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アクセル・ブレーキの踏み間違い事故(発進暴走事故)が続いている。
そこで、これをを防止するための装置が開発されている。(日産・トヨタなどの)一部車種ではすでに搭載済みだが、後付けする装置もデンソーが提供している。
ブレーキとアクセルの踏み間違いなどで死傷者が出る事故が相次ぐなか、自動車業界が、衝突軽減ブレーキ(自動ブレーキ)や踏み間違い防止といった安全装置の普及と性能向上に努めている。22日から横浜市で開催中の自動車技術の展示会で、各社が最新の技術をアピールしている。
自動車部品の国内最大手デンソーは、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故を防ぐ装置を展示した。超音波を使ったセンサーをバンパーにつけ、障害物からの距離を計測。ブレーキと間違えてアクセルを強く踏んだと判断した場合、車の発進をほぼ抑える仕組みだ。
( → 踏み間違い防げ、車の新技術PR 横浜で展示会:朝日新聞 )
これはどういうものかというと、(デンソーのサイトよりも)販売しているトヨタのサイトを見るとわかる。
→ 踏み間違い時サポートブレーキ | トヨタ自動車WEBサイト
一部抜粋しよう。
見ればわかるように、前後で 6個のソナーを付けている。前と後のそれぞれで、(1個で済みそうなのに)3個もソナーが付いている。これではコストが多額になるだろう。そう思って調べると、まさしくその通り。8万円もかかる。
アクア 78,732円~
プリウス(ZVW30) 81,885円~
プリウスα 81,885円~
※価格は取付費・消費税込みです。
センサー:超音波センサー(前2個・後2個)
( → 踏み間違い加速抑制システム | ネッツトヨタ栃木株式会社 )
超音波センサー(前2個・後2個)という低スペックでさえ、8万円もする。スペックが上がると、さらにコストは上がるだろう。
たとえば、日産の新型スカイラインは、「12個のソナー」だそうだ。
→ 日産:スカイライン[SKYLINE] 2019年。秋
こういうふうに高価格になると、ユーザーが購入するのは難しい。すると、「法令で義務づける」というのも、ちょっと無理がある。自動ブレーキほどにも顕著な効果がある(万人に有効である)わけではないし、一部の無能な高齢者向けの対策であるにすぎない。そんなものを、全員に強いるのは無理がある。特に、これほど高額であれば。
しかし、強制しないと、事故の抑止は難しくなる。なるほど、「発進時に左足ブレーキ」という方法でも、事故は抑止できるが、それを忘れる( or 実行しない)人もいるから、事故は今後も続きそうだ。困った。
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そこで、困ったときの Openブログ。誤発進防止装置を、コストゼロで導入する方法を示そう。それは、こうだ。
「ソナーのかわりに、(自動ブレーキ用の)ステレオカメラを転用する」
この場合、(自動ブレーキ用の)ステレオカメラがすでにあるという状況では、それを転用する(制御プログラムを書き換える)だけで済むので、誤発進防止機能の導入は、コストゼロで済むのだ。
そもそも、どうしてそうなるか? どうしてそういううまい話が生じるのか? それは、通常の方式(単眼カメラ + ミリ波レーダー)の機能がかなり貧弱であることによる。
具体的には、次のことだ。
・ 単眼カメラ方式は、速度ゼロでは作動しない。
・ ミリ波レーダーは、人間を検知しない。
(i) 単眼カメラ方式は、速度ゼロでは作動しない
単眼カメラ方式は、自動車が前進するときに対象の像が変化するのを検知して、対象との距離を知る。当然、自動車が前進しなければ、単に静止画を見ているのと同じだから、対象の像は変化しないし、対象との距離はわからない。つまり、速度がゼロのときには、単眼カメラ方式は作動しない。
(ii) ミリ波レーダーは、人間を検知しない
人間は、金属と違って、ミリ波レーダーの電波を反射しにくいので、レーダーで検知されにくい。かくて、ミリ波レーダーは、人間を検知するのは能力不足である。
以上の (i)(ii) の問題があるので、「単眼カメラ + ミリ波レーダー」では、能力不足となる。どうしても、追加的に、ソナーが必要となる。
一方で、ステレオカメラ方式なら、それ単体で済む。3種類もの装置を併用する必要はないのだ。
単純に言えば、次のように言える。
・ 自動ブレーキだけなら、「単眼カメラだけ」が最安だ。
(だから日産はこの方式を選んだ。)
・ 対人安全性や発進時安全性を含めると、ステレオカメラが最安だ。
(ミリ波レーダーとソナーが必要ないので)
(ただしミリ波レーダーは念のために備えてもいい)
要するに、もともと高機能のものを装着すれば、それだけで機能的には満たされるから、あとで(機能不足を補うための)別装置を、追加する必要はなくなるのだ。
これは「安物買いの銭失い」とは正反対の方針だ。最初にケチらなければ、あとで追加費用を請求される心配もない。
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以上で、核心的な話は済んでいる。ただ、補足的に、さらに次のことが言える。
ソナー式の誤発進防止装置は、コストが非常に高いだけでなく、性能も低い。つまり、機能不全のエラーが起こりやすいのだ。そのことは、メーカー自身が告知している。
対象が次の3通りである場合には、システム不作動(ソナーの認識不全)が起こると示されている。
・ 標識などの細いポール
・ 斜めになっている壁
・ 壁の位置がずれているとき
これらの場合には、ソナーの超音波がうまく反射してこないので、認識不全が起こるわけだ。
一方、ステレオカメラを使った場合には、このような認識不全は起こらない。(原理的に起こるはずがない。)
というわけで、コスト面だけでなく、機能面でも、ステレオカメラ方式が優れている。その意味で、ステレオカメラ方式がお薦めだ。
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結論。
話の結論は、「単眼カメラ方式よりもステレオカメラ方式の方がいい」ということではない。(お間違えなく。優劣を論じているのではない。)
「単眼カメラ方式のかわりに、ステレオカメラ方式を使えば、コストゼロ同然で、誤発進防止装置を導入できる」
というのが、主要な話だ。ここから、次のように結論できる。
「方式の種類を問わず、とにかく、誤発進防止装置を導入するように義務づけるといい」
すると、この結論にともなって、「全体コストを節約できるステレオカメラ方式が普及していく」というふうになるかもしれない。しかし、それが狙いではないのだ。方式はあくまで、どうでもいい。(私はスバルの回し者ではないからだ。)
大切なのは、国民の命である。そのためには、誤発進防止装置を導入するべきだし、高性能の自動ブレーキ装置も導入するべきだ。そして、そのための近道は、現状ではステレオカメラ方式であるだろう。ただ、ステレオカメラ方式の普及自体は、目的とはなっていない。目的はあくまで、国民の命を守ることである。
( ※ ステレオカメラ方式の普及にともなって、結果的に国民の命が救われるのであれば、それはそれでいい。)
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《 注記 》
ステレオカメラ方式は優れている。それにもかかわらず、実際には、単眼カメラ方式を取る会社が多い。
なぜか? 単眼カメラ方式は、自動操縦でハンドル操作をするのには(処理が高速なので)有利だからだ。
とはいえ、単眼カメラ方式は、対象との距離を知ってブレーキをかけるためには、能力が不足しているのである。特に、自動車の速度がゼロの場合にはそうだ。……そのことを、本項では指摘した。
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なお、ステレオカメラ方式と単眼カメラ方式の併用は、可能である。
・ 自動運転は、ステレオカメラのうちの一方のカメラを使って、単眼カメラ方式で情報処理する。(ハンドル操作)
・ 衝突防止は、ステレオカメラの2台を使って、ステレオカメラ方式で情報処理する。(ブレーキ操作)
このような併用が、理想的であると思える。
[ 付記1 ]
→ [ 付記5 ] に移転しました。
[ 付記2 ]
単眼カメラ方式には、別途、難点がある。
・ 対象との距離がとても長いとき
(≒ 自動車の走行速度が高速であるとき)
・ 視野のコントラストが弱いとき
(≒ 夕方や雨天・曇天のとき)
これらの場合には、単眼カメラ方式は能力不足となる。実際、日産の単眼カメラ方式の場合には、これらの条件のときに、自動ブレーキが不作動で衝突した例が報告されている。
(過去の項目で紹介したとおり。サイト内検索すればわかる。)
- ※ 前者の問題(高速時の能力不足)を解決するために、日産は「画角を変えた3種類のカメラを併用する」という方式を取った。これだと、1台は望遠カメラを使うことになるので、問題は縮小する。とはいえ、やはり、根本的な解決にはならない。単眼カメラは原理的に高速時には弱い。(遠方のものを検出しにくい。)
[ 付記3 ]
さらに、次の例もある。
「暗いトンネル内で、明るい出口の手前に先行車があるとき」
この場合も、単眼カメラ方式が不作動だったと報告されている。
→ 自動ブレーキの不作動: Open ブログ
ただしこれは、ステレオカメラ方式ならば大丈夫だったかどうかは、不明だ。ハレーションが理由だったとすれば、ステレオカメラ方式でも駄目だったかもしれない。ミリ波レーダーだけが、この場合には有効だろう。
[ 付記4 ]
すぐ上では、「単眼カメラもステレオカメラも無効となる場合」を示した。
そこで、よく考えると、カメラ方式はいずれも無効になりがちになることがある。たとえば、濃霧時や雨天時や降雪時だ。こういうときには、ミリ波レーダーの併用は、どうしても必要になりそうだ。(ステレオカメラ方式であっても、だ。)……ステレオカメラ方式で不要になるのは、ソナーだけだろう。
とはいえ、ステレオカメラ方式だと、ミリ波レーダーなしでも、それなりに高機能に働く。
特に、「視野の利かないような悪天候のとき」には、そもそも人間が運転することが不適切なのだ。とすれば、「運転しない」という選択肢をとれば、何も問題はない。
ステレオカメラ方式でミリ波レーダーが必須になるのは、自動運転の場合だけだろう。人間が運転するときには、「ミリ波レーダーが必要な天候時には、そもそも運転しない」という対処を取ることで、解決が付く。
といっても、北海道あたりでは、降雪が多いので、ステレオカメラだけだと不便であるようだ。ミリ波レーダーは、「なくてもいい」のではなく、「あるに越したことがない」と言えるだろう。
- なお、降雪時には、白色の部分を演算から取り除くことで、「雪の存在を無視して、視野の物体を調べる」という高度な処理も可能だろう。その意味では、いくらか解決策にはなりそうだ。とはいえ、「雪をそのまま透過してしまう」というミリ波レーダーの根本的な対策にはかなわない。
「ミリ波レーダーでは検知できない対人用検出に限って補助的に使える」というぐらいのことしかできないだろう。
[ 付記5 ]
※ 以下は、[ 付記1 ]から移転しました。
ステレオカメラ方式は機能的に優れている。では、ステレオカメラ方式では、エラーはまったく起こらないか?
いや、ステレオカメラ方式でエラーが起こることもあるだろう。たとえば、次のような場合だ。
「前方には灰色一色の壁だけがあるとき」
この場合には、対象を認識できない。とはいえ、そういう場合には、前進するはずがない。後進するしかない。なのに、後進するべき場合に前進すると、壁にぶつかる可能性がある。こういうことは、ソナーでは防げるが、ステレオカメラでは防げない。
とはいえ、このような場合には、事故が起こるとしても、自損事故だけである。前方には人はいない。だから対人衝突の事故は起こらない。また、壁は目の前にあるだけだから、衝突が起こるとしても、低速であって、被害は小さい。(たとえば時速 5km で衝突するので、被害は小さい。)
その意味で、あまり考慮しなくてもよさそうだ。
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なお、ステレオカメラ方式で、発進時に前方が灰色一色の場合には、うまく対処する方法がある。
ヘッドランプや方向指示ランプを点滅させることで、前方の情景を強制的に「模様のある情景」に転換すればいい。こうすれば、(前方が灰色一色ではなくなるので)ステレオカメラは問題なく機能する。
これは「うまいアイデア」である。(特許でも取れそうな感じだ。)
[ 付記6 ]
すぐ上で示したことは、単眼カメラ方式にも適用できそうだ。つまり、こうだ。
単眼カメラ方式においても、発進時には、ヘッドランプや方向指示ランプを点滅させるといい。その前後で画像を比較すると、障害物があることを検知できる。
たとえば、正面(すぐそば)に次のようなものがあるとしよう。
・ 細い柱が立っている。
・ 人が歩いている
・ 灰色の一面の壁がある
こういう状況では、ヘッドランプや方向指示ランプを点滅させたときに、特有の変化が現れる。(明るさの差として)
だから、その差を検知することで、正面(すぐそば)にあるものを検出できる。
ここでは、自動車が動いているかどうかに関係なく、明るさの差だけで、障害物の有無を検出できるのだ。
※ 障害物が何もないときには、変化は少ない。
※ 障害物があれば、ヘッドライトの点滅で差が生じる。
「右目だけ」「左目だけ」のように切り替えるといい。
※ 10メートル先に障害物があるときにも、検出は可能だ。
特に、ロービーム・ハイビームの、切り替えが有効だ。
この方法を使えば、ソナーなしでも障害物を検出できるので、誤発進防止装置となるだろう。ステレオカメラでなく、単眼カメラ方式であっても、それなりに有効な機能を果たせるわけだ。(ステレオカメラ方式ほど完璧ではないにせよ。)
なお、この方法は「光を発射して対象を検知する」というアクティブな方式である。その意味では「音波を発射して対象を検知する」というアクティブな方式であるソナーと同類だ。この方式は「音波のかわりに光を使うソナー方式」と言えなくもない。(比喩的にだが。)……違いは、コストがゼロ同然で済むことだ。
これも「うまいアイデア」である。(特許でも取れそうな感じだ。)
タイムスタンプは 下記 ↓