初優勝を報告したいのは「一番は先生」。関取昇進を決めた2017年初場所中、40歳で亡くなった母校・富山商高相撲部の浦山英樹元監督を、迷わず挙げた朝乃山。同じくらい勇姿を見せたいのは、自身の後輩で恩師の長男秀誠君(2年)だ。
中学時代は全国2位となり、高1でいきなりインターハイ出場。「自分は高1では、覚醒してなかったんで」とちょっとムキになり、実績で上回られたことを話す声はどこか弾んでいた。
兄貴分として稽古をつけたり、家族ぐるみの交流を続けてきたが恩師の死後は、お年玉を渡すなど「先生がいなくなったから僕が」。25歳にはいささか早い父親代わりとして、忘れ形見を土俵上で引っ張ることが、恩師への新たな恩返しとなっている。 (志村拓)