日韓近代史資料集

韓国ニュー・ライトの応援+竹島問題

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裵季周が鬱陵島島監を免職された理由を推測するため、次の日本の資料を検討してみる。
 
①裵季周は仁川の対岸にある永宗島の住民で、今から20年前鬱陵島に移住して開拓することを計画し、率先してこの島に渡航してその開拓に従事しました。 だが、残念ながらこの島は本来無人島であり(周囲が130里という)韓国沿岸との交通が開かれなかったために非常に困難を感じて、その結果頻繁に日本人の渡航を勧めることに努め、また直接島根または神戸などの地方に行ってこの島産出の槻木売買を特約するなど、次第に日本人がこの島に渡航する道を開きました。それとともに韓国人が渡航する方が開かれて、これに対し移住の端緒を開くことになり、今はこの島に居住する韓国人数は5,0006,000人に達して日本人在留者もまた男女300400人、多い時には1,000人に達することがあります(それが時々増減があるのはつまり漁業時期に関係するということ)。そして上記の我が国の人々の中にはすでに3040戸の家屋を作ってほとんど土着したような生活をしている者もいますが、彼らの中には無知で依怙地が多いです。しかし彼らを取り締まる官吏がいないので相互間の争いはひたすら腕力で決めることになり、甚だしくは殺人犯もあります。特に韓国人同士の関係は腕力に訴えることを普通とする状態なので、島司の力では十分にこれを制止できず、島を治める障害が無いではないといいます。
……島民と我が国の者たちとの関係は決して一朝一夕のことではなく、すでに10数年にかけて今はより一層その関係が深くなって、たとえひとまず退去させても次第に集まることは自然な傾向です。そして事態がここに至ったのは、前記の裵島監が話したように、この島の開拓にともなう交通の便益を得るために彼らが薦めたことに起因するので、今日に至って帝国政府がその責任を負って退去させる義務はないのみならず、かえってその責任を韓国政府に問うことが当然と認めて、昨年74日付機密第54号で卑見を具申したところ、同年718日付機密第36号の回訓を受けたので、本公使は上記回訓の趣旨を報じて直ちに別紙甲号のとおり韓国政府に照会したところ、乙号のとおり我々の提案に同意し難いという趣旨の回答を受けました。(『駐韓日本公使館記録』本省機密往信、機密133号 明治341210日「欝陵島在留民取締ノ為メ警察官派遣ノ件上申」)
 
②島民は戸数が520世帯余り、人口2,500人余。 島監という者が島治をする。島監の下に各村ごとに村長がいて、村のすべての役割を担当する。島監の官庁は今は道洞という所にあって、今の島監は裵季周という。韓国政府からは一銭の給料もなく島民その他からの収入も少ないので、貧しくて力がない。その上権力がないので島民の大部分は彼の命令に従わないため、政治功績も上げることができない。島民相互間は、隣人間は互いに親しくて共同生活の秩序をよく守っている。裵島監は日本に3度来たことがあって日本語を少しは理解するので日本人のためには非常に便利だが、日本での槻木材の価値が分かるので、常に直接伐採して日本人一名と結託して利益を独占しようとする。昨年以後に彼が韓国朝廷に日本人の槻木盗伐云々と報告し、また島民は槻木を守ることを生命のようにしているといった話などは、全てこのような算段から出た言葉だ。島民は槻木の価格も分からず、山ではこれを薪炭用に伐採していた。このような理由から島監と日本人の間の感情は良くない。(『駐韓日本公使館記録』14(翻刻版)「欝陵島調査概況」第4. 島治、国史編纂委員会1995 544p ; 朴炳渉『韓末鬱陵島・独島漁業-独島領有権の観点から-』韓国海洋水産開発院2009,104p)
 
③彼は、明治29(1896) 3月、島監に任命されるとすぐに島根県平民木村源一郎、鳥取県平民石橋勇三郎と共謀して、本邦在留民が非開港場で密貿易をするという理由で金150円以上500円以下の罰金を徴収した。未納者は直ちに韓国を離れるよう命じて有体動産を没収した後、3人で分配したことを島の韓国人たちが知ることになるとすぐに排斥され、一時本土に身を避けたことがあった。
その後明治318月、島根県平民吉尾万太郎が木こりを雇用してケヤキを製材して道洞海岸に運ぶのを認識してそこに自己の印鑑を押して本邦に輸出した後、境地方裁判所に取り戻すための訴訟を提起した。次に彼は東京に行き、朴泳孝に依頼して朴泳孝から境地方裁判所に対して裵季周は郡守なので相応の待遇をせよとの書信を受けた。彼が裁判所で高等官の待遇を受けるとすぐに一層得意洋々として他人の物を押収しようとしたが、取り調べの結果互いに合意して輸出した槻木の半額を取得した。またその年の12月、同じ手段で木村源一郎を証人とし石橋勇三郎を代理人に定めて島根県平民福間兵之助の輸出材木に対して境地方裁判所に提訴して勝訴したが、福間から広島控訴院に訴訟されて再審の結果、敗訴した。これに関して福間から金1,200円の損害賠償を請求され、内金として豆20石を支払い残金は証書にしたが、その後支払わないのでしばしば請求を受けて苦しい状況になると、その後訴訟をしなくなったという。
彼は、常にこの島の物産を独占的に販売して利潤を独占しようと木村と石橋などと謀ったが、思い通りにならず失敗に終わった。(日本外務省資料616-10『釜山領事館報告書21902530日「韓国欝陵島事情」、「裴季周と島民」)
 
 
  史料①~③の場合、裵季周が島監として在職する中、日本人の鬱陵島侵奪を防ぐために訴訟も辞さないなど積極的な動きを見せたという評価に反する行跡が見える。『独立新聞』1899119日の「槐木潜売」の記事と符合する記録だ。史料①によれば、裵季周は鬱陵島の開拓に伴う交通の便益を得るために日本人の渡航を積極的に勧めたし、裵季周が直接日本の島根または神戸などの地方に行って鬱陵島産出の槻木売買を特約するなど、次第に日本人が鬱陵島に渡航する道を開いたという評価を受けた。それによって、彼らが薦めたことに起因するので日本政府が鬱陵島の日本人を退去させる義務はないとして、逆にその責任を韓国政府に押し付けている。
さらに史料②によれば、日本に3度来たことがあるので日本での槻木材の価値を知るので常に直接伐採して日本人一名と結託して利益を独占しようとしていると裵季周を評価している。史料③によれば、具体的に裵季周1896年に日本人と結託して島根県平民木村源一郎、鳥取県平民石橋勇三郎と共謀して鬱陵島の日本人たちが非開港場で密貿易をしているという理由で罰金を賦課して、未納者に直ちに韓国を離れることを命じて有体動産を没収した後に3人で分配し、そのことを韓国人が知るようになるとすぐに排斥されて一時本土に身を避けたことがあった。
その後の18988月に日本人が切ってきた槻木を裵季周の印鑑を押して日本に輸出した後、境地方裁判所に取り戻す訴訟を提起して勝訴したことを契機として、その年12月に同じ手段を繰り返して福間兵之助に訴訟を提起し、結局敗訴した。これに対し福間から金1,200円の損害賠償の請求を受けて内金として豆20石を支払ったが、残金は証書にしたがその後支払いをせず、しばしば請求を受けてほとんど困難な状況になるとすぐにその後訴訟をしないようになったという。裵季周は鬱陵島の物産を独占的に販売して利潤を独占しようと木村と石橋などとたくらんだが、思い通りにならず失敗に終わったということから見て、このような事実が知られて鬱陵島島監を免職されたと思われる。
 
裵季周は鬱陵島島監を免職されたが、18995月、政府は裵季周島監に再任命して、19001025日「大韓帝国勅令第41号」により鬱陵島を鬱島に改称し島監を郡守に改正した措置により、1129日に初代の鬱島郡守に任命された(23)。そのことは韓日両国の資料に現れないが、史料①~③の資料を見れば、まず、鬱陵島開拓民の一員であったし、また島監を歴任して鬱陵島に関する事情を誰よりも良く知っていたことが考慮され、二番目に、日本語に堪能で日本に渡っていって不法伐採に対する訴訟をするほど対日専門家であった。日本人の不法伐採が激しくなるにつれ、1899年、釜山に留まっていた前島監裵季周島監に再採用するほかはなかった。
  日本人の不法伐採が激しくなるとすぐに裵季周を鬱陵島島監に再採用して、釜山海関税理士代理ラポーテを鬱陵島に派遣、真相を調査しようとしてラポーテ・裵季周などが鬱陵島に向かったのは6月下旬だった。
 
 
 
(23) 『旧韓国官報』第1744号光武41129日「任欝島郡守叙奏任官六等九品裵季周」
 
 
(続く)
 
 
 
「鬱島郡節目」を通じて見る1902年代の鬱陵島社会像
  キム・ホドン 嶺南大学独島研究所研究教授
 
 
 

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