第二章 独島領有をめぐる韓日関係 第二節 不法侵犯及び銃撃事件(続き) 五 第5次侵犯状況 前記(第一次から第四次までの侵犯状況に関する内務部報告をいう。)のような日本船舶の不法領海侵入と彼らの脅迫的な態度と言動により、純真な韓国人漁撈者たちは不安と恐怖心から漁撈を中断する状況のため、管下欝陵警察署においては、沿海と同島周辺で漁撈中の韓国人の保護と同島に頻繁に侵犯する日本人たちを監視するため、1953年7月11日午前11時、欝陵警察署勤務の査察主任警衛金振聲、警査崔憲植、巡警崔龍得の三名で構成する軽機二門を装備した巡邏班が欝陵郡南面道洞の裵聲煕所有の発動船に便乗して同日午後7時ごろに同島に到着、作業中の韓国人十余名に対して外国船舶発見時の連絡要領を教示し、同日夜間は発動船に一泊したところ、翌7月12日午前5時ごろ、同島において、東南方水平線上から同島に向かって来る船影を発見して監視中、同午前5時40分、該船舶は巡邏班の位置から西北方約300メートル離れた海上に至ったとき日本旗を掲げて徐行したため日本船舶と確認し、動静を監視するため停船し、発動船から警査崔憲植が民間人欝陵中学校の奇教師を同行してまず臨検し、同船船長室において責任者だという者に臨検の趣旨を告げた後、奇教師の通訳で船舶の所属と来意を調査したところ、責任者だという者は、自分は日本島根県の海上保安庁のキャプテンだと言い、前記海上保安庁では日本政府の命令で竹島を巡邏中だと言うので、崔憲植警査は責任者だという姓名不詳者に対して、独島は欝陵郡南面道洞に属する島であり韓国領土であると主張し、島根県穏地郡五箇村竹島ということの不当性を指摘して韓国領土に不法侵犯したことを詰問し、欝陵署まで同行を要求したところ、責任者だという者が答えるに、貴職と全く同じ立場であり良く分かると言いつつ同行を拒否する中で、発動船から査察主任金振聲は最後に日本船舶に臨み責任者だという者と会い、韓国領海に不法に侵犯したことを強力に指摘した後、侵犯した船舶を放任することはできないため欝陵署まで同行を要求したが、責任者は、今後、日本政府と韓国政府が会談をすることになるので、その会談において竹島に対する決定が行われるはずで、そのときまでどちら側に属するとも言えないと言い、再び我が方は「李ライン」、「マッカーサー・ライン」から見て韓国領土であるのみならず、第二次世界大戦の終結後、日本講和条約前も何も言わず今さら日本領土だと言うのは韓国領土に対する侵略行為ではないかと指摘したところ、日本人責任者は答えて、竹島が「マッカーサー・ライン」境界線の外に位置しており、第二次大戦後には同島は米国爆撃機の演習基地として使用されて来たので来ることができなかったと言うので、この答弁を否定し撤回して同行するよう強硬に要求したところ、日本人責任者いわく、我々は日本政府から竹島を巡邏せよとの命令のみを受けているだけで、竹島に侵入した船舶を引致せよとの受けていないと言うので、我が方はさらに強硬に同行を要求したところ、日本人責任者は船長に出発を命じ、我が方に対して「それじゃ行きます」と言うので、我が方は全員発動船に移乗、船首を独島に向け約300メートルほど先頭に船行していた間隙を利用して、同島の西南方海上から日本船舶は南東方を経由して同島を一周して、我が方を揶揄するかのように日本方面に快走するのに制止を命じたところ応じないので、軽機を威嚇発砲したにも拘らず逃走した事実がある。」と内務部は報告した。 日本外務省からは、7月12日の侵犯及び銃撃事件に対して、その翌日である7月13日付けで抗議が来た。 1953年7月13日付 亜二第187号覚書 外務省は、駐日韓国代表部に敬意を表し、竹島領海において韓国漁夫が不法漁撈を行い、同地域において韓国官憲が不法銃撃をしたことに言及し、次のとおり貴部に通告する光栄に浴する。 7月12日に日本政府の巡邏船が竹島に行ったとき、三隻の漁船に搭乗した30名ほどの韓国漁夫が7名ほどの韓国官憲の保護下に不法漁撈に従事しているのを発見した。その巡視船は、彼らにその島を離れるよう要求したが、韓国官憲は日本政府官吏の合法的な要求を拒否したのみならず、突然、そして不法に、巡視船がその島を離れ始めたときに巡視船に無数の一斉射撃をした。 竹島が歴史的事実と国際法の見地から日本領である事実は議論するところが無いことは、駐日韓国代表部に送付した1953年7月13日付け亜二第186号覚書において明瞭に示している。 ここに、外務省は韓国民と官憲によって不法に犯された上記行為に対して、駐日韓国代表部に厳重な抗議を提出し、また、彼らがその島から早急に撤去することを要求し、韓国政府が将来にこのような不法行為が再発しないよう適当かつ効果的な措置を取ることを要求する。 (附録13参照) これに対し、8月22日付けで駐日代表部において次のように抗議した。 1953年8月22日付覚書 駐日韓国代表部は日本外務省に敬意を表し、いわゆる韓国人の不法漁撈と韓国官憲の不法銃撃に関する1953年7月13日付け貴省の覚書に答えて、大韓民国によって行われた調査に基づき次のように言明する光栄に浴する。 一 1953年7月12日に巡視船に搭乗した韓国警察官が独島周辺を巡視する任務にあったとき、彼らは、乗船した約30名の日本人がその島嶼の周囲の韓国領海に侵犯しているのを発見した。 二 当時の日本人の領海侵犯は、大韓民国法律第65号の当該条項に違反する明確で間違いのない犯罪であった。よって、韓国官憲は日本人が韓国領海に不法侵犯したと通告しつつ、調査のために欝陵警察署まで彼らが同行するように命じた。 三 しかし、日本人は急にその地点から逃走し始めた。そのため、韓国官憲はその地点から日本人が逃亡できないようにする警告として、数度の銃撃をせざるを得なかった。 前記の事実に関連して、代表部は、日本人の韓国領土侵入に関して日本政府に送付した1953年8月4日付け代表部覚書を含む継続的な正式抗議にも拘らず、今回は日本人が大韓民国の領土権を犯すのみならず、韓国領土保全を守護するために完全なる権限のある韓国官憲によって発された正当な命令と、韓国人が独島周辺の韓国領海に漁撈に合法的に従事していることを無視したことに深甚なる関心を有し、その状況を注視せざるを得ない。 事態がこのようであるため、ここに代表部は、外務省に大韓民国政府は日本人によって犯された独島の不法侵犯に関して日本政府に厳重な抗議を提出せざるを得ないことを通報し、日本政府は今後同様の状況が再発しないように適当な措置を取ることを外務省に要求する。 (附録14参照) この抗議の覚書に答えて、8月31日付けで日本外務省は次のように伝達して来た。 1953年8月31日付 亜二第216号 日本外務省覚書 外務省は、駐日韓国代表部に敬意を表し、韓国人の不法漁撈と韓国官憲の日本船舶に対する不法銃撃に関する7月13日付外務省覚書に関する1953年8月22日付の貴部の覚書に言及し、次のとおり言明する光栄に浴する。 1953年7月13日付亜二第186号覚書において明白に言明したように、外務省は竹島は日本領という議論の余地の無い事実を指摘し、ここに、去る7月12日にその島の近傍において韓国官憲が日本政府の船舶(公船)に不法な銃撃をし、韓国人側が不法漁撈したことに対して韓国政府に厳重な抗議を再度提出すると共に、韓国官憲若しくは韓国人によって同島に不法侵入することが再発しないように、韓国政府が適当且つ効果的な措置を取られるよう要求したことを改めて述べるものである。 (附録15参照) 独島問題概論 76~83p |