西前頭8枚目の朝乃山(25=高砂)が再び優勝争いの単独トップに立った。優勝を争う関脇栃ノ心との直接対決で、1度は相手に軍配が上がったが物言いがつき、6分近くの異例の長さの協議に発展。行司軍配差し違えで11勝目をつかんだ。物議を醸す判定に救われた形となった。
6分近く続いた協議の末、結果は軍配差し違え。日本相撲協会には直後から10分以上、ファンからの抗議電話が続いた。「栃ノ心の勝ちだろう」「協議時間が長すぎる」が大半だ。日刊スポーツ東京本社にまで抗議電話が。それほど微妙だった。
勝負が決したのは向正面西寄りの白房下で、物言いをつけたのは角度的に栃ノ心の足が見えた西の放駒審判(元関脇玉乃島)。「栃ノ心のかかとが砂を連れてきたと見えた」と報道陣に説明。俵の外の砂を払ったと見えた。ビデオ室への確認では、上から見た角度のカメラで栃ノ心のかかとは見えない。結局、その部分が見えたのは同審判しかおらず「目の前で見た人の判断が一番(優先される)」と阿武松審判長(元関脇益荒雄)がまとめた。場内説明で同審判長が「西方力士(栃ノ心)の勝ちと決定致しました」と言い間違える声は、館内の大歓声にかき消された。