流体機械設計と流体解析シミュレーション

流体機械設計と流体解析シミュレーションを行っている株式会社ターボブレードの社長である林 正基の日々について記載しています

MOMO2号機の飛行時状態流れ解析は40ケースの解析計算を終了しました

2018年04月25日 | 宇宙航空産業機械

IST社MOMO2号機のロケット飛行時状態流れ解析は40ケースの解析計算を終了しました。

迎え角を5種類(0度、1度、4度、8度、12度)のそれぞれでマッハ数を8種類(0.65, 0.8, 1.0, 1.2, 1.35, 2,0, 3.0, 3.8)の5×8=40ケースのロケット飛行時状態流れ解析シミュレーションを行いました。

この40ケースのロケット数値風洞解析とも言える作業を実質は10日間ほどで終えることが出来たのも、担当女性エンジニアの頑張りと最終段階での他の女性エンジニアのフォローがあったからだと考えていますので、お疲れ様でした。

次は40ケースの解析計算値をグラフにまとめたものであり、妥当なロケット飛行時挙動解析結果となっていると推定しています。

MaxQ付近でのロケット挙動変化も捉えることが出来ていると考えられます。

よってIST社稲川社長のMOMO2号機飛行時挙動計算結果をそれなりにフォロー出来たように思われます。

<今日の流れ>

今日は午後から大分大学で工学部の大学院1年生159名に聴いてもらえる講演を行います。

講演の内容は、地元の企業である弊社ターボブレードがどのような技術的な仕事をしているかをお話するものです。

面白く聴いてもらえれば良いかなと思っています。


MOMO2号機の飛行時流れ解析の不足している飛行状態点を解析計算継続中

2018年04月24日 | 宇宙航空産業機械

MOMO2号機の飛行時流れ解析の不足している飛行状態点を解析計算継続中です。

先週の金曜日に提出した飛行時流れ計算結果データはIST様に参考になったとの連絡をもらえましたので、まだ解析計算を行っていなかった迎え角が大きい範囲での計算をなるべく短期間で終わるように続けています。

先週金曜日まではMOMO2号機飛行状態解析のために最大5台の解析マシンを使って流体解析シミュレーションを行っていましたので短期間で多数の飛行状態点の解析値を出すことが出来ましたが、しかし先週末からは他の開発設計業務の解析シミュレーションの急ぎの計算のバッチ処理を進めたことで、現在は解析マシン2台のみをMOMO2号機飛行時解析の残点のバッチ処理計算に使っています。

そのバッチ処理の画面が次ですが、そろそろこのシミュレーションバッチ処理も迎え角12度での最終計算ケースとなっています。

よって本日中には迎え角12度までの全計算結果データをまとめた解析結果報告を出せるように担当者と今打合せをしています。

迎え角12度まで計算をすると次の解析モニタリング画面のようにロケット機体廻り流れはかなり乱れている状態となるようです。

この解析計算結果では直接に機体の揚力値、抗力値、モーメント値が出るので、その値を直接に機体制御のパラメーター値として使ってもらうことが出来ますが、今後のためにも揚力係数、抗力係数としてまとめる作業も今後行います。

<今日の流れ>

今日は、明日の大分大学での工学部大学院生170名の前で行う講演のためのパワーポイントデータを作成する作業となります。

途中にはMOMO2号機飛行時流れ解析結果データのまとめ方についての担当者との打合せが入ります。


ロケットエンジン用液体酸素ターボポンプの設計を開始しています

2018年04月23日 | 宇宙航空産業機械

ロケットエンジン用液体酸素ターボポンプの設計を次のように開始しています。

ケロシンターボポンプの設計をベースに液体酸素ターボポンプへと設計を変更していっています。

液体酸素は密度が水より大きいので、ケロシンターボポンプのように水より密度の低いケロシン液体では必要ヘッド(圧力)を出すのに回転数は高くなり羽根直径は大きくなりますが、液体酸素ターボポンプでは羽根直径が小さく出来て回転数も低く出来ます。

遠心ターボポンプでは、羽根外周直径と回転数(=周速度)、そして密度が到達ヘッド(m)を決める要素です。ポンプ効率もヘッドのパラメーターであり効率が高いほどヘッドが出やすくなります。

ロケット用タービン駆動ターボポンプでは、タービン駆動力とポンプ必要軸動力のバランスがターボポンプ全体の回転数を決めてしまうので、タービン効率とポンプ効率の設計時見積りと流体性能解析計算での効率確認は非常に重要であり、ポンプ必要軸動力が予定より大きいとタービン駆動力とのバランスが崩れ、ターボポンプ定格回転数が出なくなってしまいヘッド圧力が低くなり、燃焼室圧力が上がらずロケットエンジン推力が予定通り出ず、予定軌道に衛星を投入出来ないこととなります。

つまりロケットエンジンにとって、ターボポンプ設計は非常に重要で、ロケットエンジンの心臓部と言って良いと思います。

液体酸素は蒸気圧が高く、簡単にポンプ吸い込み部の動圧発生による静圧の低下で液体が蒸気泡となるキャビテーションノ発生が起こり、その蒸気気泡が液体の流れを塞いで設計流量が流れなくなりますので、キャビテーションが発生し難い転向角の少ない翼形状で、発生しても翼間の隙間が大きいため流れを塞ぐ領域が少ないスクリュウプロペラ型に近いインデューサー翼で液体酸素を吸い込みます。

インデューサー翼で設計流量が吸込めれば、次の段である遠心ポンプ翼の入口ではインデューサー翼出口で少しだけインデューサー翼効果で静圧が上がっていますので、遠心ポンプブレード入口ではキャビテーションの発生が無く、遠心作用を充分に発揮して高圧の流体を予定流量吐出出来ることとなります。

ポンプ入口でキャビテーションが発生する原因は入口流れの動圧発生が原因となるため、ポンプのヘッドを出す為にポンプ回転数を上げてインペラ外周周速度を高める設計を行うとポンプは小型となりますがそれに応じて入口口径も小さくなり入口絶対速度が増えて動圧分の静圧低下が大きくなりキャビテーションが起きやすくなります。

またインデューサー羽根位置で見ると羽根の回転数が高く周速度が大きいと、羽根に入ってくる液体の相対速度が増えて相対速度による動圧低下が起こりキャビテーションが発生しますので、ポンプ小型軽量化のためのポンプ回転数の決定とキャビテーション発生状態の釣り合いは細かい検討が必要となります。

<今日の流れ>

今日は見積書作成と明後日にある講演のパワーポイントデータの強化を行います。


MOMO2号機の飛行時流れ解析は予定よりも少し多く結果データを出せました

2018年04月21日 | 宇宙航空産業機械

MOMO2号機の飛行時流れ解析を行っていますが、今週末の予定進捗よりも少し多く結果データを出してお送り出来ました。

今週末予定では迎え角0度と1度でのロケット飛行時機体流れ解析計算データを全てのマッハ数値で間に合わせる予定でそれらは全て計算出来、さらに迎え角4度では対流圏は全て、迎え角8度では対流圏で3点の解析計算データも取ることが出来ています。

迎え角0度では圧力中心位置が対流圏では大きく変動する点があり、その理由は分からず不安定な結果もありましたが、迎え角が少しでもあると圧力中心はほぼ機体中間部付近に一定しているようです。

揚力や抗力の結果もIST稲川様が計算されたものと似たような傾向となり、僭越ながら今回のロケット飛行時流れ解析はIST様の事前計算確認のために少しお役に立てたと言えそうです。

次の表で記載の無い迎え角・マッハ数条件点を現在バッチ処理計算で進めています。

<今日の流れ>

今日は午前中から会社に出て解析計算進捗状況を確認してみます。

夕方からは大学時代の友達と夕食です。

 


ロケットエンジン用ケロシンターボポンプ+配管+再生冷却ノズル+燃焼室側壁の性能解析のモデル作成

2018年04月20日 | 宇宙航空産業機械

ロケットエンジン用ケロシンターボポンプ+配管+再生冷却ノズル+燃焼室側壁の性能解析のモデル作成を次のように行っています。

ケロシンターボポンプのインペラが回転して高圧ケロシンを渦巻きケーシングからノ吐出し、ノズル再生冷却を行う為の配管を通り、ノズルスカート下部からノズル壁面を冷却しながらノズルスロート部を通り、燃焼室壁面を冷却して通過する、ロケットエンジン運転時に合わせた流体解析シミュレーションを行うターボポンプ性能流体解析です。

まずこのポンプ流れを求めるために、ケロシンタンクからのポンプ入口から燃焼室での最終出口までの流れを流体解析シミュレーションして詳細なポンプ性能を出します。

ケロシンターボポンプのケロシン加圧性能を出した後には、全ての流体解析要素に材質を指定することで熱流体解析の準備をして、ポンプから吐出のケロシンによるノズル内壁と燃焼室内壁の冷却効果を見るために、次の解析として燃焼室噴射部に燃焼ガスの数MPaの高圧をかけ、3000℃ほどの燃焼がす温度でノズル熱流体流れを造り、それが内壁を高温としますが、ケロシンが内壁と外壁の間を流れることでの内壁冷却作用による内壁材の温度を熱流体解析シミュレーションで求める作業に入ります。

<今日の流れ>

午前中は用事で少し出ていましたが、午後はターボポンプ設計を行います。


ロケットエンジン用電動ケロシンターボポンプのインデューサー部と渦巻きケーシング流力形状の変更

2018年04月19日 | 宇宙航空産業機械

ロケットエンジン用電動ケロシンターボポンプのインデューサー部と渦巻きケーシング流力形状の変更を行った流体解析モデルの3次元CAD画面ショットです。

インデューサーのブレード前縁部を上流側に展開角を広げて延ばし、シュラウド側を丸くすることで発生キャビテーションの減少を意図しています。

渦巻きケーシングの吐出部への断面積の変化を大きくして出口部への流れの局所的な増加を減らす流力形状変更です。

更に、渦巻きケーシング巻き終い部のインペラ外周部との距離を狭くして、巻き終い部から直接な吐出部への流れを減らします。

この電動ケロシンターボポンプの解析モデルは、ポンプ吐出後に配管とノズル部の再生冷却部そして燃焼室燃料噴射部直前までの吐出側流路を造り性能流体解析シミュレーションを行う準備中です。

<今日の流れ>

今日は自分は1軸タービン駆動ターボポンプの設計の続きですが、MOMO2号機の飛行時流れ解析の担当者は昨日大変なスピードで迎え角0度と1度での全マッハ数の解析計算準備と解析開始を解析マシン4台を使って行ってくれており、本日はそれら結果データの処理エクセル表の最終的な準備をしてくれているので、明日までの飛行解析結果は出せそうです。


MOMO2号機飛行時流れ解析の迎え角1度での解析計算バッチ処理を実行中

2018年04月18日 | 宇宙航空産業機械

MOMO2号機飛行時流れ解析の迎え角1度での解析計算バッチ処理を実行中です。

次図のように、迎え角1度でマッハ数を0.65, 1.0, 1.35, 2.0, 3.0, 3.8 の6通りの計算をバッチ処理で進行中ですが、マッハ数ひとつの収束までの計算時間が50時間以上必要なので、このバッチ処理をそのまま進めると週末までのデータまとめが間に合わなくなります。

よって弊社の解析マシン8台中の3台を新たに加えて分散させた計算状態で、マッハ数も0.8, 1.2 の2通りを付け加えた体制を整えて今朝から進めています。

迎え角0度でも新たにマッハ数0.8, 1.2 を加えて計算を実施します。

これまでに終了した計算結果から圧力中心を求める手法はデータ処理計算に加えられますが、終了している計算結果値からCPを手計算で出すと機体後端部に寄る傾向があり、弊社のこれら解析が正しいのか、う~ん!と思っているところです。

解析計算値の収束へ至る計算ステップ数の下限をより吟味する必要が有るようにも思われます。

しかしながら迎え角0度、1度での全てのマッハ数値での計算結果データは今週末には出せることとなり、少しは御参考となりそうです。

もっと解析計算事例の積み重ねと解析スキルの増加を行います。

その後考えたところ、弊社解析ではロケットエンジンからのジェット噴射をロケット飛行解析計算中で行っているために、機体後部の表面はジェット噴射が引き連れる流れが生じて圧力が低下することなどが、機体後部への圧力中心CPの移動を促している可能性を考えている。だが現時点では不明である。

<今日の流れ>

上記のロケット機体解析についての体制を整えるための打合せを午前中は中心として行っていました。


MOMO2号機の飛行時流れ解析は機体材料を指定することで機体熱流体解析結果が出せます

2018年04月17日 | 宇宙航空産業機械

MOMO2号機の飛行時流れ解析は、ロケット機体材料を指定することで熱流体解析でもあるので、次図のように機体への熱流束分布や機体表面温度分布も出ています。

次図の熱流束の値については非常に小さいので、もしかしたら機体材料としてのGFRP想定材の断熱効果か? とか色々悩んでいます。

次図は、ロケット機体表面の温度分布ですが、これもあまり熱くなっていないので、結果の検討が必要です。

今後のMOMO2号機の飛行時流れ解析のケースは、

マッハ数が0.65, 0.8, 1.0, 1.2, 1.35, 2.0を優先的に行い、迎え角も0度を優先、その後1度、4度、8度、12度と変えてゆき、今週末には迎え角0度と1度での全マッハ数をデータとして整理出来ていればと思っています。

熱流束の値が低い問題は、アルミ外板への指定材料の変更での解析や、内部構造を空洞としての解析などで熱流束値の違いを確かめてみる必要がありそうです。

 <今日の流れ>

今日は午前中はいろいろなプロジェクトの担当者との進捗打合せでしたが、午後は来客があり現在終業時間となりました。

予定よりもターボポンプ設計の進捗が遅れており、申し訳ない気持ちです。


MOMO2号機の飛行時流れ解析シミュレーションにより求める値の一覧

2018年04月16日 | 宇宙航空産業機械

MOMO2号機の飛行時流れ解析シミュレーションにより求める値の一覧です。

次の表は、マッハ数2.0で飛行している迎え角0度での流体解析シミュレーションで求めた値の一覧表です。

グローバル座標系でのロケット原点位置での各種の力とモーメントと、ロケット全体を均一な材料のソリッドと考えた場合の仮の重心位置での各種力とモーメントを求めています。

ただ、ロケット飛行状態変化での燃料消耗などによる重心位置の変化があるので、重心位置の変化量を考慮した解析としたいと思っていますが、現在その重心変化データがないので、それがあれば更に正確な飛行時解析になることからデータを希望します。

なおこの表には圧力中心Cpの位置データはないが、ロケット形状原点でのモーメントと仮の重心位置でのモーメントを出しているので、その二つの数値から補間することでモーメント0となる圧力中心Cpの位置をロケット軸方向に出すことが出来ると推定する。

次図がMOMO2号機の迎え角0度でマッハ数3.8でのロケット流れ解析計算のモニタリング画面です。

高マッハ数流れなので、ロケット後方に衝撃波面のようなものが出来ているようです。

<今日の流れ>

今日は午後からの来客までは設計中心の作業となります。

今日の設計は1軸タービン駆動ターボポンプの断面計画図です。


MOMO2号機の飛行時機体流れ解析シミュレーションの解析条件を一覧にまとめる

2018年04月14日 | 宇宙航空産業機械

MOMO2号機の飛行時機体流れ解析シミュレーションの解析条件を一覧にまとめる作業のエクセル表です。

このMOMO2号機ロケット機体飛行時流れ解析条件表を、迎え角0度から迎え角5度まで設定して、ある迎え角毎にマッハ数を6つを設定して流体解析計算を行いますので、全流体解析計算数は6×6で36通りを行います。

36通りのMOMO2号機飛行時機体流れ解析シミュレーションを行えば、詳しいロケット飛行時挙動の経過を見ることが出来るでしょう。

<今日の流れ>

今日は土曜日の休日ですが、午後は会社に出ることとします。

会社に出ると思ったのですが、体がまだ疲れているので、今日は癒しの日として家でダラダラします。