穏やかなるかなカルネ村 作:ドロップ&キック
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果たして何が、誰が何に対してオーバーキルなのか?
そしてモモンガ様のネーミングセンスは……
モモンガ(とキーノ)のそこはかとなく異国情緒を感じさせるログハウスを出た村の女神官エンリ・エモットは、広場にいた村人に村長への連絡と緊急警戒の鐘を鳴らすように告げた。
カルネ村は異端異教の村、王国では珍しい”死の神”の信徒の村として知られている。
対外的にはトブの大森林から出てくる魔物対策としているが、本当の理由は王国内部からの不当な弾圧に備え防衛準備を整えていたのだ。
その一環が鐘一つで女子供は勿論、非戦闘員の男性も然るべき場所へ避難するよう普段から訓練していることだ。
また、この文明レベルではありえないのであるが……カルネ村の家々や集会場には食料保管庫を兼ねた簡易地下シェルターを設置するよう義務付けられていて、またその地下室への扉は魔化された素材が使われており、ちょっとやそっとのことでは破壊されない。
また深さにも規定があり、家が燃えてもシェルターで蒸し焼きにならぬよう配慮されていた。
そして逆に戦闘員は……
「傾聴してください! これで全員ですか?」
広場に集まった武装した村民……人間種はもちろん、ゴブリンやオーク、トロールなどの亜人も多くいた。
それどころか魔獣やモンスターの類まで集結している。
「現在、村にいる戦える奴は全員だ」
そう渋い声で答えるのは、剃りあげた禿頭に褐色の肌、鍛え上げられた筋骨隆々の全身に入れる動物を象った刺青がトレードマークの男、モモンガより直々に”
「ああ。我々はいつでも問題なく戦える」
そう小さな、だが厚みのある声で返してきたのはまたしてもローブで身を包んだ骸骨だった。
ただしモモンガに比べるとローブは黒で、なんというか……少なからず格下臭がする。
だが、これを聞いたところで本人はそれも当然と答えるだろう。
この”
ある意味、この村で”偉大なる先駆者”として最もモモンガを尊敬しているのは彼ではないだろうか?
実はこの二人、モモンガが村を安住の地と定めてからも”完全なる人化”をかけて出る小旅行の最中で出会い、拾ってきた人材らしい。
エンリも詳しくは知らないが、ゼロは武者修行中に起こした食中毒で死に掛けてるところをモモンガに拾われ、デイバーノックは傭兵団に所属していたがエルダーリッチとばれて叩き出されたところをモモンガに拾われたようだ。
ちなみにキーノはかつて”国堕とし”と恐れられたせいもあり、村の外に出る際には仮面で顔を隠し吸血鬼だとばれないような処置をして偽名を使うという念を入れねばならず、モモンガが小旅行に出るときは大抵は留守番してるらしい。
どうにもモモンガにはどこぞの曹操サンよろしく人材収集癖があるらしく、他にも今は商隊の護衛依頼で村にはいないが、「御前試合で負けて心神喪失状態の剣士」をふらふらと王城から出てきた直後にスカウト(しかも不可視化をかけてわざわざキーノと一緒にデートがてら見に行ってたらしい)してきたりもしている。
『今度は久しぶりに帝国に足を伸ばしてみるかな? いや、フールーダが面倒臭いな……』
と呟いていたとかいないとか。
ついでに言えば、ここに集まる一団……特に人間種にはある特徴があった。
そう、首から冒険者プレートを下げていたのだ。
カルネ村の住民ははっきり言って開拓村ではありえないツワモノ揃いだ。
いつ母屋である王国、特に貴族派閥から弾圧されるかわからないため、戦闘要員に選ばれた村民は戦闘訓練を定期的に行っている。
であるがゆえに徴兵対策に皆、冒険者登録をしていた。
また冒険者としておけば、今や村の住人と受け入れている亜人たちも登録できるのも旨味だった。
無論、名ばかりの冒険者ではなく資格を剥奪されない程度に依頼……薬草採取や探索など平和的なものを選ぶようにしてるが、時にはモンスターハントや護衛任務なども請け負っているようだ。
「エンリ! ポーションの用意もできてるよ!」
「ありがとう。ンフィー」
人材収集は何も武人だけに限らないようだ。
何やら不可思議なポーションをエサに、バレアレ商店を祖母と孫そろって誘致したのはもう5年も前だろうか?
ただし、孫の初恋は実る様子も無いが。
「では、今回の作戦を説明します!」
さっそく感想やお気に入り、評価などをいただき感謝♪
とりあえず勢い任せで書けるのはここまでで、続きは後日にでも。
ゼロはもともとブレインと一緒で強さを追い求めるタイプだし、デイバーノックは某マジカル爺さんと同じ魔法の探求者だから、犯罪組織に加わる前に手を差し伸べるものがいてもいいかなと(^^
六腕が四腕に弱体化? いや、人員を補充してるかな? 某エルフイジメで評判の悪いワーカーとか……