日韓近代史資料集

韓国ニュー・ライトの応援+竹島問題

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 「鬱島郡の配置顛末」に見える韓国政府の「当該郡の所管島は竹島・石島で、東西が60里、南北が40里なので合わせて200余里」という回答からは現竹島が鬱島郡の管轄下になかったことが分かるわけですが、それは裏をかえせば、現在の韓国政府が竹島(独島)に関して主張している「石島は独島である」説がウソであることが分かるということにもなります。
石島は独島である」説というのは、大韓帝国は1900年の勅令41号で鬱島郡を設置するときにその管轄区域を「鬱陵全島と竹島、石島」と規定したが、ここにいう「石島」こそが独島/竹島であって、韓国は1900年に独島を公式に領土と宣言したのだ、という絵空ごとのことです。

勅令第41
   鬱陵島を鬱島と改称し島監を郡守に改正する件
第一条 鬱陵島を鬱島と改称し江原道に所属させ、島監を郡守に改正し官制に編入し郡等級は五等とする。
第二条 郡庁は台霞洞に置き、区域は鬱陵全島と竹島石島を管轄する。
 
 
回答では石島は管轄下にあるとされていますが、それは鬱陵島近辺の東西24km、南北16kmの範囲内にあるのだから、遠く97km離れた竹島(独島)を指すことはできません。現代の韓国政府の「石島は独島だ」という主張がウソ八百であることが「鬱島郡の配置顛末」からも明らかになっているわけです。
 
 ところで、『竹島―もう一つの日韓関係史』の著者である池内教授は、もともとこの「石島=独島説」については否定的です。2010年の「竹島/独島と石島の比定問題・ノート」(http://www.gcoe.lit.nagoya-u.ac.jp/result/pdf/4-2_%E6%B1%A0%E5%86%85.pdf#search='%E6%B1%A0%E5%86%85+%E7%9F%B3%E5%B3%B6+%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88')で否定的な見解を述べてあり、今回の新書でも「しかしながら、この勅令第41号第2条にいう「石島」が竹島に一致することが直接的に証明されたことは、これまでに一度もない。」(p184)という妥当な結論が、一応述べてあります。
ところが、それにとどまらず、池内式「歴史学」はすごいところに「到達」します。すなわち、勅令41号では郡庁は台霞洞に置くと規定されているが、この規定の改正なしで郡庁がいつの間にか道洞に引っ越したという事実が認められるので、「とすれば、勅令41号にいう石島が、1904年には独島と書かれるような変更を、特段の命令等を経ずに蒙っていたと想定することが可能である。(p239)のだそうです。
しかし、「Aがあるのであれば、それと似た意味合いのBもあると想定することが可能」だと言えますかね? A一つだけでは言えませんね。AのほかにC,D,Eもあるというように多数の例があるならばBもあると想定することは可能でしょうが、A一つだけなら、たまたまAだけがそうであったという可能性を想定することも可能です。肯定と否定の両方から可能性を想定することが可能なものというのは、意味のないことです。「結局分からない」というしかない話なのです。郡庁移転の事例は、「なるほど、これはどうも石島が独島と名称変更されたらしい」と思えるような何かの事実がある場合に、それに対して誰かが「勅令の改正もなしにそんな変更が行われるはずがないッ!」と反論したときに、「いや、郡庁も勅令の改正なしに勝手に移動しているじゃないかっ(キリッ)」というように、本筋の事実を側面から支持するという使い方でならば使えないことはないでしょうが、石島→独島という名称変更を窺わせるような材料、つまり本筋の事実自体が認められない以上は使い道は無いのです。
まあ、本では、このすぐ後に「現状のままではすべて可能性の域にとどまるものでしかない。」という留保をつけてはありますが、「石島が独島と名称変更されたらしい」と思えるような手掛かりを何も提示することなくいかにもそういう可能性がありそうに紹介することが、「歴史学」的な分析手法なのでしょうかね。
 
いやあ、話が細かくなってしまいましたが、実際はこんな細かい話はする必要が無いわけでして、石島が竹島/独島であるという韓国政府の主張はウソであることが既に明らかになっているのだから、池内さんのいう「可能性」などというものはもう無いのです。
 
韓国政府の石島=独島主張がウソであることは、「鬱島郡の配置顛末」の記事のほか、勅令41号の制定を求める請議書からも窺えるし、韓国政府外務部作成の『独島問題概論』の記述からも明らかとなっています。



(続く)


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書評(30)~(33)拝読いたしました。
(30・31)チャーミさんの紹介している1955年『独島概論』の記述で勅令41号に触れながら、独島が公式な行政区画にないことを告白しています。山崎佳子さん論文によりますと石島=独島説主張は、1969年以降のようですね。この点は著者も強弁と認識しているのでしょうか(”証明されたことはない”)。

(32)著者(池内先生)は、国際法に基づく無主地先占を否定ないしは軽視しています。これを否定してしまえば、日韓の議論は成り立ちません。いまの韓国側のように、一応先占法理を認めて何か(島根県告示では不充分とか)にケチを付けるやり方の方が賢明だと思います(向こうを誉めてもしょうがないですが・笑)。

2016/5/20(金) 午後 9:29 [ gku***** ] 返信する

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(33)最終結論・強調表現にかみついてもあまり意味がない< は納得でした。(一)の>・・元禄竹島一件、天保竹島一件、太政官指令で日本の中央政府が竹島は日本領ではないということを再三確認したという史実から目をそらさせるものだ。< 一方著者は、江戸時代の竹島・松島について次のような記述もしています。松島を朝鮮領と認めた史実は存在しない(222頁)。竹島は朝鮮領と認めた‐‐松島は「日本でもなく異国でもない」場所であると(138頁)。←面白い。

2016/5/20(金) 午後 9:30 [ gku***** ] 返信する

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日本の無主地先占は「タッチの差に過ぎない」のだからあまり威張って言うな、という御意見らしいのですが、何とも理解しがたい考えです。

2016/5/20(金) 午後 9:57 [ Chaamiey ] 返信する

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> gku*****さん
>著者(池内先生)は、国際法に基づく無主地先占を否定ないしは軽視しています。

↑「否定ないしは軽視」というより,法学に関する知識がお粗末なのだからじゃないでしょうかね。

2016/5/21(土) 午前 7:02 [ pur*cy*ka20*7 ] 返信する

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