勘違いされやすい概念に、「コミット」というのがあります。
「たくさんのチップを投入してしまって、もう降りられない状態」と思ってませんか?
そんなに間違えてはいないのですが、でも本当の意味合いとは結構違います。
問題:
例えば、400-800のブラインド、アンティが100。9人テーブル。入賞はまだまだ先です。
ゲームスタート時に8000点持ちでテーブル最下位だとします。
全員フォールドで回ってきて、カットオフから1800点にレイズ。残りは6100点です。ここで、BBがオールインしてきました。コールしますか?
ハンドが書いてないから何とも言えない?
まあその主張は一理あるでしょう。
ここで、コールするのに必要な勝率はハンドに関係なく計算出来ますよね?
リスクは残りのスタックの6100点。
コールした後のポットは7900×2+400(SB)+900(アンティ)=17100点。
この17100点が、分母の「リスク+リターン(メリット)」に相当します。6100点は自分の残りチップ、すなわちリスクで、それ以外の11000点は、オールインに降りていたら貰えなかったチップなので。
必要勝率は6100÷17100=35.7%
これって、KTo対AQsと同じくらいの勝率です。つまり、ドミネイトされてなければほぼなんでもコールできる状態なのです。もちろん、KToを持っている時にAKとかATを持たれていたら必要勝率を満たしませんが、A9とか33とか、もしかしたらTQsかも知れませんから、トータルでは事実上降りられないのです。
つまり、参加すべきまともなハンドを持っているならば、相手からオールインされても全体では必要勝率以上の勝率があることが見込めるため、オールインに対してもほぼ全てコールするのが自然なのです。この状態をコミットと呼ぶのです。
ところで、KToで1800点にレイズした場合、相手は後1000点出すだけで(1800+1800+400+900)=4900点のポットに参加できるので、非常に弱いハンドでもコールしてフロップを見て判断することが出来ます。
1800点にレイズしても、実は7900点全部をリスクに犯しているのとあまり変わらない状態(=コミットしている状態)であるのでリスクはほとんど変わらない。それならば、最初から7900点のオールインをすれば、リスクは同じで、相手にコールしてフロップを見るという選択肢を与えない分だけ得と言えるのです。
ちなみに、KToで1800点にしたところ、SBが2万点のオールインをして、BBが25000点持ちでオールインをコールして回ってきた場合、必要勝率は
6100÷(7900×3+900)=6100÷24600=24.8%。
しかし、この状況で24.8%も勝率があると考えるのはあまりに楽観すぎますよね。AK一人を相手にする方がマシと言える状況で、25%どころか、20%もない可能性が高そうです。なので、BB一人に対してはコミットしているつもりだったけれども、このシチュエーションの場合はコミットしてなくてフォールドする、というのが正しいプレーになるでしょう。
とはいえ、BB一人に対してコミットしている状態ならば、コールしてフロップを安く見せてしまうというデメリットが非常に大きいため、先にオールインするメリットが大きいと言えます。
まとめると、
「コミット」とは
「オールインされてもオッズコールしないといけないくらいのチップをポットに投入した状態」
のことであり、
「この金額を打ったらコミットするからオールイン」
というのは、
「数学的に相手にオールインされてもオッズコールなのだからオールインと同じだけのリスクを犯しているのと同じ。ならばメリットを最大化するためにオールインした方がいい」
ということなのです。