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【大相撲】

最後まで盛り上がり欠けた場所だった

2019年5月27日 紙面から

◇北の富士評論「はやわざ御免」

 14日目で優勝が決まってしまったので、楽しみは半減していた。こうなると、一番一番、相撲を楽しむしかない。

 7勝7敗の炎鵬は、最後の力を振り絞って戦ったが、松鳳山の厳しい攻めに涙をのんだ。炎鵬にも勝機は何度もあったが、松鳳山も勝ち越しがかかっているので、彼も必死である。どちらにも勝たせてやりたいが、現実は厳しい。松鳳山の乾坤一擲(けんこんいってき)の上手投げに崩れ落ちた。健闘及ばず、負け越しはしたが、炎鵬の頑張りは、見る者に勇気を与えてくれた。けがを治して、来場所も大いに暴れてもらいたい。ありがとう、炎鵬。

 阿炎も今場所、目覚ましい相撲で見事に敢闘賞を獲得した。体も大きくなり、突っ張りが威力を増したのが良い。まだ、半端相撲的な印象が強いが、将来的には大化けする予感がする。

 竜電は技能賞を決めた。長身でありながら、時には頭を下げ、きめ細かい相撲もとれる。けがで序ノ口まで落ち、再度、はい上がってきた精神的な強さが彼を支えている。苦労人だけに努力型の力士として名を残すだろう。美男力士で人気も出ている。女性ファンが急増中である。

 志摩ノ海は十両で連続2場所優勝の実績を手土産に入幕したが、その実力をいかんなく発揮し、見事に敢闘賞を獲得したのは立派の一言に尽きる。

 そして優勝の朝乃山のことは、14日目にかなり書き述べているので、再度書くこともないだろう。それだけに千秋楽は、勝ってほしかった。御嶽海の出足に一方的に寄り切られたのは残念だった。有終の美を飾ってほしかった。優勝は私も経験しているが、今後は注意すべきだ。

 千秋楽はトランプ大統領が相撲見物に来たので場内騒然、大変なことになったが、土俵上は面白くも何ともなく終わった。どうも今場所は、最後まで盛り上がりに欠けた場所だった。横綱、大関の欠場や弱さが続き、しだいに優勝争いが興を欠いたのが痛かった。その中で一番盛り上がったのが大統領の表彰式とは情けない話であった。

 ところで、初日に私は場所中に一句作ると書いたが、やっと前日にできあがった。トランプ大統領をどうしても題材に使いたかったので、失礼ながら、それでは発表します。いいですか。

 「五月晴れ 大統領も 場所入りす」

 お粗末でした。才能なしか、あるいは凡人か。どう間違っても才能ありではなさそうです。恥ずかしい限りです。これにこりずに名古屋では、もう少しましなやつを発表したいものです。今夜は久しぶりに八角部屋に寄ってみようかな。それでは、名古屋で会いましょう。 (元横綱)

 

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