流体機械設計と流体解析シミュレーション

流体機械設計と流体解析シミュレーションを行っている株式会社ターボブレードの社長である林 正基の日々について記載しています

ロケットエンジン設計 液体酸素ターボポンプの最新設計と性能流体解析の結果

2018年10月12日 | 宇宙航空産業機械

ロケットエンジンの設計を行っていますが、その設計の中で液体酸素ターボポンプの最新設計と性能流体解析の結果図です。

ポンプ性能は要求仕様に対しての充分な高圧、そしてポンプ効率80%という高効率設計が出来たことを性能流体解析で確認出来ています。

次図は流れの流線を見たものです。入口から渦巻きケーシング出口まで滑らかに流れています。

次は、耐キャビテーションインデューサーと遠心インペラの流れ表面圧力分布を見たものです。

インデュサーで圧力をある程度上げて遠心インペラに供給出来ていますが、遠心インペラ入口縁負圧側でまだ低圧領域の発生が見られます。

次は、インデューサーでのキャビテーション発生領域を見る為に圧力分布を最大入口圧力の赤色からキャビ発生圧力の青までの色分布でしめしていますが、インデュサー翼入口縁にキャビ発生領域が見えています。これが後流領域では消えているので、キャビ発生は流れへの影響は少ないと推測出来ます。

しかしながら、遠心インペラ入口縁負圧面でのキャビ発生領域が見られます。

遠心インペラ入口での負圧領域発生の原因は、次からの流れ面での流線群表示から見られるように、流体のインペラブレード入口相対流入角度に対してインペラ入口が立ち過ぎていて入口圧力面に相対流れがぶつかり、負圧面に回りこめずに発生する低圧領域の存在です。

次はメリディアン流れミーン流線を回転させた流れ面での相対流れ流線群表示と圧力分布表示です。

次はシュラウド近傍流れ面での相対流れ状態です。

<今日の仕事>

朝の各種打合せから、その後自分受け持ちの設計に入ります。

<今日の思い>

自分が最近心が震えるほどに最高のエンジニアと思う人はポルシェ博士です。

電気機器会社の丁稚のような状態から仕事を始めているのに、幼いころから持っている多大な好奇心・開発してみることへの多大な意欲・短期間で独学して製品設計と製作を完成してしまう集中力と仕事力など、私が評価するようなことを言うことがおこがましい数々の業績など、実際の優秀な製品を設計して次々製作して生み出すまさに最高に偉大なエンジニアがポルシェ博士であると感じています。

今日も久しぶりにポルシェ博士の経歴をウイキペディアで読んだだけなのに再び異常に興奮して感動しています。

それに比べて、色々な言い訳を心に浮かべては全力を出し惜しむような自分の設計作業、設計時の集中力の無さ、設計知識の無さ、経験と経歴の無さ、それらを考えると自分の機械設計エンジニアとしての不充分さが良く分かります。

死ぬ寸前まで設計にためらいなく全力で集中して素晴らしい製品の結果を残せと今日は自分に言いました。


ロケットエンジン用液体酸素ターボポンプの設計改良結果としてのほぼ最終形態

2018年10月10日 | 宇宙航空産業機械

ロケットエンジン用液体酸素ターボポンプの設計改良結果としてのほぼ最終形態となり、設計流量で圧力は590万PaA、効率も80%と高効率となり、ポンプ基本仕様は充分満たす設計となっています。

しかしながら改良設計の続きとして次図のようにインデューサーでの圧力降下領域の最小化という改良が残っているので、現在微妙にインデューサー翼形状を変更しながらポンプ改良設計を進めています。

キャビテーションの発生源となる液体の低圧領域は次図のように遠心インペラの入口負圧面でも顕著に発生しているのですが、これの原因は遠心インペラ翼入口縁への液体の相対流入角度がかなり浅くて、入口圧力面に衝突するように液体が流れ込んでいる為に負圧面に回りこむことが出来ず、その領域が低圧となっています。

よって、遠心インペラの入口流入角の見直しも現在同時進行しています。

遠心インペラ入口縁での圧力面から負圧面への回り込みを良くする為には入口厚みを薄くすると良いのですが、今回の遠心インペラはシュラウドを持つクローズド羽根車として設計しているので製作方法が鋳造を選定しており、そうすると溶融金属の鋳込みを考えると余り薄く出来ず、最終的には入口を手仕上げで薄くする必要もあるかなと思っています。

次図はインデューサーから遠心インペラ全体の圧力分布色分け図です。最も青い部分は10万PaAとなります。

次図はインデューサーのボス近傍流れ面での圧力分布図です。

次図はインデューサーのミーンライン回転面での圧力分布図です。

次図はインデューサーシュラウド近傍流れ面での圧力分布図ですが、シュラウド近傍での羽根入口角度が立ち過ぎている為に負圧面に低圧領域が発達しているので、シュラウド入口角度を寝かして圧力降下を改善します。

<今日の流れ>

今日は来客も無く、自分の担当設計に集中出来そうです。


飛行性能解析用にモデリングしてみた無人機と飛行流体解析

2018年10月08日 | 宇宙航空産業機械

8年ほど前に飛行性能解析用にモデリングしてみた無人機と飛行流体解析の結果図です。

この作業の目的は、ジェットエンジンを計画設計するにあたって、飛行する機体の抵抗値がどれほどあるものか、実物に近いモデル機体で確認したかったことです。

よって実際に存在している大型の無人機機体を参考として実寸法でモデリングしました。

次はこの機体の飛行性能解析の解析計算領域を設定している図となります。

次は解析計算モニタリング画面です。

次が解析計算結果図の一部です。

<今日の予定>

今日はゆったりした1日を過ごします。

この連休は、今度も家で過ごした三日間となりました。

まあまあの外に出なかった後悔と、自宅で何もしていなかったわけではないから良かったのかという気持ちが混じった、連休最後の夜となっています。

明日からは会社ですから少しは活発に動けるでしょう。

会社があると気持ちも高揚するので、自分で会社をやっていて定年も無くて働けることは、自分の性格にとって良かったと時々思います。


液体ロケットエンジン設計 液体酸素ターボポンプ設計でのインデューサーの性能流体解析結果 

2018年10月04日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジン設計において、 液体酸素ターボポンプ設計を行っていますが、液体酸素インデューサーの性能流体解析結果です。

液体酸素インデューサーの入口での軸流速度とシュラウド側の羽根周速度の比は0.236とインデューサーを小さく設計したので入口速比はロケットインデューサーとしては大きくなっています。

しかしながらインデューサー翼の入口角度を相対流入角度に適切に合わせたことから、インデューサー入口負圧面でのキャビ発生圧力降下領域はほぼ無くなっています。

ただ翼間の中間あたりで急激な圧力降下領域が発生しており、その原因はインデューサー翼展開角が大きすぎることで、翼間途中の翼圧力面が逆反りとなり、翼圧力面からの剥離が甚だしくなっているためと思われます。

よって、次の設計変更はインデューサー翼展開角を小さくして、インデュサーサー翼型が軸流ポンプ翼型に近づく修正を行い、流れ解析を開始します。

次はインデューサー出口から遠心インペラ入口部での流れを見た解析結果図ですが、遠心インペラ入口負圧面に大きな圧力降下領域が見られ、このままでは遠心インペラでのキャビテーション発生による流れの抑制が発生してしまうので、まずインデューサー出口の流れを設計意図通りに整える設計変更が必要です。

次は流体解析モニタリング画面の計算終了時ですが、液体酸素ポンプとしての圧力は充分出ており、質量流量はわずかに設計流量よりも大きい状態で、必要軸動力は100KW程度なのでタービン動力との釣り合いもOKそうです。

<今日の仕事>

午前中は女性エンジニア皆がそれぞれ担当しているプロジェクトについての質問に答えることから始まり、その後設計へと入ります。

午後は来客での打合せがあり、昼休みに準備が必要です。


推力250Kgターボファンエンジンを設計してみたので、これを使う飛行機を計画してみます

2018年10月03日 | 宇宙航空産業機械

推力250Kgターボファンエンジンを設計してみたので、これを使う飛行機を計画してみます。

このターボファンエンジンを使う飛行機のイメージは、ターボファンエンジンを2基使って、大揚力を発生するアスペクト比の大きな主翼を持つ、宅急便大量荷物拠点間長距離高速搬送用の無人?航空機(命名:トラックエアプレーン)を考えています。

ガスジェネレーター部は、軸流+遠心のコンプレッサーと1段軸流タービンの構成です。

エンジンのファンは、ファンタービンで駆動されますが、タービンとファンの間に減速機が入っているギアードターボファンエンジンとなっています。

<今日の仕事>

今日は来客も無く、見積もりと設計に集中出来る1日となりそうです。

女性エンジニア皆の色々な質問に答えながらの業務遂行です。

見積もりは提出したので、自分担当の設計に入っています。


液体ロケットエンジン用改良設計中の1軸式ターボポンプの外観

2018年09月30日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジン用で改良設計中の1軸式ターボポンプの3次元CADSolidWorks画面ショットです。

この1軸式ターボポンプで現在改良設計中なのは、このブログで最近頻繁に載せている液体酸素ターボポンプ部分とポンプ駆動用タービン部の流力形状となります。

月曜日からは燃料ターボポンプ部の流力形状の改良設計に入る予定です。

つまり全ての基本的な形状を設計変更中であり、流力形状が決まった段階でやっと詳細構造設計に入れるのですが、大まかな構造計画に基づいた流力形状計画を行っているので詳細構造設計中に流力形状変更が大きく出ることはないでしょう。

これらの流力形状改良設計と性能流体解析によるターボポンプ性能の確認、そして構造設計のほぼ決定を出来れば10月の19日ぐらいまでに完成したいと思っていますが、これまでも多数の開発設計案件で短納期開発をなんとか行ってきた経験から行けそうに思われます。

<今日の予定>

台風の接近で風雨が強くなっているので外には出られない一日となりそうです。


液体ロケットエンジン用ターボポンプのタービン部の改良設計進行中状況

2018年09月29日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジン用ターボポンプのタービン部の改良設計進行中状況です。

今回の改良設計では1段目ノズルのスロート部とデラバルノズル形状を最初に変更しています。

1段目動翼も入口部形状を流れの偏向に対して余裕を持たせる形状に変更しています。

2段目の流れ転向静翼は入口出口転向角を増やしています。

2段目動翼もやはり転向角を増やし、出口は周方向に対して出口角度を小さくして、さらに翼枚数も増やしました。

それら改良設計の流れ解析結果が次図のメリディアンミーンラインを軸中心周りに回転させた流れ面での流蹟線群表示となります。

気になる点は、1段目動翼鈍頭部での流れの分岐状態と2段目動翼入口相対流入への迎え角の過大、そして2段目動翼最終出口の回転と逆方向旋回流れが過大に残る点です。

解析計算の計算パラメーターの結果一覧が次ですが、前回設計と比較すると流量が3分の2となりましたがタービン軸出力はほぼ同じ300KW出ているので、改良設計は出来ています。

ただ気になる解析結果として、2段目動翼に対する1段目動翼の動力値がほぼ同じ値となっている点です。

一般的な速度複式衝動タービンでは、1段目動翼が全動力の7割を出し、2段目動翼は残り3割程度なので、今回の解析結果から推定出来ることは、1段目ノズルでのガスの膨張が充分ではなくガス速度が遅くて圧力が残った状態で1段目動翼は回転しているため1段目動力が低いと考えています。1段目ノズル出口速度も解析結果図から想定速度には不足しています。

次図からは解析結果図です。

次の改良タービンの改良点は、

1)1段目ノズルの拡大ノズル部の噴射拡大方向長さを今の倍ぐらいに延長して充分なガス膨張比を確保する。同時にノズル羽根枚数も減るのでノズルスロート幅を大きく出来る。

2)1段目動翼の入口形状を変更する。動翼ディスクに穴を数か所開けてノズル噴出空間の圧力を低下させてガス膨張比を上げる。

3)2段目流れ転向静翼は入口形状を鈍頭化させて偏向流れに対処する。

4)2段目動翼はガス膨張比拡大によるガス速度の増加に合わせて入口周方向角度を回転と逆方向に寝かす。出口は逆に翼角度を立てて過度な旋回を減少させて排気流れを改善する。

<今日の予定>

台風が近づいて来ているので、雨が降っています。よって自宅にいる可能性が高くなっています。

<今日やっていること>

今日は自宅で色々とエンジニアリングについてネットで見ていますが、一番興味がある対象はデジタルツインとなります。

デジタルツインはIOTを利用して実際に運転されている機器の情報をリアルタイムに取り込み、それを基に仮想空間に運転状況をシミュレーションも含めてなるべく実際に近く構築して、実機器の運転状況を管理したり、更なる改良設計を試していくことと理解しています。

このデジタルツインを弊社で利用するとすれば、設計製作したタービン発電設備の運転状況をセンサーからリアルタイムに取り込み、それら値を仮想空間に構築したタービン発電設備シミュレーターに入力して運転予測管理や故障予測管理、運転利益最大化シミュレーションなどを行うシステム造りが考えられます。

他のデジタルツイン利用としては、設計製作した実験装置の動作時センサーからのデータにより、データ値から仮想空間内に構築した実験装置の運転を普通のシミュレーションとは逆方向のリアルからシミュレーションを造るという計算で再現することで、特に流体機械の内部流れ状態をリアルタイムに仮想空間に作り出し、改良設計の指針をリアルタイムに把握するシステム造りが考えられ、高性能で安全な機器の開発が非常に短期間で可能となるでしょう。


ロケットターボポンプタービン部の改良設計と性能流体解析の結果

2018年09月27日 | 宇宙航空産業機械

ロケットターボポンプタービン部の改良設計と性能流体解析の結果です。

タービン軸出力は305KW程度になりましたが、まだ1段目ノズルからの噴出速度が小さすぎて流量は過大なので、更なる改良設計を続けています。

<今日の仕事>

上記タービンの第一段目ノズル形状を変更設計します。

ファン設計担当女性エンジニアとは、特にシュラウド側弦長の拡大の効果を確認してもらうように打合せしています。

推進機担当女性エンジニアとは、ブレードスパン方向翼型分布の取り方について打合せしています。

ターボポンプ担当女性エンジニアとは、渦巻きケーシングの滑らかなモデリングについて打合せしていますが、自分よりも渦巻きケーシング設計に慣れている女性エンジニアが指導をしてくれています。

高圧ターボ機械担当女性エンジニアとは、さらなる効率改善の改良設計の流体解析結果について打合せします。

水力発電用フランシス水車設計担当女性エンジニアとは、性能流体解析結果として水力タービン効率が既に87%に達したので、製作図作成の打合せをしました。


ロケットターボポンプのインデューサーのキャビテーション流体解析による蒸気体積割合結果図

2018年09月26日 | 宇宙航空産業機械

ロケットターボポンプのインデューサーのキャビテーション流体解析による蒸気体積割合結果図となります。

次図からはインデューサー羽根表面のキャビテーションによる蒸気体積割合を最大値48%、最小値0%として色分け表示したものです。

次図からはインデューサー羽根表面のキャビテーションによる蒸気体積割合を最大値100%、最小値0%として色分け表示したものですが、蒸気体積割合の発生最大値が48%なので色分布には赤い領域はありません。

以上のインデューサーキャビテーション発生蒸気体積割合図を見ると、ブレード入口縁の負圧側に蒸気気泡が発生して、それが少し後流に行くと圧力が高くなりキャビテーション崩壊で蒸気が液体に戻ることが分かります。

インデューサーブレードの圧力側では入口からキャビテーション発生もほぼ問題なく少ない状態です。

<今日の仕事>

朝の打合せ後に、3次元測定器で点群を測定したデータからサーフェースを作成して、それを更にソリッド化しようとしている作業を行っている女性エンジニアと、サーフェースからソリッドへのSolidWorks上での変換手法の色々なものを試していました。

新インデューサーの設計を担当している女性エンジニアとは、滑らかな面を持つ展開角の大きなインデューサーの後々設計変更が容易な設計手法について打合せをしました。

高性能ファンを担当している女性エンジニアとは、ブレード弦長によるファン性能への影響を更に試してみることを確認しています。

高圧ターボ機械を担当している女性エンジニアとは、予定よりも圧力が高過ぎる流体解析結果となった事への対処方法を打合せしました。

その後は、自分の設計対象の設計を進めています。


ターボポンプインデューサーの改良設計と性能流体解析結果

2018年09月24日 | 宇宙航空産業機械

ターボポンプインデューサーの改良設計と性能流体解析結果の図です。

次図はインデューサー翼面の圧力色分布です。

青い最低圧力を0.1MPaとしていますが、翼入口前縁では0.1MPaが点々と発生しています。

この部分から発生した蒸気は翼シュラウド側への旋回キャビテーション発生をしますが、前縁より下流側の圧力上昇が充分なので蒸気泡崩壊は割と速くなり、翼シュラウド縁にキャビテーション懐食をもたらすでしょう。

しかしながら短時間のポンプ運転なので懐食は問題とならず、キャビテーションによる入口流量減少も問題とならないでしょう。

もう少しインデューサー翼入口縁を薄く出来れば低圧箇所が少なくなりますが、現状でも入口縁厚みが厚くて0.6mm程度なので翼の5軸加工でのエンドミルビビりによる面粗度の荒れを考えるとこれぐらいが限界かと思われます。

前回の設計解析結果よりも少し入口低圧領域が改善されています。

<今日の予定>

朝から雨の休日なので自宅での色々な事となりそうです。

朝は一番にカフェに行ってモーニングを食べました。

その後は自宅で、このブログ書きやSolidWorksでの計画設計を行っています。

設計に飽きたら、YouTubeのポップ系のDance Practice を見て、ダンスの練習してみます。