華麗なステップも、甘いセリフやウィンクなどのファンサービスもない。アイドルという装備を脱ぎ捨てた、亀梨和也というひとりの男の熱唱だ。その姿を見て『ストリベリーナイト・サーガ』で菊田和男を演じる亀梨が、「個性を抑えて」とスタッフから求められたと語っていたことを思い出す。
『ストリベリーナイト・サーガ』も「Rain」も、“アイドル・亀梨和也”が積み上げてきた自己表現やキャリアを一度置き、そこから何が見せられるのかというチャレンジなのだろう。きっと亀梨の人気と実力があれば、これまでだってソロデビューを飾ることは可能だったはず。満を持して、今、このタイミングで、亀梨がソロで歌う意味があるように思えてならない。それは、積み上げてきたものがあればこそ、それを剥ぎ取ってみせる冒険。そして、その覚悟が「Rain」の中に、にじみ出ていて、私たちの心を打つのだ。
圧倒的人気を誇ったジャニーズJr.時代から、華々しくデビューを果たした第一形態。KAT-TUNとして決して平坦とは言えない道のりを走り抜けてきた第二形態。そして今、第三形態へ、亀梨は新たな進化を遂げようとしているのではないか。
その先に待っているのは、より人間的な“憂い”に訴えることができる表現者。まばゆい光を放ち続けている彼だからこそ、魅せることができる影。誰もが思い描く“亀梨和也”の像を掻き消し、いい意味で裏切っていく。そんな亀梨の新たな挑戦が、今始まった。
(文=佐藤結衣)
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