朝乃山 異例6分間協議の末に勝利 明暗を分けた審判部長の判断

2019年05月25日 13時01分

栃ノ心はガッツポーズで勝利を確信したが…

 微妙な判定が優勝争いに影響か。大相撲夏場所13日目(24日、東京・両国国技館)、幕内朝乃山(25=高砂)が関脇栃ノ心(31=春日野)を寄り切って11勝目(2敗)。勝ち星で並んでいた横綱鶴竜(33=井筒)が3敗に後退し、優勝争いの単独トップに立った。

 予想外の展開だ。朝乃山が土俵際まで攻め込みながら、最後は相手のすくい投げで逆転負けしたかに見えた。行司の軍配も栃ノ心。ここで審判団から物言いがつき、話し合いは異例とも言える6分あまりも続いた。協議の焦点は栃ノ心の右足かかとが土俵から出ていたかどうか。ビデオ室の映像も斜め上からの角度で判然としない。勝負を間近で見ていた放駒親方(41=元関脇玉乃島)は「自分が物言いをつけた。栃ノ心の足の裏に砂がついていたように見えた」と話した。

 最終的には規則通り、現場で直接見ていた審判の判断を優先。行司差し違えで朝乃山の勝ちへと覆った。審判部長の阿武松親方(57=元関脇益荒雄)は審判の意見が分かれたことを認める一方で「(ビデオ室の審判が判断を)迷っていた。目の前で見ていた人の判断が一番」と説明。朝乃山は「勝敗? 先に落ちたので負けたと思った」と胸中を吐露した。

 優勝争いには「何も考えてない。いつも通り平常心でいくだけ」と無欲を強調した。三役未経験者の平幕優勝は58年ぶりの快挙。令和の新元号で最初の本場所は、波乱の結末を迎えるのか。