【大相撲】朝乃山、最後は● トランプと堂々握手2019年5月27日 紙面から
◇夏場所<千秋楽>(26日・両国国技館) 14日目に初優勝を決めた平幕朝乃山(25)=高砂=は小結御嶽海(26)=出羽海=の寄りに屈し、12勝3敗で終えた。朝乃山は初の殊勲賞と3度目の敢闘賞に輝き、観戦した米国のトランプ大統領からも大統領杯が贈られた。阿炎(25)=錣山=と新入幕の志摩ノ海(29)=木瀬=が敢闘賞を、竜電(28)=高田川=が技能賞を、いずれも10勝目をマークして受賞した。名古屋場所(中日新聞社共催)は7月7日からドルフィンズアリーナで初日を迎える。 令和初優勝の称号、そして富山県出身力士として横綱太刀山以来、103年ぶりVで歴史に名を刻んだ。念願の賜杯に続いて初めて米国大統領杯を受け取る栄誉と同時に、朝乃山には上位定着に向けた課題と向き合う千秋楽となった。初顔合わせの御嶽海に寄り切られて3敗目。会心の締めくくりにはならなかった。 「一番悔しいのは、大統領杯をもらう立場で目の前で勝てなかったこと。次の場所、どこまで通用するか。まぐれと思われないように、一段と強くなった姿を見せたい」 立ち合いの当たりと突っ張りの威力は互角。だが命綱の左上手は、取らせてもらえなかった。この日を含めて3敗は、すべて押し相撲得意の相手だった。攻め込まれてもしのいで、逆転のチャンスを手繰り寄せる残り腰の必要性を痛感させられた。 課題を残した千秋楽だったが、どっしりした右四つの攻めでたどり着いた歓喜の表彰式は格別だった。「富山の人間山脈」の異名を取る187センチの自身より、3センチ高い190センチのトランプ大統領の姿に目を丸くしながらも、土俵上での祝福の声掛けには「Thank youだと、下から目線になっちゃうから」。日本語で「ありがとうございます」と返答。優勝力士として堂々と振る舞い、握手を交わした。 「Asanoyama Hideki」としこ名が世界に伝わる事になり、新時代を担う意欲も出てきた。ライバルとして、この日敗れた御嶽海や新大関貴景勝を挙げて「看板力士になれるよう、頑張ります」と力強く宣言した。 昨年、11勝を挙げて初めて優勝争いを経験した験の良い名古屋場所で、初めて上位総当たりに挑戦する。「三役、その上を目指す」ときっぱり。初Vの自信を胸に、準ご当所でも主役になる。 (志村拓)
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