流体機械設計と流体解析シミュレーション

流体機械設計と流体解析シミュレーションを行っている株式会社ターボブレードの社長である林 正基の日々について記載しています

液体ロケットエンジン用ターボポンプのタービン部の改設計と性能流体解析をさらに進行中

2018年11月13日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジン用ターボポンプのタービン部の改設計と性能流体解析をさらに進行中です。

次のような速度複式衝動タービンが最新の改設計タービンです。

駆動ガス流量がかなり少なめにより初段ノズルが全周流入ではノズル翼枚数は極端に少なくなっています。

ノズル翼枚数が少ないと拡大ノズル出口と隣の拡大ノズル出口の間の空間が大きな容積を持つことで、ノズルからの超音速流が減速されて動翼への動力伝達が少なくなってしまいます。

2段目のノズルは超音速ノズルではなく、速度複式タービンなので単純に初段動翼から出た旋回ガス流れを大きく転向させるだけの役目を持つガイドベーン形状となっています。

よって2段目動翼は転向角の少ない衝動タービン翼形状となり1段目動翼に比べて発生動力は少なくなってしまいます。

次は解析計算モニタリング画面の計算終了時であり、圧力変化、速度変化、エンタルピー変化を断面状態で見ています。

これを見ると入口から出口までのエンタルピーの減少量が少なくて、充分に動翼にガスが動力を伝えていないことが分かります。

予定の比エンタルピー変化量は480KJ/Kgですが、それよりも相当に少ない変化量の状態です。

次に圧力については出口では想定どおりに落ちています。それも初段ノズルで全圧力比を消費しているようです。

そして速度については、最大ガス速度が1080m/s ぐらいありますので、わりと超音速膨張出来ていると考えています。

この速度複式タービンの子午面形状も今回は大幅に変更しています。

ノズルスロート幅を全周流入でも少しでも広げるためにノズル高さを前回の半分としています。

それとタービンミーンラインは完全に円筒形状としてテーパ拡大を無くしていて、2段目動翼への速度を確保するようにしています。

このターボポンプ用タービンは出力が200KW以上出ますが、その大きさは200mm程度の円筒内に入る手の平に乗る程度の大きさしかない、超小型大出力モーターと言えます。

<今日の仕事>

資料と見積書、そして請求書などを作るのが中心作業です。

全女性エンジニアの各担当プロジェクトも順調に進んでいます。

今年入社の新人女性エンジニアにはいつの間にか現在3件のプロジェクトを進めてもらっている状況となり、短期間での成長と速い作業に感謝しています。


液体ロケットエンジン液体酸素ターボポンプインデューサーの最新設計の流れ解析結果

2018年11月12日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジン液体酸素ターボポンプインデューサーの最新設計変更後の流れ解析結果です。

インデューサーブレード入口負圧面での圧力低下領域はかなり少なくなっています。

インデューサーブレード翼間流れを見ても圧力上昇は滑らかに行われており、インデューサー出口では充分な圧力を持っています。

ただやはり青い負圧領域から発生するキャビテーション気泡がどれだけ滑らかな翼間流れを妨げるのか、それが気になり次はキャビテーション領域解析に入ります。

<今日の流れ>

午前中に来客での打合せがありますが、それ以外は見積りなどの書類作成が今日の中心作業です。

最近は見積案件も増えていて、開発設計や流体解析、構造解析などの受託範囲も色々な種類の流体機械にわたっています。


液体ロケットエンジンメーカーになるためのA3ロケットエンジン計画にターボポンプ構想を追加

2018年11月10日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジンのメーカーになるために設計を進めているA3ロケットエンジン計画に、ターボポンプ部の構想計画を追加しました。

タービン駆動ターボポンプは、燃焼筒とノズルスカートの横に縦軸の1軸式ターボポンプとして計画しています。

1軸式ターボポンプの内部流体部設計は現在進めているところです。

このA3ロケットエンジン計画ではA3サイズ用紙の大きさに入るぐらいの大きさのロケットエンジンなので、ターボポンプ部は非常に小型になります。

この1軸式ターボポンプはタービンの回転数も高速として設計しないとポンプ部の圧力が高圧にならないので、ターボポンプ回転数は毎分5万回転以上となります。

ロケットエンジン全体の外観は現在主流のロケットエンジン形態に近いものとなっていますが、これはあくまで構想図なので今後の詳細設計計算と詳細設計にて大幅に全体構成が変更となるでしょう。

今後の変更として、燃焼筒の容積の拡大、ノズルスカートの縮小、ターボポンプ形態の大幅な変更、再生冷却部の詳細計算などを行います。

<今日の予定>

朝は7時過ぎに起きましたので、色々と活動してみます。


液体酸素ターボポンプのインデューサーの耐キャビテーション性能改善を延々と進行中です

2018年11月07日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジン用の液体酸素ターボポンプのインデューサーの耐キャビテーション性能改善を延々と進行中であり、それの昨日の設計結果の解析図です。

今回の設計変更ではボスのブレード入口角度が相対流入流れに対して少し寝すぎていて圧力面に低圧領域が出来ていたのを改善する為のボス部入口羽根角を立たせてみた解析結果データ図です。

まだ少しボス部ブレードが寝ていて本日は更にそれを修正した設計と解析計算に入っています。

かなりボスの入口羽根角度が通常のインデューサートと比較して立っている理由は、遠心酸素インペラでの入口出口口径比を大きくし過ぎて遠心インペラでの圧力上昇が小さくなるのを防ぐ為にインデューサーの直径を小さめに設計しているので、入口軸流速度が速くなりボス部入口羽根角が立つこととなっています。

しかしながらインデューサー翼のシュラウド側はかなり入口角度が寝ている(7度から12度ぐらいまで)必要があるので、ボスからシュラウドへのスパン方向の翼型ねじれが大きくなっていて複雑な曲面を持つインデュサーブレードになっています。

このインデューサーの次に改良設計したインデューサーのブレードは更に捻じれた複雑形状なので、う~ん!? これでいいのか? と今日は一日悩んで少し怒りっぽくなっています。

<今日の流れ>

午前中に来客での打合せがあり、その後は必要書類の作成が今日の中心作業です。

幾つかの資料を提出して、残りの資料作成を行っています。 


液体ロケットエンジンターボポンプ用の単段衝動タービンを設計と流体解析してみました

2018年11月06日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジンターボポンプ用の速度複式タービン設計を完成させるために、まず単段衝動タービン状態での性能を充分に上げてみるために、タービンの設計と流体解析をしてみました。

液体ロケットエンジン1軸式ターボポンプ用の速度複式衝動タービンの効率改善もかなり進んでいたのですが、1段目と2段目のバランスをうまく取るのがなかなかに難しくなり、基本に戻り1段目のみで最大出力まで上げて、その後に1段目出口からの旋回排気流れで2段目の動力作用を最大化するという試みです。

<今日の予定>

午前中は用事で外出していますので午後からの会社です。


ターボポンプ付き液体マイクロロケットエンジン推力1トン A3ロケットエンジンの設計

2018年11月05日 | 宇宙航空産業機械

超小型高速回転ターボポンプ付きの液体マイクロロケットエンジンとして推力1トンの名称:A3ロケットエンジンの3次元設計を進めています。

次の3次元設計図のように今日は、外部燃焼筒とノズルスカート部、液体酸素ヘッダ、燃料ガイドプレートなどと銅合金製の燃焼内筒を設計しました。

銅合金の燃焼内筒以外はステンレス製です。

4つ割りの燃焼器外筒とノズルスカート一体の部分は素材からの削り出しにより作られ、ボルト締めにて組み立てられます。

燃焼器とノズルスカートの外筒は4つ割りで出来ていますが、その内側には再生冷却燃料流れ通路を持つ銅合金製の内筒を保持します。

再生冷却機構のための銅合金製の燃焼内筒は次図のように外部にNC加工で彫った多数の冷却液通路を持ちます。

このA3ロケットエンジンはA3用紙サイズに入る非常に小型のロケットエンジンなので部品を溶接や鋳造ではない削り出して造っても製作金額はそれほど高くなりません。

次は超小型高速回転の1軸式ターボポンプ部の3次元設計に入ります。

燃料と液体酸素噴射部の3次元設計も残っています。

<今日の流れ>

午前中は問い合わせに対して回答していました。

午後は来客での打合せです。多分長時間になると思われます。


4枚羽根インデューサーの性能流体解析結果 液体ロケットエンジンターボポンプ用

2018年11月03日 | 宇宙航空産業機械

4枚羽根インデューサーの性能流体解析結果図です。

このポンプインデューサーは液体ロケットエンジンの液体酸素ターボポンプ用です。

色分布は圧力分布を表していて、最も赤い部分が570万PaAとなり、最も青い部分が10万PaAとなります。

最も青い10万PaAの位置では液体の飽和蒸気圧力以下となるのでキャビテーション蒸気気泡が発生します。

そのような低圧の部分がインデューサー負圧面と入口縁にあり、遠心インペラの入口ボス近傍負圧面に少し低圧領域が見られます。

最も青い部分はブレード入口縁に存在しており、そこからは気泡が出ますが、ブレード入口付近負圧面は低圧ですが何とか10万PaA以上になっているようです。

このインデューサーブレード負圧面の青い領域を少しでも減らすための改良設計と流れ解析計算は続けています。

次図からは圧力表示範囲の上限を30万PaAとしている解析結果図です。

表示レンジを変更すると見たい範囲の変化を細かく観察することが出来ます。

<今日の予定>

今日は土曜日なので午前中はのんびりです。


液体ロケットエンジンターボポンプインデューサー試験装置のインデューサー羽根枚数を4枚に変更してみた

2018年11月02日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジンターボポンプインデューサー試験装置のインデューサー羽根枚数を4枚に変更してみました。

インデューサー羽根枚数を4枚に変更したことで翼のソリディティーが適正化されて翼間での昇圧作用が滑らかとなり、キャビテーション発生に対抗する能力が高まると期待しています。

現在この4枚羽根インデューサーでの性能流体解析計算を進行中です。

<今日の仕事>

今日は一日作業に集中出来ますが、同時に女性エンジニアそれぞれが担当するプロジェクトの方向性の打合せも進めます。


液体ロケットエンジン用インデューサー試験装置の設計

2018年11月01日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジン用インデューサー試験装置の設計例です。

液体酸素ポンプ用インデューサーとして設計している羽根ですが、少々羽根展開角が小さく設計していることが気になる点です。

羽根展開角が240度以上となれば、ブレード弦長は非常に長くなり緩やかな流れの転向が行われる思われますが、今回はインデューサーとしては短めの弦長でインデューサー出口圧力を上げる方向に振っているので、耐キャビ性能がどうなるか微妙にも思います。

よって羽根枚数を4枚として翼間の圧力減圧領域を減らす試みも行っています。

このインデューサー試験装置3次元設計データからキャビテーション性能解析用流体モデルを作成して、キャビテーション流体解析を色々な条件で開始しますので実験と並行してシミュレーションでの性能データが求まり、実験値との比較で今後より正確なキャビテーション解析計算が確立されるでしょう。

<今日の流れ>

今日は色々な資料の提出作業と、基本設計を行う案件が有ります。

 


A3ロケットエンジン(A3用紙サイズロケットエンジン)の構想設計が進む

2018年10月31日 | 宇宙航空産業機械

A3ロケットエンジンと呼ぶA3用紙サイズの大きさの液体ロケットエンジンターボポンプ付きの構想設計が次のように進んでいます。

全体構想図なので大まかな寸法であり、これから詳細計算で修正していく計画図です。

超小型のターボポンプ部の設計回転数は毎分5万回転ぐらいになることは決めています。

<今日の仕事>

メール関係問い合わせへの回答がまず最初です。

その後現在進めている6プロジェクトについて担当者と色々と打合せとなり、それらの資料も作ったりしていると夕方となりそうです。