ポーカーの概念に、シンバリューベットというものがあります。
シン、とは真でも新でもなくて、薄い(thin)です。
この概念は、主にリバーに限って使われます。
多くの人は、薄いバリューベット、という語感から、小さいバリューベットのことを意味すると思っているのではと感じます。しかし、それは大きな間違いです!
例えば、こちらがQToを持っていたとします。
ボードが33K 7 Tでフラッシュ目もあるとします。
アクションはプリフロップでカットオフからレイズ、BBコール。
フロップでこちらのベットを相手がコールしてターンでチェックで周り、リバーで相手がチェック。
リバーでポットが12bbとしましょう。
この状況で、リバーで9bbベットしたら、相手はどういうハンドでコールしてくるでしょうか。
22から99(33,77除く)までのポケットペアは非常にありそうです。また、Kxのキッカーが弱いハンドもあるかもです。ATが出てくる可能性もあります。A7もあるかも。レイズされて降ろされる可能性もあります。
それらの中で、本当にバリューベットの狙い目(バリューターゲット、と言います)は22,44,55,66,88,99,A7くらいじゃないでしょうか。
しかも、それらもベットに対して降りてしまう可能性が高い。
また、ベットするリスクとしては、Kxはほぼ降ろせないし、チェックレイズを食らう可能性もあります。
相手のレンジのうち、バリューターゲットが少ない、つまり、バリューとなりえる相手のレンジが薄いんです。
イメージ的には
弱ーーーーーーーーー・・ーーーー強
↑ ↑
ここにしかバリューがない。範囲が薄い。
それでも!
Kxや3xはアクションからかなり出てこないと踏み、薄いターゲットをめがけて取りに行くバリューベット。それがシンバリューベットなのです。
なので、オーバーポットのシンバリューベットだって存在していいのです。
実際、このリバーでオーバーポットを打っても、ブラフキャッチしてくるハンドはして貰えるかもしれませんよね。
リバーのバリューベットがthinなのは、金額の多寡ではなく、相手のコールする範囲の薄さなのです。
ただ現実問題としては、thinなバリューターゲットに対しては、小さくベットするほうが得なことは多々あります。特にこちらがポジションが無い時。
thinなターゲットに対して、小さくベットして、コールを貰った時の得は減るけど、コールしてもらう頻度を高くする、という技術ですね。
対戦相手が強くなったら、リバーでブラフレイズをされることもありますが(結構困る)、そこで適切に対応(バランスを取ってナッツ級のハンドでも小さくベットしたりとか、ブラフをさせてコールするとか)する必要も出てきます。
また、こういうthinなバリューベットに対して、K4とかでthinなレイズが飛んできたりとか、キツイフィールドになったら出てきたりします。ポーカーは難しい・・・だからこそ面白いのですが。