流体機械設計と流体解析シミュレーション

流体機械設計と流体解析シミュレーションを行っている株式会社ターボブレードの社長である林 正基の日々について記載しています

ターボファンジェットエンジンの設計を今年も継続します

2019年01月08日 | 宇宙航空産業機械

ターボファンジェットエンジンの設計を今年も継続します。

2年半ほど前から設計を継続しているターボファンジェットエンジンは、推力250kgを発生する小型軽量で熱効率が高い性能を目指した開発設計プロジェクトであり、用途は空飛ぶ車関係の推進機としています。

それの少し前の設計形状が次図です。

ギアードターボファンを軸流1段タービンが駆動しますが、ガス発生機は軸流コンプレッサー+遠心コンプレッサーの構成となっていてそれを1段の軸流タービンが駆動する全体的にシンプルな構成となっています。

今後の改良設計方針としては、熱効率を上げるために圧力比の上昇を目指して軸流3段コンプレッサー+遠心コンプレッサー構成へと変更することと、ターボファン駆動用軸流タービンを2段化して効率を上げて回転数を下げギアードの負担を減らすこと、そして全体構造の薄板化を限界まで進める軽量化とともにターボファン部はカーボン樹脂材料として軽量化を更に進めることなどが上げられます。

<今日の流れ>

今日は年末にやり残している書類関係の作成を進めます。

スタッフの皆は各自の担当プロジェクトを順調に進めているようです。


ロケットターボポンプに使用するインデューサーの入口旋回渦流れを流体解析で捉えていました

2018年12月28日 | 宇宙航空産業機械

ロケットターボポンプに使用するインデューサー羽根の入口に生じる旋回渦流れが発生する様子を流体解析計算で捉えていました。

次がインデューサーにとって出口圧力が高くて流量が少ない場合ですが、この状態ではインデューサーチップ圧力側から入口方向に漏れた流れが旋回渦流れを大きく生じているのが流体解析計算結果として現れています。

次は上図に比べて流量は多くて出口圧力は低い状態なのですが、インデューサー入口戻り渦流れ状態は上図より強く出ています。

次は上図より流量が多くて出口圧力が低い状態であり、これまでに比べて入口旋回渦流れは少なくなっています。

出口圧力が低くなるとインデューサー羽根の圧力側から負圧側へのチップ隙間からの漏れ流れが差圧が少ない為に少なくなることが低圧大流量で入口旋回漏れ流れが抑えられる理由と推定します。

次は最大流量に近い出口圧力も低い状態なのでほとんど入口旋回渦流れが生じていません。

<今日の一日>

今年も業務最終日となりましたが、普段と変わりなく仕事を行っています。

ただ今日はプレミアムフライデイなので午後3時には終業です。


回転数3000rpm、出口圧150000PaA、入口大気圧での実験用インデューサーの流体解析結果

2018年12月18日 | 宇宙航空産業機械

回転数3000rpm、出口圧150000PaA、入口大気圧での実験用インデューサーの流体解析結果です。

質量流量 毎秒80kg  羽根回転トルク 18.85Nm  インデューサー必要軸動力  5.92kw  の結果となっています。

インデューサーポンプ効率として計算すると効率は66%ぐらいとなります。

よってもう少し出口圧力の大きい流量の少ない状態が最高効率点となるでしょうから、現在出口圧力200000PaAにて流体解析計算進行中です。

前回のインデューサー表面の相対流れ流線群に比べて次図のようにインデューサーブレード入口縁への流れ込み角度が合うようになってきたために、入口縁での圧力降下領域はかなり少なくなっています。

このような回転数3000rpmで実験する状態ではインデューサー使用動力も5.92kw程度の少ないものなので、実験装置モーターに余裕動力があればより回転数を上げて実験可能です。

<今日の仕事>

色々な進行中プロジェクトの関係者の皆様からの数々の御質問への回答をまず一つずつ行う必要があります。

そのような解決しなければならない問題は常に数個はあることとなり、それらは一日中考えていたりします。

自宅の自室でも最近はテレビを見ることはほとんど無くてネット関係での検索も多いのですが、そのような時に解決方法が思い浮かぶことがよくあります。


実験用液体酸素ターボポンプインデューサーの流体解析 設計点より大流量側での結果

2018年12月17日 | 宇宙航空産業機械

実験用の液体酸素ターボポンプインデューサーの流体解析を行いました。

インデューサー設計点より大流量側での流れの様子の結果図です。

設計点流量より大流量流れた場合なので、特にボス側では相対流入角度が立っていてブレード入口縁圧力面に低圧領域が発生しています。

次のこの実験用インデューサー流れ解析では、出口圧力を15万PaAにして流体解析計算を行い、流量が減少して流れることとなります。

次図ではインデューサーブレード入口圧力面に低圧領域が発生していることが分かり易く見えています。

このインデューサー実験装置用のインデューサーは直径が実機インデューサーの3.75倍もある大きな実験用羽根なので大流量流せることで、それが使う動力は非常に大きくなり実験装置を駆動するモーターの最大出力が小さいとインデューサーを回すことも出来なくなります。

つまりこの実験用インデューサーは大出力ポンプとしての特性を持っています。

<今日の仕事>

年末も近づいてくることから書類の作成が増えていますので、それらを処理する作業を中心に行います。


A3ロケットエンジン用の新ターボポンプを担当女性エンジニアが計画設計中です

2018年12月13日 | 宇宙航空産業機械

A3ロケットエンジン用の新ターボポンプを担当女性エンジニアが計画設計中であり、次図が3次元CADでの断面計画図となります。

3次元CADSolidWorksのスケッチ機能を使って、推力1トンを計画しているA3ロケットエンジンのターボポンプの断面計画として進めているものです。

流体機械の断面計画は、全ての寸法と形状を設計者が詳細に決めることが必要です。

<今日の一日>

今日は朝から熊本に車で出張して用事を済ませ、午後4時には帰ってきました。


液体ロケットエンジン設計 再生冷却燃焼筒ノズルスカート部の冷却通路圧力損失解析にて目標値を達成

2018年12月10日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジン設計において重要な再生冷却機能を持つ燃焼筒とノズルスカート部の冷却通路の圧力損失解析にて目標値を達成しました。

次が再生冷却用の多数細溝冷却通路を持つ燃焼筒とノズルスカートの流体解析モデルです。

次は冷却用細溝流路を見たものですが、前回の冷却通路に比較して少し通路幅を増やしています。

この再生冷却流路による圧力損失の値は流体解析計算の結果195万Paにすることが出来て圧損値を目標以内に抑えることが出来ています。

次が流体解析計算モニタリング画面の計算終了時のものです。燃料噴射ノズル手前での燃料圧力は4.95MPaになりました。

次図からは燃料流れの3次元流線群により再生冷却用溝群への流れ込みの偏りがないかどうかを見ている解析結果図です。

一見流れの偏りは無いように見えていたのですが、次図を見ると再生冷却入口ドーナツ状チャンバーの1箇所のパイプからの流入口の反対側では流線が少なくなっていて冷却液流れ量が少なくなっていると推定出来ます。

再生冷却多数溝への流れ込みの偏りは、冷却壁面の温度に予定よりも温度の高い状態が現れることとなり、熱応力の過大化などで冷却通路が破れる可能性があることから、なるべく均一に再生冷却を行うためには燃料の入口を現状の1箇所から2箇所に変更する必要が有りそうに思われます。

<今日の一日の流れ>

来客もないので朝から色々なプロジェクトの判断や方向性の打合せが出来ています。

その後は新たな解析システムの構築作業に入ります。

 


燃焼筒+ノズルスカートの再生冷却用液体通路の圧力損失を流体解析した結果です

2018年12月08日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジン燃焼筒+ノズルスカートの再生冷却用液体通路の圧力損失を流体解析した結果です。

次は冷却用燃料を通す多数の溝が彫られた圧力損失解析用の燃焼室ノズルの解析モデルです。

非常に多数の冷却通路溝を彫っています。

次図からは冷却用燃料が冷却通路を通過している様子を示す3次元流線群の表示です。

冷却液の入口はノズルスカート出口噴出口の廻りにあるドーナツ型のチャンバーにパイプで一箇所から供給されています。

再生冷却液入口チャンバーの一箇所からしか液体を入れてない割には、全体的に均等に多数冷却溝に流れ込んでいます。

スカート部の入口から入った冷却用燃料は燃焼筒のヘッド部に集まって、燃焼筒ヘッド中心部の燃焼噴射口に達します。

このように冷却用燃料がノズルヘッド燃焼噴射口に辿り着くまでの液体が失う圧力(圧力損失)は流体解析の結果この冷却溝では270万Paになり、予定の圧力損失よりも大きくなってしまっています。

以上の結果から次の再生冷却部設計では冷却溝の数は増やすのが無理そうなので、現在深さ2mmの溝を深さ2.5mmほどに深くして通路面積を増やすことで圧力損失を設計値に近づけます。

このような燃焼筒+ノズルスカートの圧力損失調整を設計で行わないと燃焼室内圧力が設計予定値にならずロケットエンジン推力自体が予定からずれるので、今後のこの設計変更と流体解析は相当に繰り返し行うこととなりそうです。

<今日の流れ>

今日はこの冬一番寒い午前中でしたが、寒い中どれだけバイクで走れるのか午前中に1時間ほど山方面に走ってきました。

やっぱり寒いのは脚のももの部分と手先の部分、そして顔で風が当たる部分と分かりましたので、次に乗る場合の防寒の仕方がつかめました。


燃焼筒とノズルスカート部の再生冷却機構流れ解析シミュレーション用モデル作成が進んでいます

2018年12月06日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジン用の燃焼筒とノズルスカート部の再生冷却機構流れ解析シミュレーション用モデル作成が進んでいます。

次図のようなロケットエンジン全体構成であり、縦軸ターボポンプから送り出される高圧燃料がノズルスカート下部から再生冷却用液体として燃焼部内壁流路に供給されて燃焼噴射ノズルまで達します。

その燃料が冷却通路を通過する時にどれだけ圧力が通路抵抗により損失するかをシミュレーションするための液体ロケットエンジンモデルです。

もし過大な再生冷却通路圧損があれば、燃料噴射時の圧力が極端に下がり設計燃焼状態を造ることが出来ずにノズル噴射速度の低いロケットエンジンとなるので、この再生冷却通路圧損シミュレーションはロケットエンジン性能を決める非常に重要な解析となります。

次図のように燃焼筒からノズルスカートの内壁には燃料通過用の溝が多数彫られています。

しかしながらもっと通過溝面積が大きくなければ多大な圧損となるでしょう。

<今日の流れ>

今日は来客が1件あるぐらいで穏やかな一日となりそうです。


部分挿入型速度複式衝動タービンが良い性能を示しています

2018年12月05日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケットエンジンターボポンプの部分挿入型の速度複式衝動タービンが良い性能を示すことが流体性能解析の結果分かりました。

設計流量の3分の2の質量流量で144KWを出しており、設計流量では216KW出ることが予想され設計出力をほぼ満たすようになります。

部分挿入とは次図のように衝動タービンに限ってですが、タービン動翼羽根に高速噴流を噴射する超音速ノズルが全周には存在せず周の一部にだけノズルが有る状態を言います。

この図の場合は燃焼器からの燃焼ガスがタービン入口ケーシングに入って直ぐのところにノズルを寄せて配置しています。

次はノズルと動翼、ガイドベーン、2段目動翼の翼間流れ状態を示す解析結果図です。

ノズルのスロート位置は動翼に接近させているために拡大部はほとんど無くてすぐに動翼に噴射ガスが入っていっている状態です。

しかしそれでも動翼の流れ状態は良くて、その後のガイドベーンと2段目動翼での流れ状態も良いので、動力性能が目的に達することとなっているようです。

このような動翼の一部にだけ流れが流れ込む場合の解析方法として今回はスライディングメッシュを使って動翼部は回転する解析メッシュを持つ非定常流体解析となっています。

<今日の流れ>

午前中は来客での打合せがあります。

午後は設計に集中します。


ターボブレードの宇宙開発業務 縦軸1軸式ターボポンプの詳細構造設計

2018年12月04日 | 宇宙航空産業機械

昨日はターボブレードの海洋開発業務を紹介しましたが、今日は宇宙開発業務を紹介します。地球の地下から宇宙までと開発設計範囲が拡張しています。

弊社の宇宙開発業務として縦軸1軸式ターボポンプの開発設計があり、このターボポンプ設計の流体要素はほぼ性能が出るように設計出来たので、次段階として構造設計の詳細に入るのが次図です。

<今日の流れ>

朝から現在設計中の色々な対象の改良設計点や流体解析の改良手法などを各担当者と打合せしています。

午後は来客での定期的な打合せがありますが、それ以外は設計に集中です。