生まれてきて最初に感じた感動……それが最高だった。
だから、その人のそばに居たいと願うのは当然だよね?
だから私は今日も一所懸命に足掻くんだ。
アゼルリシア山脈を西から南へ包み込むように広がる人跡未踏の樹海、”トブの大森林”。
その南端のほど近くにある辺境の開拓村の一つ”
曰く”異端異教の村”。
とある世界線の6倍以上、”
四大神を信仰するリ・エスティーゼ王国に属しながら、”死の神”を信仰しているというのだ。
死の神とは、カルネ村から見て南の彼方にあるスレイン法国で信奉されてる”六大神信仰”に登場する神であり、スルシャーナという名でも知られている。
だが、このカルネ村では不思議とスルシャーナと言う名は広まっておらず、ただ死の神を意味する”
とはいえ研究家によれば、いつの間にか村に入り込んでいた法国を追放された死の神信徒が教えを隠れ広め、それがローカライズしたものだろうと判断されていた。
とはいえ、四大神信仰と六大神信仰の関係は良好とは言い難く、宗教対立が続いている現状である。
しかし、この村が異端として処断されていないのは元々国王直轄領に位置する開拓村だったことに加え、今や民衆よりの改革を成功させ”
もっとも当時は20世帯ほどしかなかった寒村をなぜラナーが欲しがったのか誰にもわからなかったが、そうであるがゆえに誰も深く考えず、王室と反目してる貴族たちも特に反発はしなかったようだ。
しかし、カルネ村はそのあと”異常な発展”を続け税率が他の王国地域よりも低いくせに税収が多く、王女はその領地経営の手腕においても名声を高め、貴族派達を歯噛みさせているという。
物語はそんな色々と変哲てんこもりな特異な開拓村から始まる……
☆☆☆
その日、ただならぬ雰囲気を漂わせながら広義な意味では村娘の”エンリ・エモット”が、村の特産品の一つである焼きレンガでしっかり舗装された村の中央道を走っていた。
とはいえ彼女をただの村娘と談じるのは早計と言うものだ。
身に纏うのはやや露出多目の白を基調とした神官服”動く修道院”と呼ばれる防御と回復に定評のあるそれであり、手に握るのは七色に輝く不思議な金属で作られた見事な細工が施されたワンド”蓮の杖”と呼ばれる逸品であった。
まさに神に仕える
彼女は村の広場に面した一際大きなログハウス、くみ上げられた丸太がどことなく神社のような趣を感じる家の扉を叩き、
「”
『構わないよ。入りなさい』
重厚な樫のドアの向こう側ではなく、不思議と耳のそばで甘く優しい声が聞こえた。
それはエンリが幼い頃から大好きな声だった……
読んでくださりありがとうございます。
ちょっと気落ち気味なのでどこまで書けるかわかりませんが、楽しみにしてもらえれば嬉しいです。
エンリの装備がちょっとヤバ目?
元ネタは某禁書目録です(^^