流体機械設計と流体解析シミュレーション

流体機械設計と流体解析シミュレーションを行っている株式会社ターボブレードの社長である林 正基の日々について記載しています

新人女性エンジニアが作成した液体ロケットエンジン用ターボポンプの2番目 より複雑な構造を持つ

2018年06月29日 | 宇宙航空産業機械

新人女性エンジニアがターボ機械3次元設計の練習として作成した液体ロケットエンジン用ターボポンプの2番目で、より複雑な構造を持つターボポンプモデルです。

4月入社のまだ設計開始3ヶ月の新人女性エンジニアに作成してもらったのは、液体ロケットエンジン用ターボポンプとして小型でロケットエンジン機体側に取り付け易い構造を持つターボポンプで次のようなものです。

液体酸素ターボポンプと燃料ターボポンプがタービン側で合体したような構造を持つのがこのロケット用ターボポンプの特徴です。

ターボポンプとしての回転数は速いものとなるので、ポンプ入口インデューサーなども耐キャビテーション形状に工夫がいる特性を持っています。

新人女性エンジニアはまだ流体設計は出来ないので、このターボポンプの羽根部はそれらしいものとして作成されていますが、ターボ機械の性能流体解析手法を習得すれば羽根部の最適化も充分に出来るようになるのにはそれほど時間がかかりません。

新人女性エンジニアのこのターボポンプの作成は続いており、今はポンプ渦巻きケーシング形状の作成をしています。

その次は、インデューサー・インペラ・タービンの羽根部形状の修正とタービンケーシング入口部作成、タービン排気ケーシング出口部の作成と進みます。

<今日の流れ>

パッケージ型水力発電装置の設計を続けて行います。


液体ロケットエンジン燃料ターボポンプを新しく設計開始

2018年06月27日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジンに使う燃料ターボポンプを新しく設計開始しました。

燃料ターボポンプのインデューサーとインペラの設計を次図のように開始しています。

次が燃料ターボポンプのインペラをワイヤフレームで見たものですが、3次元羽根ブレードを持ったどちらかと言えば低比速度タイプとなっています。

新しく設計した燃料ポンプモデル01の流体解析シミュレーションを最大流量から次のように開始しました。

次図はポンプ流体解析計算のモニタリング画面ですが、すべての値は安定して収束している状態です。

最大流量を流体解析条件として計算させていますが、その質量流量は毎秒45kg/sにもなっているので最大流量としても大きすぎる値となっています。

よって今後はポンプ回転数を下げて流体解析計算を行ってみます。

<今日の流れ>

今日は発電プロジェクトの計画設計を中心に行います。

<今日の思い>

女性エンジニア全員がそれぞれ持っているプロジェクトの進捗も良い具合に進んでいて安心な感じです。

思ったよりも新人女性エンジニアの理解と吸収力は高くなっていてもっと難しい部分から開始しても良いのかなと思っています。

そこらへんにも自分の考えてとして、初心者は直ぐに難しいことに取り組めないであろうとの偏見があるように思い、それを修正します。


液体ロケットエンジン4連ノズルクラスター型の詳細部設計が進む

2018年06月21日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジン4連ノズルクラスター型の詳細部設計が進みました。

詳細部はボルト、バルブ、継ぎ手、配管、各部内部構造などの設計を進めました。

特に前回と変わっている点では、タービン排気管を4本としてタービン排気ケーシング下部にエンジンスターター機能部を付け加えた設計変更です。

4本に増えたタービン排気配管を有効に利用するタンク加圧用の熱交換器やロール制御可変排気ガス噴射ノズルなども付け加えれると良さそうです。

噴射ノズルスカートの拡大率も変更しています。

再生冷却燃焼室関係の冷却燃料流れ部も変更しましたが、3D金属プリンターでの製造方法も加味して更なる変更を加えたいところです。

燃焼室上部のジンバル支点の構造を変更する必要が有りそうです。

ポンプ出口に有る主バルブは90度エルボタイプの手動調整型であるが、サーボ調整型に変更したほうが良さそうである。

ポンプ駆動用タービンにガスを供給するガスジェネレーターがこの設計では4本存在していますが、2本にまとめたいところではあります。

4連噴射ノズルの間隔はターボポンプの中心燃料ポンプと2つの液体酸素燃料ポンプの間をつなぐ歯車の直径比によりある程度決まる設計となるので、伝達歯車の調整を行い、より噴射ノズルが近づき全体が小型化する設計変更は今後必要となる。

今後の改良変更設計は必要であるが一旦この1TP4N型液体ロケットエンジンの構想設計は現時点で終了します。

<今日の流れ>

今日は1軸式ターボポンプの構想設計を行う予定です。


液体酸素ターボポンプの試験的性能解析例の性能結果がある程度出来た

2018年06月19日 | 宇宙航空産業機械

液体酸素ターボポンプの試験的性能解析例の性能結果がある程度出来ました。

試験的性能解析例である次の液体酸素ターボポンプは、インペラ直径70mm、回転数毎分2万回転(20000rpm)、設計流量毎秒6kg(6kg/s)となります。

この液体酸素ターボポンプの性能解析結果をグラフ化したものが次です。

インデューサーとインペラの設計を改良していって3ケースの性能解析シミュレーションの結果をグラフ化しています。

羽根部改良設計を行う毎に吐出圧力は高圧となり、ポンプ効率も上がり、軸動力は逆に下がっていっており、有効な改良設計が進んでいます。

吐出圧力は2MPa程度と意外と出ていませんので、より高圧が必要となるとポンプ回転数を2万5千rpm~3万rpmぐらいに上げて、インペラ外径も90m程度にすると良さそうです。

その場合ポンプ比速度をこの事例と同じような値とすると、ポンプの設計流量は大幅に増えることとなります。

それでもポンプ必要軸動力は100KW以内ぐらいに落ち着きそうなので駆動用タービン設計は問題なさそうです。

ポンプ効率も出来れば羽根形状最適化を更に進めて、60%~70%の間を狙いたいところです。

次表は、流体解析シミュレーションでの解析計算値をエクセル表でまとめたものです。

以上の液体酸素ターボポンプ性能解析試験的例はこの結果になるまでに2ヵ月以上の時間を使っていますので、解析計算時間は膨大であり費用も高くなるので、次の実際設計事例では解析マシンを2台同時に使って解析時間と改良設計時間の短縮を考えています。

<今日の流れ>

今日は昨日休んでしまったので、溜まったメールへの返事や書類関係の作成を行っています。

夕方には珍しく知人との食事をする予定です。


1TP4N型液体ロケットエンジンの構想設計が進む

2018年06月17日 | 宇宙航空産業機械

1TP4N型液体ロケットエンジンの構想設計が進んでいます。

次図のように1台のギアードターボポンプが4個の噴射ノズルに液体酸素とケロシンを供給するロケットエンジン形式を1TP4N型ロケットエンジンと自主的に呼んでいます。

1台のターボポンプにはケロシンターボポンプが1個と2個の液体酸素ターボポンプが付いています。

3つのターボポンプは1つのタービンで駆動されます。

それらはギア伝達を介して連結されているので全体で1台のターボポンプとなります。

4個ある噴射ノズルはそれぞれがサーボ機構で噴射方向を振れるようになっているので、安定した姿勢制御とロール制御がクアッド型ドローンのように出来ると思われます。

次図は1TP4N型ロケットエンジンをロケット機体に取り付けた場合の構想図です。

この構想のロケットは1段目が1TP4N型ロケットエンジンによるブースターロケットであり、2段目のガス圧式ロケットを宇宙空間まで運ぶ役目をします。

現在この1TP4N型ロケットエンジンは構想段階ですが、自分としてはこの型式に思い入れがあるので、今後は基本設計、計画設計、詳細設計、性能流体解析シミュレーション、構造解析へと進めていきます。

推力としては、12トン、24トン、48トンのシリーズ化を行いたいと思っています。

<今日の流れ>

今日は明日の用事に備えて家でじっとしている1日になりそうです。


液体ロケットエンジン用ギアードターボポンプのタービン部設計が進んでいます

2018年06月16日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジン用ギアードターボポンプのタービン部設計が次図のように進んでいます。

この液体ロケット用ギアードターボポンプを縦軸としてロケットエンジン機側に付ける場合が次図のような縦配置となります。

上側にあるインデューサー付きの遠心ポンプが液体酸素用であり、同軸で下側に向いたインデューサー付き入口のある遠心ポンプがケロシンターボポンプです。

今回設計しているポンプ駆動用タービンは右下側に配置されており、その軸動力を歯車減速機を通してポンプ主軸に伝えます。

この配置では液体酸素ポンプ入口が上側を向き、液体酸素タンクからの与圧された液体酸素が均一な流れとなって液体酸素ポンプインデューサーに流れ込むことから、インデューサーでのキャビテーション発生が起き難くなり理想的です。

下側のケロシンポンプ入口にはケロシンタンクからの配管が180度エルボ配管でケロシンを供給することとなりますが、ケロシンはキャビテーションが起きにくくインデューサーもあるので問題はないでしょう。

タービンの排気部もストレートに排気パイプを下側に伸ばすことが出来て排気し易くなります。

次図は、この液体ロケット用ギアードターボポンプを横軸置きでロケットエンジン機側に配置した場合の姿です。

この場合は液体酸素ポンプへの液体酸素タンクからの液体酸素の流入は90度曲がるエルボ配管を経て液体酸素がインデューサーに流入するので、配管90度エルボで生じる流れの偏流はインデューサーでのキャビテーション発生につながる原因ともなるので、あまり横軸配置はしたくないところです。

それとタービンの排気パイプも一度横に出てそれから90度エルボで下方へ導かれるので滑らかではなくなり、避けたいところです。

次はタービン部を拡大して見たもので少々分かりづらいのですが、回転数が高速型で小型の圧力複式2段衝動タービンとして設計されています。

速度複式衝動タービンともしすればタービン設計回転数は更に低下出来るのですが、タービン効率が低くなるため今回の設計では歯車減速機での減速比を上げてより設計回転数とタービン効率の高い圧力複式衝動タービンの適用としています。

次は衝動タービン2段目動翼の出口を見たものです。

多数枚のシュラウド付き衝動タービン動翼ブレードが回転する円盤の周りに付けられています。

次図ではタービンからの動力伝達歯車減速機の内部構造を見ることが出来ます。

次図が透明化をしていない現在の設計進行中のギアードターボポンプの外観です。

この液体ロケット用ギアードターボポンプを設計してくれている社員は、22歳の女性エンジニアです。

<今日の流れ>

今日は自宅にいる一日となりそうです。

自宅では3DCAD Inventorでのダイナミックシミュレーションをやってみようと思っています。


12トン推力の4連ノズル1台ターボポンプのロケットエンジン(1TP4N型)の計画設計が進む

2018年06月13日 | 宇宙航空産業機械

12トン推力の4連ノズル1台ターボポンプのロケットエンジン(1TP4N型)の計画設計が進んでいます。

これはIST様向けのターボポンプ設計とは関係なく、自社のオリジナル型式ロケットエンジンとして計画をしてみているものです。

この計画は26歳の女性エンジニアが担当してくれています。

<今日の流れ>

昨日の調子悪さから復活して、今日の自分は元気に業務を開始しています。


液体酸素ターボポンプの羽根形状を修正して最大流量での流体解析シミュレーションを行った

2018年06月11日 | 宇宙航空産業機械

液体酸素ターボポンプの羽根形状を修正して最大流量での流体解析シミュレーションを行った結果図です。

次が液体酸素ターボポンプの入口から渦巻きケーシング出口までの流れの流線群です。

全体的に滑らかな流れ状態となっています。

流線の色は、圧力の分布を示しています。

次図は、インペラ表面の流れの圧力分布図です。

最大流量が流れているので、インデューサー入口での相対速度流入角度は大きくなり、羽根入口の負圧面にぶつかり圧力を上げています。

設計点付近流量になるとインデューサー入口相対速度の流れ角度は、羽根入口角度と合うようになり、損失が少なくキャビテーション発生も少なくなります。

次は流れのシュラウド近傍の子午面断面流線ラインをぐるっと回した円錐曲面上での流れの相対流れ流蹟線群です。

インペラブレード入口でも流量が多いので流れ相対流入角度が大きくなり、ブレード入口角度と偏差を持って流入しています。

次は子午面断面ミーンラインを中心軸回りにぐるっと回した円錐曲面上の相対速度流れ流蹟線表示です。

このミーンライン円錐曲面上の相対速度流れは、インペラブレード入口角度にかなり沿って流れ込んでいます。

翼間流れで気になる点が有り、ブレードの曲率変化が出口付近で直線的な部分があり、そこらへんで流れの剥離的な停滞部があるようです。

次は解析計算モニタリング画面の計算終了時のものです。

<今日の流れ>

それぞれの女性エンジニアが担当しているプロジェクトの細かい進捗の確認と進め方の打合せが今日は中心です。

各プロジェクトも現状停滞無く進んでいます。


航空機用推進ターボファン部の流体解析シミュレーション結果からポイントパラメーター測定を行った図

2018年06月10日 | 宇宙航空産業機械

航空機用推進ターボファン部の流体解析シミュレーション結果からポイントパラメーター測定を行った図です。

ターボファン子午面断面上のミーンラインぐらいの3点の解析計算結果値をポイントで計っています。

このターボファンは効率90%以上で優秀な設計なのです。

<今日の流れ>

今日は会社の模様替えを行いたいと思っています。

<会社の模様替えに行かない言い訳的な思い>

朝は会社に出て模様替えを行うつもりでしたが、またお腹の調子が悪くなり自室で休んでいたら会社に出る気力が無くなりました。

最近このような休日に会社に出るつもり、でも結局出ない、ことを繰り返しています。

その理由を考えてみると単純で、なんだかきついので出なかったという理由かな?

それと明日の終業時間である午後4時から模様替えをひとりで行えばいいじゃないかという心の囁きですかね。

さらに自分も60歳となり、元気が少し減っていることもあるな~。

もう一つ自宅で出来ることで面白いことがあり、今興味がある最新のエンジニアリング分野(3次元CADの使い方や現状、Simulationの最新、Digital Twin、ロボット、IOT、ロケット、飛行機、発電プラント)をYouTubeの英語動画で見ることが楽しく、英語の勉強にもなり、自分のメカ設計スキルを上げる情報となり、自室でずーっとディスプレイの前に座ってそれら動画を見ることに飽きません。

それとメカ設計スキルのレベルアップだけでなく、これまで充分に勉強してこなかった電気・電子のこと、油圧システムのこと、モデルベース開発のこと、ROSのこと、ウェブアプリケーション開発のこと、最新のVisualStudioのこと、Pythonのこと、Unreal Engineのこと、ロケットのこと、人工衛星設計のこと、Solid Worksのこと、Inventorのこと、などの充分な学習用の本が揃っているので、それらの勉強も自宅での行えることなのです。

よって休日の土・日はなにかの用事で会社に出なくても、自室でのこれらのことで時間が過ぎて行くので、日曜日の夕方になってもあまり後悔感は少ないように思います。

60歳になって生まれ変わったつもりで最初に覚える言語がYoutubeでの英語であり、これまでの設計の経歴に関係なく一から覚えることが世界の最新エンジニアリングであり、メーカーとして造ってみたい対象がロボット、ロケット、ジェットエンジンであり、仕事として構築するものが幅広いシミュレーション技術をベースとした未来エンジニアリング組織です。

やりたいことは沢山あり過ぎるから、土日は自宅での60歳の手習いで良いのでしょう。


液体ロケットエンジン用ギアードターボポンプの設計がかなり進む

2018年06月08日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジン用ギアードターボポンプの設計がかなり進みました。

次図のような液体酸素ターボポンプとケロシンターボポンプが背面組み合わせで配置された2つのポンプが同軸方式です。

そしてそのポンプ軸を可動するための小型高速回転型タービンの動力を歯車減速機でポンプ軸に伝達します。

このターボポンプの遠心ポンプ部は吐出圧力を高めるためにインペラ出口にディフューザー翼を設けている高圧型です。

次図の上側に見えているのが液体酸素ターボポンプのインデューサー部となり、図の下部にはケロシンターボポンプインペラの背面翼が見えています。

このインペラ背面翼は液体酸素インペラの背面にも付いていて、それはインペラ背面の流体圧力を下げる働きをして、主軸の液体酸素シール部への圧力を下げて液体酸素漏洩量を少なくします。

下図のような縦軸の配置としてこのターボポンプを使う場合は、上部液体酸素ターボポンプ入口インデューサーに液体酸素タンクから直接に与圧付き液体酸素が流入することから、液体酸素インデューサーでのキャビテーション発生が抑えられる効果を持ちます。

縦軸配置でのケロシンターボポンプ入口は下側を向くことになり、上方から来た配管のケロシンが180度方向を変えてケロシンポンプインデューサーが吸い上げるような流れですがケロシンはキャビテーションが発生し難いことから問題ないと推定されます。

次図は横軸配置としてロケットエンジンに付ける場合の状態ですが、この場合は液体酸素とケロシンの両方のポンプ入口が90度エルボによる流入となります。

このギアードターボポンプのポンプ主軸は短いので、ロケット発射時の加速荷重が主軸にかかったとしても固有振動数を誘起するほどの主軸アンバランスは生じない思われることから横置き、縦置きのどちらでも配置し易い使い方が出来そうです。

次は主軸断面図ですが、ギア部は多くの歯車を持ち、これらの軽量化のために肉抜きを施しています。

この断面図から分かるようにまだポンプを駆動させるタービン部は設計されていないので現在それを進行中です。

ポンプ駆動用タービンは小型軽量化を行うために、圧力複式の2段衝動タービンとなります。

<今日の流れ>

今日は一日設計作業の日となります。

<今日の思い>

今週の始めの月曜日の朝一番にインターステラテクノロジズの稲川社長がISTのターボポンプ担当エンジニアの方二人と我社に来られて、ロケット用ターボポンプの具体的な設計についての詳細な方向性を示して頂けたので、自分としても納得出来るターボポンプ設計をそれから開始出来ている状態の今週後半です。

よってこれからはロケットエンジン用ターボポンプの詳細な流体設計、構造設計、性能流体解析、構造解析が、自分と我社の担当女性エンジニア2名(+解析補助1名)でのエンジニアリング共同作業が急速に進み、数ヶ月後の設計納期にデータを提出することが出来るでしょう。

気合を入れて、「俺は、ロケットで行く!」