液体ロケットエンジン設計の燃料ターボポンプ部も良い性能が出ていることを確認した性能流体解析結果図です。
次図は入口ケーシングから2段のインペラ、そして渦巻きケーシングを燃料が流れている流線図となり、色は圧力分布を示しています。
今回の改良設計では、入口ケーシング内にセパレーター翼を入れて、以前の入口ケーシングに発生していた回転と同方向の1段目インペラ吸い込みにより発生していた旋回流れを無くすことが出来ています。
次図は2段のインペラの流れ表面の流蹟線と圧力分布を示した解析結果図です。
初段のインペラは低比速度斜流タイプとなっていて、2段のインペラは低比速度遠心タイプです。
初段インペラの入口の圧力は大気圧以下に下がっていないので、燃料の飽和蒸気圧から考えると全くキャビテーションは発生しないでしょう。
更に、燃料の相対流れ状態に対して非常に最適化した羽根設計を行えていることから、翼間流れは停滞や渦領域も無く、しかも非常に滑らかな圧力をしていますので性能が高くなっています。
この設計は、入社2年目の女性エンジニアが行ったものであり、特にポンプ多数枚ブレードの良さを引き出しています。
低比速度遠心インペラにおいて特に圧力を高くする必要が有る場合には直径を大きくすればいくらでも高圧になりますが、インペラ出口の羽根高さが小さくなりすぎて効率の低下が大きくなります。
よって適切なインペラ出口羽根高さを維持したままで圧力を上げるためには翼枚数の多数化が非常に有効なのです。
多数翼枚数にすると摩擦損失による効率低下が大きいと考える人もいますが、それは経験が足りないことによる考え方で、ポンプでも翼枚数が多くて翼間流れが羽根形状に沿って滑らかに流れる多数枚翼は効率も高くなるのです。
次図はシュラウド近傍流れを初段から2段目までの流れ曲面上で見たものです。インペラ部では相対流れ、静翼部では絶対流れとなっています。
この流蹟線群を見ると、初段から2段へのリターン翼では流れが適切に転向されるようになり、渦領域がほぼ無い状態に出来ました。
ただ、2段目インペラのシュラウド側にメリディアン方向流れが曲がりきれてなくて、2段目入口部で停滞流れが生じています。これを修正するのは現状難しいと思われます。
次図はミーンライン流れ曲面での流れ状態図です。
良い状態です。
次はミーンライン流れ曲面の流れを下側から見たものですが、リターン静翼部にところどころ渦領域が見られます。これはリターン静翼の翼形状を修正することで無くせるでしょう。
次は、解析計算モニタリング画面です。
解析計算が終了した状態の画面ですが、子午面流れ状態は概ね良好です。
<今日の作業>
今日は見積作りが中心作業です。