェイスブックなどで蜃気楼予想も行っています。