液体ロケットエンジン用ターボポンプのタービン部の改設計と性能流体解析をさらに進行中です。
次のような速度複式衝動タービンが最新の改設計タービンです。
駆動ガス流量がかなり少なめにより初段ノズルが全周流入ではノズル翼枚数は極端に少なくなっています。
ノズル翼枚数が少ないと拡大ノズル出口と隣の拡大ノズル出口の間の空間が大きな容積を持つことで、ノズルからの超音速流が減速されて動翼への動力伝達が少なくなってしまいます。
2段目のノズルは超音速ノズルではなく、速度複式タービンなので単純に初段動翼から出た旋回ガス流れを大きく転向させるだけの役目を持つガイドベーン形状となっています。
よって2段目動翼は転向角の少ない衝動タービン翼形状となり1段目動翼に比べて発生動力は少なくなってしまいます。
次は解析計算モニタリング画面の計算終了時であり、圧力変化、速度変化、エンタルピー変化を断面状態で見ています。
これを見ると入口から出口までのエンタルピーの減少量が少なくて、充分に動翼にガスが動力を伝えていないことが分かります。
予定の比エンタルピー変化量は480KJ/Kgですが、それよりも相当に少ない変化量の状態です。
次に圧力については出口では想定どおりに落ちています。それも初段ノズルで全圧力比を消費しているようです。
そして速度については、最大ガス速度が1080m/s ぐらいありますので、わりと超音速膨張出来ていると考えています。
この速度複式タービンの子午面形状も今回は大幅に変更しています。
ノズルスロート幅を全周流入でも少しでも広げるためにノズル高さを前回の半分としています。
それとタービンミーンラインは完全に円筒形状としてテーパ拡大を無くしていて、2段目動翼への速度を確保するようにしています。
このターボポンプ用タービンは出力が200KW以上出ますが、その大きさは200mm程度の円筒内に入る手の平に乗る程度の大きさしかない、超小型大出力モーターと言えます。
<今日の仕事>
資料と見積書、そして請求書などを作るのが中心作業です。
全女性エンジニアの各担当プロジェクトも順調に進んでいます。
今年入社の新人女性エンジニアにはいつの間にか現在3件のプロジェクトを進めてもらっている状況となり、短期間での成長と速い作業に感謝しています。