第二章 独島領有をめぐる韓日関係 第二節 不法侵犯及び銃撃事件 六 その後の侵犯に関して交換された韓日間の覚書 駐日代表部は日本外務省に敬意を表し、韓国領土の一部である独島周辺の韓国領海に日本船舶が侵入し、日本人が同島に不法に上陸したことに関して同外務省に次のとおり通告する光栄に浴する。 韓国政府が行った調査によれば、次の諸事実が判明した。すなわち、 1 1954年5月23日午後10時ごろ、総トン数1000トンの武装日本船1隻が韓国領土の一部である独島周辺の領海に侵入して同島海岸約250メートル離れた海上に投錨し、同島を展望しつつ約2時間滞留した。 2 1954年5月28日およそ午前3時ごろ、総トン数450トンの別の日本船が許可無く同領海に入ってきた。同船に乗り組んだ合計13名の乗組員のうちの1名が上陸して韓国の領土標識を撮影し、約10分後に島を離れた。 これに関連して、各日本船と問題の乗組員の前述の行動は、韓国領海の侵犯と韓国領土への不法侵入を成すものと断定するほかはない。さらに、韓国領海の奥深くへの前述した武装日本船による侵入は、大韓民国の安全保障に重大な脅威を造成するのは明白なことである。 よって、代表部は、大韓民国政府は重大な関心を持って事態を再検討せざるを得ず、故に、日本船による不法かつ脅威的な行動と前述した日本国民の韓国領土上陸に対して、外務省が将来にも同様の事件が再発しないよう保障するよう要請すると共に、貴省に強硬な抗議書を提出するものである。 東京 1954年6月14日 (附21) 日本外務省覚書 外務省は駐日韓国代表部に敬意を表し、日本国の領土である竹島への侵入と韓国官憲が行って来た海上保安庁所属巡視船に対する不法な発射に関し、次のとおり抗議する光栄に浴する。 1 海上保安庁所属巡視船「隠岐」は、1954年8月23日、竹島付近に至り前記竹島の西島北西方700メートル地点に到着するや、午前8時40分、西島海岸にある洞窟から突然の銃撃を受けた。発射は約10分間続き、その間600発が撃たれた。銃弾の一弾は同船の船橋右舷の蓄電室を通過した。 2 日本政府は竹島が日本領土の一部であることを度々韓国政府に明白にしてきた。特に、駐日代表部に送達した1954年2月10日付け外務省覚書15/A2において詳細に言明したように、事実は疑う余地もなく立証された。 3 日本政府は、上記した韓国官憲による日本政府船舶に対する不法な銃撃に重大な関心を有しており、同事件に対して韓国政府に最も厳重なる抗議を提出し、竹島の韓国官憲の即時撤収はもちろん、正式な謝罪を表明することを要求し、また、韓国政府が同様の事件が反復されないよう、事前に措置する目的で同事件に対して責任のある者たちを処罰はもちろん、遅滞無く効果的かつ適当な措置を取ることを要請する。 日本政府は、右に言及した日本巡視船が受けた損害に対する適当な弁償金を要求する権利を保留していることを申し添える。 東京 1954年8月26日 (附23) 代表部覚書 大韓民国駐日代表部は日本外務省に敬意を表するところであり、韓国官憲による「竹島」海辺へのいわゆる侵入に関する1954年8月26日付けの貴省の覚書140/A5に関して次のとおり抗議する光栄に浴する。 1 1954年8月23日午前8時ごろ、韓国領土の一部である独島に一隻の鉄船が接近した。その船舶は砲2門を装備しており、同船舶の甲板上に約30名がいた。 2 韓国警備隊から同島に派遣した韓国官吏たちは、同船舶が(後に隠岐という日本の巡視船と判明した)同島海岸500メートル以内に侵入したことを見て、慣例である「停止命令」を発した。日本人たちは停止命令を無視して同島に不法上陸する明白な意図を持って同島に接近しようと努力した。 3 そのような状況であったため、いかなる侵入からも大韓民国の同島を保護する任にある同島駐在の韓国官吏たちは、彼らの全く合法的な挑戦を実行するため警報を発せざるを得なかった。 数多くの機会に日本政府に度々通告したように、独島は韓国領土の不可欠の一部である。韓国官吏が国民による独島侵入の再発を防止するため適当な措置を日本政府が取るよう、本代表部が貴省に頻繁に要求したにも拘わらず、このたびは、武装した日本海上保安庁の巡視船一隻が同島に不法上陸する企図を持って同島に接近したことにより、その領土を守護する大韓民国に対して重大な脅威を加えた。 このような事情により、本代表部は、大韓民国政府がこの点において日本政府からいかなる抗議も受ける立場には無いことを、ここに貴省に通告するものである。むしろ、本代表部は、大韓民国は武装した鉄船に乗船した日本官吏と国民による韓国領土の一部への反復的な侵入に重大な関心を有しており、日本巡視船が犯した不法行為に対して日本政府に最も活発な抗議をここに提出する。 本代表部は、日本政府が日本側のかくのごとき不法な行動は両国間の関係に逆効果を造成するものであることを考慮して、将来に同様の事件の再発を防止するため日本政府が適当な措置を取るよう、貴省が努力することを重ねて要請する。 1954年8月30日 東京 (附25) 日本外務省覚書 外務省 215/A5 外務省は大韓民国駐日代表部に敬意を表し、日本国の領土である竹島を不法に占領している韓国官憲が日本海上保安庁の巡視船に加えた不法砲撃に関し、次のとおり抗議することを光栄とする。 1 海上保安庁の巡視船「隠岐」と「へくら」は調査のため1954年11月21日朝、竹島近接の海域に到着した。「へくら」船が西島北西約3マイル地点に到達したとき、同島を不法占領している韓国と当局は、午前6時58分から7時の間に5個の砲弾により同船を砲撃した。 2 竹島所有権に関する紛争を平和的かつ最終的に解決するため、日本政府は同事件を国際司法裁判所に付託しようと韓国政府に提案した。しかし、韓国政府はその提案を拒絶しただけでなく、日本領土である竹島に自国の官憲を継続して駐屯させた。 韓国政府は同島を今もなお継続して不法占領しており、さらに、自国の官憲をして日本政府の船舶に銃撃を加えることを許容した。 3 日本政府は、韓国政府側の上記のごとき態度の持続に対して重大な関心を持たざるを得ず、それを国際平和と安全保障の維持を危機に陥れる行為であるとみなす。 日本政府はかくのごとき不法性に対して、韓国政府に強硬な抗議を提出すると共に、問題の島嶼から韓国官憲が直接撤収して銃砲を始めとする全ての施設を除去し、また、韓国政府の正式謝罪を要求し、前記事件についての責任者の処罰はもちろん、将来に同様の性質の不法行為犯行の再発を防止するために効果的かつ適当な措置を取ることを要請する。 4 日本政府は、韓国政府が前記の要求を継続して拒否する以上、竹島問題において発生する全ての紛糾に対して責任を負わなければならないことを、ここに公言する。 1954年11月30日 東京 (附34) 代表部覚書 大韓民国駐日代表部は日本外務省に敬意を表し、韓国官憲による日本巡視船に対するいわゆる砲撃に関する1954年11月30日付けの貴省の覚書に関して、次のとおり抗議する光栄に浴する。 1(a)1954年11月21日午前5時ごろ、韓国領土の一部である独島周辺の領海に二隻の日本鉄船が侵入した。PM-14と判明したその内の一隻は砲を装備しており、4~5名の人員が両船の甲板上に立っているのが見えた。 同島において勤務していた韓国官吏たちは、PM-14が西島から約1,500ヤード地点に投錨し、他の一隻の不明船が東島から約1,500ヤード地点に投錨しているのを目撃し、同地域から撤収するよう信号を送ったが、この信号を日本人たちは無視した。 (b)それのみならず、韓国官吏たちは、撤収するよう日本船に煙幕弾により命じた。前記二隻の日本船は、このような命令を全く無視して各島に少しずつ接近してきた。 (c)そのような状況であったため、止むを得ず韓国官吏たちは、いかなる侵犯と脅威からも両島を守護する彼らの職責を遂行するため、数発の警告弾を発射した。 2 韓国政府は独島紛争を国際司法裁判所に付託することにより平和的に解決しようという日本の提案を拒否したのみならず不法に独島を占領したという貴省の非難も、これまた全く根拠のないものである。この点に関連して、本代表部は、1954年10月22日付けの覚書により韓国の独島領有権は完全かつ議論の余地が無いために、同島において韓国官吏たちに職責を付与することは大韓民国の管轄権内において正当なものである。 それ故、韓国官吏たちがいかなる不法行為に対しても同島守護に必要ないかなる行為もこれを止むを得ず取らないということはできず、また、継続して取ることは自明の理である。 貴省は、独島勤務の韓国官吏たちによって取られた行動に言及して、前述の覚書において韓国政府は国際平和と安全の維持を脅かしたと非難した。しかし、独島付近の韓国領海の日本船による侵入再発を防止するため適当な措置を取ることに失敗し、また、特に、1954年8月23日に韓国島嶼に不法上陸する明白な意図を持って同海域をたびたび武装船が侵犯まですることを許容していることに対して責任があるのは日本政府である。そして、今般、再び日本海上保安庁の巡視船(その内の一隻は武装していた)が大韓民国の領土守護に重大な脅威を加えつつ同島に接近した。 上述した見地から見て、日本船舶による一連の韓国領海侵入は、明らかに大韓民国の安全保障に重大な脅威を造成するものであると断定できる。故に、貴省の前記の非難は全く根拠が無いものである。 3 このような状況から、本代表部はこの事件に関連して、日本政府は韓国政府にいかなる抗議も提出する立場にあるものではないことをここに貴省に通告する。むしろ、本代表部は、大韓民国政府は大韓民国の安全保障に対する脅威の原因となる武装日本船による韓国領海の反復的な侵入に重大な関心を有しており、日本の巡視船によって犯されたかくのごとき不法行為に対して、日本政府に最も活発な抗議書をここに提出するものである。 本代表部は日本政府が本事件に対する責任者たちの処罰はもちろん、将来に同様の事件の再発防止のために効果的かつ適当な措置を取ることをさらに要求する。この点において、韓国政府がたびたび行った正当で適当な要求を日本政府が継続して無視して来た以上、かくのごとき不法行為から発生する全ての紛糾に対して日本政府が責任を負わなければ成らないことを附言する。 1954年12月30日 東京 (附36) (独島問題概論 84~96p) |