トップ > 中日スポーツ > コラム > コラム 人生流し打ち > 記事

ここから本文

【コラム 人生流し打ち】

広瀬すずの同級生、「なつぞら」山田裕貴の父は広島カープのコーチ 野球を辞めてぶつかった過去も 

2019年4月15日 17時37分

NHK連続テレビ小説「なつぞら」に出演している山田裕貴

写真

 NHK朝ドラ「なつぞら」は第3週(4月15日~)から主役の広瀬すずが本格的に登場。その同級生役に山田裕貴が出演している。イケメンとして話題の俳優である。

 父は元中日の山田和利さん。東邦高からドラフト4位で1984年に中日に入団した内野手で、88年には打率2割6分8厘で優勝に貢献した。派手な選手ではなかったがとにかく真面目だった。広島に移籍し、膝の靱帯(じんたい)を断裂させ選手生命の危機に陥ったが、地道なリハビリで復活。引退後は指導力が買われ、現在は広島の内野守備走塁コーチを務めている。

 その影響で長男・裕貴も野球少年だった。自ら希望してリトルリーグに入り、父と同じ東邦高に進んだ。だが野球部に入ることはなかった。自信がなく、周囲から父と比較されるのも重圧だった。父子はぶつかった。

 「おれが野球をやれと言ったわけじゃないよな」と父は声を荒らげた。途中で投げ出したことが許せなかった。そしてこう付け加えたという。「次は最後までやりとげろよ」。

 裕貴の刺激になったのは、父の言葉と野球部員の活躍だったそうだ。野球をやめた負い目がエネルギーになった。卒業を機に本格的に役者を志したが浮ついた気持ちはなかった。映画やドラマには出演しても、朝ドラのオーディションは落選の繰り返し。今回の「なつぞら」でひとつの夢をかなえた。根性は父親譲りなのだと思う。

 昨年8月、裕貴はナゴヤドームで始球式に登板。その時に話をしたが、目には涙が浮かんでいた。父親の言葉がフラッシュバックしたらしい。たかが始球式でも、目標のひとつだったらしい。純な青年だと思った。「ぼくが死んだとき、記事になるようになりたい」。彼はそう言った。応援したい俳優である。

(増田護)

 

この記事を印刷する

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ