流体機械設計と流体解析シミュレーション

流体機械設計と流体解析シミュレーションを行っている株式会社ターボブレードの社長である林 正基の日々について記載しています

ロケット用として大まかな設計を行った液体酸素タンクの固有値解析の結果です

2018年06月07日 | 宇宙航空産業機械

ロケット用として大まかな設計を行った液体酸素タンクの固有値解析の結果です。

次が液体酸素タンクの固有値解析用解析メッシュの外観です。

液体酸素タンクはフレームストリンガー構造となっており、その内部の解析用メッシュが次です。

この液体酸素タンク固有値解析では、タンクは内部は空であり、タンクが立った状態で重力の外力がかかり、固定はタンク下部の側板をドーナツ状に固定しています。

次が固有値の1次モード結果の変形方向性と変形量を示す図となります。

次が固有値3次モードの結果ですが、タンク上部が片側に倒れるように変形しています。

次が固有値5次モードの結果ですが、縦のストリンガー部が外に飛び出すような変形を示しています。

次が固有値7次モードの結果ですが、タンク側面板が凸凹となります。

この7次モード固有値は回転数に換算すると15000rpmぐらいなので、もしターボポンプの回転が同じような周波数の振動を発生する場合は危険となります。

これらの全体の結果から、燃焼振動がタンク固有値に近くなる場合も危険と思われます。

<今日の流れ>

今日の午前中はメールへの回答や仕様の作成です。

午後は来客での打合せです。


ロケット用フレームストリンガー外殻構造を持つ液体酸素タンクの内圧構造解析結果

2018年06月06日 | 宇宙航空産業機械

ロケット用のフレームストリンガー外殻構造を持つ液体酸素タンクの内圧(0.3MPaA)構造解析結果図です。

液体酸素タンクとして次図のような外観となるアルミニウム製の圧力タンクを大まかに計画してみました。

次がタンクの内部構造となり、外殻の薄板の内側にアルミ型材を用いたフレームストリンガー構造の補強があります。

タンクの中心部には燃料タンクからの燃料配管を通すための円筒通路があり、その両端はフランジ構造です。

次が内圧構造解析用に解析メッシュを作成した図です。

次が構造解析の結果の最大主応力分布を示しています。

タンク内の主応力分布を次は示しています。

次図は変位の分布を示していますが、最大変位は34mmにもなり、ストリンガー部に表れています。

次図は、安全率を示しています。

最低安全率は0.17となり1を下回り、タンク側壁が破壊される可能性を持ちます。

次はタンク内の安全率分布を見たものですが、ストリンガー部は安全率がやはり低いです。

最後の次図は固定フランジ部の安全率を見たものですが、フランジ外周溶接部で安全率が低くなっています。

よって、フランジでは固定を行わず、次のタンク計画ではタンク外周板材部で固定を行うように設計変更します。

<今日の流れ>

今日は朝から食あたり的なお腹の調子の悪さで、会社を休んでいます。


液体ロケットエンジンのクラスター使用の構想

2018年06月05日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジンのクラスター使用の構想図です。

5連クラスターロケットエンジンによるロケットのおおまかな全体構想図です。

構想図なので、クラスターロケットエンジンを使うロケットは、こんな感じかなと思って頂ければ幸いです。

<今日の流れ>

午前中は外出してましたので、午後からメールへの回答を中心に業務処理を進めています。

事務処理が終われば設計に入ります。


小型人工衛星用ジェットロケット機の構想図

2018年06月04日 | 宇宙航空産業機械

小型人工衛星用ジェットロケット機の構想図です。

高度15kmまでは4つのジェットエンジンで飛行して、その後は最後尾のロケットエンジンに点火し高度を宇宙空間まで上げ、そして機体前部に付いている2段目ロケットが切り離なされロケット点火して人工衛星を軌道に投入します。

飛行機形状の1段目は2段目を切り離した後は落下及びグライダー飛行で高度を下げ、発信地点飛行場近くに達したらジェットエンジンに点火して着陸態勢制御をされながら飛行場に着陸して再使用されます。

高度15kmまでの飛行ではジェットエンジンの推力でなるべく高速に達したほうが後々有利なことから、この構想図で使っている高バイパス比ターボファンエンジンから低バイパス比ターボファンエンジンに設計変更を行います。

次のように1段目飛行機形状ジェットロケットの内部構造は、フレーム・ストリンガー構造のアルミ製となります。

どのくらいの重さの人工衛星をどれくらいの軌道にこのジェットロケットで上げられるかは、計算していないので分かりません。

多分、数Kgのキューブサット型人工衛星用の機体となりそうに思います。

<今日の流れ>

今日のお客様との打合せは午前9時から昼過ぎまでの3時間ほど行い、御要望の最終仕様に近いものを提示頂いたので、これで本格的な設計に入り、2ヵ月ほどの短期間で基本設計、詳細設計、流体解析、構造解析、熱解析を行い、最終の製作図面まで終わらせる予定です。

よって少し気合が入りました。


最大直径200㎜、定格出力450kwの3段軸流ガスタービンの性能流体解析シミュレーション

2018年06月03日 | 宇宙航空産業機械

最大直径200㎜、定格軸出力450kwの3段軸流ガスタービンの性能流体解析シミュレーションの結果図です。

この3段軸流ガスタービンは3弾全てが反動タービンであり、回転数は毎分8万回転と高速となるので、非常に小型であるのに大出力の450kwを発生出来ます。

次は子午面断面での流れミーンラインによる円錐曲面上のガス流れを流線群の相対速度表示で見たものです。

色分布は圧力分布を示していて、初段から3段出口までに減圧している様子が分かります。

次図は、色分布は温度の分布を示しています。

ガスタービンの3段目出口でもまだ500℃以上のガス温度となり、排気熱エネルギーは相当な量となっています。

よってこのガスタービン排気熱を排ガスボイラでの蒸気発生に使えば、全体熱システム効率が高くなるのがコンバインドサイクル発電です。

次は、絶対速度流れの3次元流線を表しています。

静翼でガス流れが転向されて、動翼で反対方向に流れが転向されることで、ガスのエンタルピーエネルギーを運動エネルギーの動力として取り出します。

次は温度・静圧力・全温・全圧などを細かく流れの中の位置を指定してポイントパラメーターとして測定している解析結果です。

<今日の流れ>

今日はどうするかまだ決めていませんが、昨日熱が出て非常にだるくなりましたので午前中は自宅にいるように思われます。

ただ明日は午前9時から来客があり、お客様との詳細な打ち合わせのための準備を出来れば今日の午後に行っておきたいと思っています。

まだ昨晩発熱したことによるだるさは取れていないので、午後も休養しています。

明日のお客様との打ち合わせ準備はいつもより早く会社に行って最低限の準備をしておきます。


ロケットエンジン液体酸素ターボポンプの最大流量の2分の1での流体解析シミュレーション結果

2018年05月31日 | 宇宙航空産業機械

ロケットエンジン用の液体酸素ターボポンプの最大流量の2分の1での流体解析シミュレーション結果です。

次が液体酸素ターボポンプの流体解析シミュレーションモデルの全体です。

液体酸素ターボポンプが送り出すことの出来る流量の調整は燃焼室上部の液体酸素チャンバーの中央に有る凹んだ穴が噴射ノズルへの入口となり、それの面積によりポンプ出口抵抗が決まることでポンプ流量を調整可能です。

次は、ポンプ流体解析シミュレーションの解析モニタリング画面となり、解析計算の最終収束状態となっています。

各種ターゲット値が安定して収束した確実性の高いシミュレーションです。

この最大流量に対して2分の1流量付近がポンプとして最も効率が高く、設計点と言ってよい運転点です。

次は液体酸素ターボポンプから出口配管、燃焼室上部液体酸素チャンバー、ノズル入口穴 と液体酸素の流れを矢印付き流線で見た解析結果図です。

渦巻きケーシングでの流れの乱れや配管での旋回流の発生も無く、液体酸素チャンバーでの渦発生も少なく、全体的に良い液体酸素流れ状態です。

次はポンプインデューサーとインペラの流れ表面での圧力分布を示した解析結果図です。

次は、ポンプ子午面断面でのシュラウド近傍の円錐曲面流れ面での液体酸素流れ状態を流線群表示で見たものです。

図では分かりづらいのですが、インデューサー入口では入口角度が寝すぎていて、液体酸素のインデューサー入口相対速度の流入角度が大きいためインデュサーブレード入口負圧面にぶつかり、その後流にも大きな影響を与えて負圧が大きい領域を生成してしまっています。

そして、インペラブレードの入口でも負圧面に当たる傾向の流れとなっていて、それが負圧面側の後流での渦領域をもたらす原因と思われますので、インペラ入口角度の修正中です。

インペラ入口流入角度以外にも、インペラブレードの出口角度に対するブレード展開角が小さくなり、それがブレード負圧面渦領域を大きくすることになっていると思われることから、現在ブレード出口角度の減少とブレード展開角の増加を行っています。

次は、ボス近傍流れ円錐曲面での流線群を示しています。

ここでもインデューサー入口角度は流れ相対速度角度に対して寝すぎているので、現在修正中です。

インペラのブレード入口では、ブレードの厚みが厚くなりすぎて流れを大きく分け渦領域の原因となることが気になり、この部分も現在尖らせるように設計変更中です。

ブレード展開角の影響による負圧面渦領域の生成がやはり見られます。

次は、ボス流れ面とシュラウド流れ面の中間(mean line)流れ円錐曲面での流線群表示です。

ここでのインペラブレード入口角度は相対流れ入口角度に対して衝突が無く、損失の少ない良い状態です。

しかしブレード展開角の影響による負圧面渦領域は見られます。

<今日の流れ>

今日の自分の作業内容としては、以前設計したジェットエンジンの3段タービン部の各段の状態について流れ解析シミュレーション結果データ中の多数の解析計算値を解析ソフトのプローブ測定機能で測定してまとめる作業があるのと、ロケットエンジン1軸ターボポンプの計画設計です。

明日は海外からのお客様が来社されるので、それの準備も行いますが、お客様は英語のみとなられるようなので、昨日の夜に急遽携帯にグーグル翻訳をインストールして、自分の話す内容は瞬時に英語に翻訳されてお伝え出来ると思われますが、相手の方もLine翻訳を使われるとメールにあったので、なんとか意思の疎通はいけそうに思います。


液体酸素ターボポンプの最大流量に対する4分の3流量付近での流体解析結果

2018年05月28日 | 宇宙航空産業機械

ロケットエンジン用液体酸素ターボポンプの最大流量に対する4分の3流量付近での流体解析結果です。

次図のようなターボポンプの液体酸素流れを示す流線群を見ていただくと、液体酸素ターボポンプ流れ解析シミュレーションが問題なく進んでいることを分かって頂けると思います。

次は液体酸素ターボポンプの羽根表面を液体酸素が流れている状態を圧力分布と流れ線で示しますが、インペラ入口から出口に向かって液体酸素圧力を上昇させている様子が分かります。

次図は、ポンプ羽根のシュラウドに沿う円錐曲面上流れ面での流線を示しています。

この図を見ると、インデュサーシュラウド付近流れ面でのインデューサー入口部では相対速度流れ線に対してインデューサー羽根の入口迎え角が寝すぎていて羽根入口負圧面に衝突している様子が分かります。

この流れ解析では設計点流量よりも多い流量が流れているとしてもインデューサーシュラウド羽根入口角度は寝すぎなので、次の改設計で修正を加えるべき形状です。

次図はインデューサー流れ表面とインペラ流れ表面での圧力分布を示しています。

インデューサー側は圧力が低くなり、インペラ出口側に行くほどに圧力が高くなります。

次図もインデューサー表面とインペラ表面での圧力分布を色分けで見たものです。

インデューサー入口表面で見えている本来圧力が低い領域が今回の流量の結果では相対速度ベクトルの衝突により圧力が高い分布となっています。

次図は解析計算モニタリング画面での解析計算収束終了時のものです。

設計した各種パラメーターでの収束が無理なく終わっています。

このようなロケット用液体酸素ターボポンプの設計点付近の流量での流れ解析シミュレーションの結果もそろそろお見せできるでしょう。

<今日の流れ>

今日の午前中は現在それぞれの女性エンジニアが担当してくれているプロジェクトの方向性を打ち合わせることが中心です。

弊社の現在の仕事状況としては、3月末までのような同時に5プロジェクト以上を進める忙しさは減り、数件の開発設計と、ひとつの割と手間のかかる流体解析請負だけなので、手が空く数人にはロケット設計と解析関係の作業をそれぞれにひとつのテーマを持ってもらって進めています。

よって自分も自由な設計が出来る時間が増えていますので、次のような設計課題を行っていく予定です。

1.ロケットターボポンプの計画設計

2.水力・風力・蒸気・ガスのそれぞれの最適なタービン発電機パッケージ50kwクラス標準機の計画設計

3.宇宙航空機関係の構造最適化設計

 

 


ロケット機体フレーム・ストリンガー構造の固有振動数解析の例

2018年05月27日 | 宇宙航空産業機械

簡素に作ってみたロケット機体フレーム・ストリンガー構造の固有振動数解析の結果例です。

次は固有値モード1次での変形の傾向を示す解析結果図です。

次は固有値モード2次です。

次は固有値モード3次です。

次は固有値モード4次ですが、これぐらいになると全体がクネクネです。

次は固有値モード5次ですが、さらにクネクネがひどいのです。

今回のような固有振動数解析は、市販のアルミ型材を使ったロケット用フレーム・ストリンガー構造としてより複雑に設計した機体の解析事例を色々と作り進めていきます。

弊社ではCFRPのような複合材で作った構造物の構造解析も可能なので、ロケットのタンク部をCFRP構造で作ってみて、その構造解析の結果としての安全率や固有値の結果を今後載せてみます。

<今日の流れ>

今日の午前中は弊社が設計・製作したトータルフロー地熱発電所の2号発電所を大分県別府市である温泉サミットの参加者の方々が視察されるのに説明を現地でしてきました。

海外の温泉がある地域からこられた方々もかなり興味を持って色々と質問してくれました。

最近ずっとYoutubeで海外のエンジニアリング事例を英語で聴いていたので、少し今日の外国の方が話している内容が理解できたように思います。

ただ意味の分かる単語の数が全然足りない感じなので、これからも毎日Youtubeでの英語ヒアリングは欠かさないようにします。


長い弾性軸を持つロケットエンジン用1軸ターボポンプの軸振動数解析の開始

2018年05月25日 | 宇宙航空産業機械

長い弾性軸を持つロケットエンジン用1軸ターボポンプの軸振動数解析の開始です。

次のように軸振動解析手法を確立するための最初の1軸ターボポンプ弾性軸モデルです。

次は固有値モード1次での変形方向性と程度を示す解析結果図です。

次図は固有振動数モード5次での変形の方向性を示すものですが、細い弾性軸の2か所にダンパー値を持つベアリングとそれを支えるベアリング外周部にもダンパー効果を持たせる設定を行っているため、5次までの危険速度周波数は全て毎分数十回転以内に収まり、通常の設計回転数である数万rpmでは問題なく運転できる状態になっています。

次は弾性軸振動解析の解析モデルの解析メッシュの状態ですが、要素メッシュは大きいものとなっていて、正式のターボポンプ主軸回転部解析では非常に細かいメッシュ設定とします。

このようなロケットターボポンプの軸振動解析は、本事例の1軸式だけではなく、2軸式ターボポンプや最近設計中のギアードターボポンプ、12トン推力ロケットエンジン用1TP4N型ターボポンプ軸構成などに適応して安全性を確認していきます。

<今日の流れ>

今日は5月最後の金曜日なので当社ではプレミアムフライデイとなり、午後3時に業務終了です。

それまでは多段遠心コンプレッサーの基本設計を進める予定です。


ロケット機体のフレーム・ストリンガー構造の静解析練習の始まり

2018年05月24日 | 宇宙航空産業機械

ロケット機体に採用するフレーム・ストリンガー構造の静解析練習の始まりです。

ロケットの機体構造の色々な荷重への解析を確立するためのフレーム・ストリンガーへの静荷重解析から解析事例を開始しました。

この事例の静荷重は一番上に有るフレーム上面に均等に重さ荷重がかかっている状態での構造解析です。

解析結果図での変形は実寸法ではなく、分かり易く拡大スケール表示となっています。

これはロケットをただ立てている場合の荷重のかかり方に相当しますので、今後色々な想定した動的荷重をかけてより複雑なフレーム・ストリンガー構造を設計して構造解析します。

<今日の流れ>

今日は担当者がまとめてくれたジェットエンジン性能解析シミュレーション結果データの確認と、ターボポンプの長い弾性軸の場合の危険速度の振動数解析などを軸受け部のダンパー効果を加味しながら行っています。