地質時代に千葉の名前を


千葉県市原市田淵の養老川沿いの地層が、地質時代の境界を分ける国際的な模式地の候補に。

市原市田淵の養老川岸の地層「千葉セクション」は、
地質時代の一つである第四紀更新世の前期・中期境界の国際模式地(国際模式地とは) の候補となっています。

千葉セクション(チバニアン)提案審査の一時中断については,下記を参照下さい.


地質時代とは、
地球上の岩石をその形成された年代に基づいて区分したものです。
国際地質科学連合や国際層序委員会等によって
国際年代層序表(International Chronostratigraphic Chart)として提示されています。
たとえば、恐竜が絶滅した時代は、白亜紀-古第三紀境界とされています。ただし、時代区分の定義、名称や年代等に関しては絶えず見直されており、前期・中期
更新世境界の様にまだ合意に至っていない時代もあります。

「千葉セクション」は、この前期・中期更新世境界の国際模式地の候補です。
国際模式地としてが選定されるべく、多くの地質学者がこの重要な地層に対して長年にわたり調査を続けて来ました。

「千葉セクション」が
前期・中期更新世境界国際模式地として認定されるためには、いくつかの条件があります。
その条件のなかで特に重要な条件は以下の三つです。
1.
海底下で連続的に堆積した地層であること
2.
地層中に過去の地磁気の逆転が記録されていること
3.地層の堆積した当時の環境変動が詳しくわかること

また、地元自治体などによって、今後の研究活動を妨げない形で模式地が永久に保存されることも必要とされています。

我々は最近、地質学における最新の研究手法・技術を適応することで、「千葉セクション」から世界最高精度で地磁気逆転の記録を復元し,その年代値を求めることに成功しました
千葉セクションの説明
「千葉セクション」の地磁気逆転記録の様に、精度良く復元され、また同時に精密な年代も求められている地層は世界的に非常に貴重です。また、その後研究により、千葉セクションの地層が堆積した当時の環境変動についても詳しく分かってきています。

これらの成果をまとめ、2017年6月、我々の研究グループ(21研究機関31名)は
千葉県市原市の地層「千葉セクション」を前期・中期更新世境界の国際模式地とすること、
そして、中期更新世の時代名として千葉に由来するChibanian(チバニアン)を用いることを提案すべく申請書を提出しました。
(チバニアンの名称については なぜChibanian(チバニアン)なのか?>を参照下さい)

「千葉セクション」の他には、イタリア南部のモンタルバーノ・イオニコ(Montalbano Jonico)、同じくイタリア南部のヴァレ・デ・マンケ(Valle di Manche)の地層をそれぞれ支持するグループが申請書を提出しました。

提出された申請書は,作業部会での約3か月の討論期間の後、10月10日からの1カ月間、電子メールにて投票が行われました。
その結果、「千葉セクション」が最も多くの票を集め、GSSP候補として上部の委員会に答申されることになりました。

さらに,2018年11月17日にIUGS内のSQSにて行われた投票の結果,が公表されました.
「前期‐中期更新世境界」のGSSPとして「千葉セクション」が認められ,上位の委員会に答申されることになりました.

今後は、下記のようなステップで答申を認めるかどうかの審議が行われ、最終的にIUGSの投票で60%以上の得票があれば、「千葉セクション」が前期‐中期更新世境界を示すGSSPとなります。
GSSPとなった場合、地質時代の中期更新世(約77万年前~約12万6千年前)が、「千葉時代」を意味する「チバニアン(Chibanian)」と名付けられます。



地磁気の逆転現象は1920年代に京都帝国大学の松山基範教授が発見し、その後も多くの日本人研究者が研究を進めてきました。
いま、この地磁気逆転が基準となる国際標準模式地として「千葉セクション」が選定されるべく、
引き続き我々研究グループが一丸となって研究を進めています。

これまで大変多くの方々から頂いた支援に改めて感謝するとともに、
今後も引き続き「千葉セクション」の研究の発展にご支援を賜れればと考えております。

尚,市原市田淵の現地(千葉セクション)に展示してあります全ての看板・標識等は,我々が設置したものではなく、
我々の研究活動およびGSSP申請活動とは一切無関係です。

©千葉セクションGSSP申請グループ コアメンバー