穏やかなるかなカルネ村   作:ドロップ&キック
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サブタイ通りに爆発しろ系です。
ついでに暫定版エンリのスペックシート付。
2018/10/29、エンリの職業Lvを少し変更。メイサー(メイス使い)を追加。





第04話:”イチャイチャ+エンリはこんな娘?”

 

 

 

さて、エンリが広場で各々の本業を休止して村を守る戦士となった者達に号令をかけている頃……

 

 

 

「モモンガ、何を書いてるんだ?」

 

相変わらず膝から降りる気配のないキーノが問いかける。

今のモモンガは、エンリが飛び込んできたときの本を置き紙にペンを走らせていた。

そう、驚くべきことに羊皮紙ではなく紙である。

それも現在、カルネ村の特産品としてめきめきと頭角を現してきた庶民でも手が出る比較的安価な紙、カルネ村どころか王国で一般的な麦わらを再利用したわら半紙である。

 

余談ながらわら半紙に限らず、この村に多くの特産品を作る技術を齎せたのは他でもないモモンガである。

では、彼はその雑多な知識をどこから仕入れたのか?

 

理由は……一言で言えば魔法、それもチートである。

彼がこの世界に漂着したとき、残念ながらナザリック地下大墳墓は同時に転移することはなかった。

だが、どんな加減がおきたのだろうか?

モモンガはおそらく最終日、最後の瞬間に溜め込んでいたナザリックのアイテムを、ヘアピン一本に至るまでアバウトなイメージでも自在に出し入れすることができるようになっていた。

たしかにこの世界においては途轍もないチートではあるが……現状、いや転移したその日からもっとも頻繁に出し入れしてるのが大図書館、”アッシュールバニパル”に収められていた数々の蔵書だというのだから彼の今の在り方が容易に想像できる。

 

『今更ながらだが……本はいいものだ。漂着してから紙媒体の奥深さに気づくとはな』

 

とのことだ。

実際、かなり雑多なコレクションだがギルメンの趣味か自然科学や文化人類史の蔵書も多く、それらが知識の源泉となりカルネ村限定とはいえ他では作れぬ特産品を生み出し、直接的にも間接的にも多くの富を齎せていた。

 

「ん? ああ、ラナーからの相談事、その返信だよ」

 

「……まさかラブレターじゃないよな?」

 

「それこそ、まさかさ。彼女は教え子……みたいなものさ。キーノだって知ってるだろ?」

 

事実だ。

かつてモモンガはランポッサIII世に請われ、短い間だったが娘のラナーの家庭教師の真似事をしていた時期があった。

無論、”完全なる人化”をかけ、貴族がうるさいので身分を偽ってだ。

 

実はモモンガ、カルネ村にたどり着く前にキーノを連れて諸国漫遊を楽しんでいた時期があった。

気楽な冒険者……いや、旅人生活だろうか?

その時は様々な出会いがあり……中でも今でも続く縁の一つが、ひょんなことから始まった即位前のランポッサとの出会いだった。

それが上記のラナーの家庭教師の件に続くのだが、

 

「美しいだけでなく聡明な娘だったな……ほんの少し話しただけで、()が”人以外の何か”と見破ったときは驚いたもんさ。そうとわかっても全く動じなかったことも含めてね」

 

懐かしそうに語るモモンガに、キーノは少し頬を膨らませた。

そう、キーノは女の直感で気づいているのだ。

ラナーのそれが”《ただの恩師》”に向けるそれとは明らかに事ある感情だということぐらい。

 

「モモンガが昔の仲間(十三英雄)風で言うところの”ハーレム系鈍感ラノベ主人公”体質だというのはわかっていたつもりなんだが……」

 

「ご挨拶だな」

 

モモンガは苦笑し、キーノの柔らかい金髪を撫でるとふにゃっとキーノは膨らませた頬を緩めた。

我ながらチョロイン(by十三英雄)だとは思うが、

 

(これも惚れた弱みと言うものだろう)

 

といつものように納得してしまう。

 

「ラナーへの返信はまあいいとしても……エンリだけに任せて大丈夫なのか?」

 

「心配ない。あの娘は俺なんかよりよほど軍事的センスに恵まれているんだし」

 

そこには確かな信頼があり、

 

「もしかしたら歴史に名を残す人物となるかもしれないぞ?」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

エンリ・エモット(暫定スペック)

種族:人間

ファーマー:Lv1

ジェネラル:Lv3

コマンダー:Lv4

カリスマ:Lv2

クレリック:Lv8

プリエステス(ジーニアス):Lv5

ビショップ:Lv4

モンク:Lv3

メイサー(メイス使い):Lv5

総合Lv:35

特殊装備(現在判明している物のみ)

・動く修道院(強力な防御力/耐性/回復)

・蓮の杖(別名:ロータスワンド。聖職者用装備)

備考

現在のネムと同じくらいかやや幼い頃(10年前くらい?)から、カルネ村にやってきたモモンガとキーノから英才教育を受けた人物で、十代にしてLv35に達した中々の俊英。

指揮能力も高いが、何より信仰系/聖職系に特化したビルドが目立つ。これもひとえに一途で強烈な死の神(モモンガ)信仰のたまものか?

何気に第6階位の《ヒール/大治癒》とか第5階位の《死者復活/レイズデッド》なんかをさらっと使いそうで怖い。

前線でも戦えタンクも一応はこなせる頑強さを誇り、オマケに支援魔法も得意というかなり凶悪な娘っぽい。

ある意味、アンデッドの天敵。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
うん。現状でも十分に歴史に名を残せそうなエンリ姐さんでした(^^
ノーマル”グ”とかなら平然とボコれそう。
そのうちバトル・クレリックとかウォープリーストとか普通に上位職とってそうで困る。

それとモモンガ様の隠れた人脈発覚。
即位前のランポッサとかとエンカウントし、しかも黄金とも良好な関係な模様。
果たして彼女はこの世界でも愛玩犬(クライム)を飼ってるのか?


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