四方田犬彦という人が池内敏教授の新刊『日本人の朝鮮観はいかにして形成されたか』の書評を書いておられる。 【書評】『日本人の朝鮮観はいかにして形成されたか』 池内敏 著 2017年12月17日 東京新聞 一部を転載します。 竹島(独島)ははたして日本領か、韓国領か。こうした○×式の回答を期待していた読者は本書を読んで、事態はそれほど単純なものではないと知るだろう。まず、李朝朝鮮国と江戸幕府とでは島の呼び方が異なっていた。両者の中間にあって外交を司(つかさど)った対馬藩と、鎖国を国是とする幕府とは、異なった認識を抱いていた。幕府には朝鮮との対等外交の意識が強く、竹島渡航禁止令をたびたび発令した。だが対馬藩は、既得権を理由に実効支配を主張した。加えて鳥取藩の漁民たちは禁令を無視して、渡航を重ねた。 ・・・・・・・・・・・・ 今日、竹島は両国のナショナリズムの争点と化しているが、島の帰属を問うためには、近代国家成立以前の領土観を再検討することが急務である。ナショナリズムの熱狂を醒(さ)ますには、歴史家の冷静な眼差(まなざ)しが必要だと、本書は教えてくれる <コメント> 「読者は本書を読んで、事態はそれほど単純なものではないと知るだろう」という言い方は面白いですね。池内さんが意図したとおりの反応です。ここは本当は「事態はそれほど単純なものではないと思い込まされるだろう」としたほうがいいんですけどね。 「鳥取藩の漁民たちは禁令を無視して、渡航を重ねた。」というのは本書のどの部分のことなのか分からない。そんなことは史実として無いことだし、本書にもそんなことは書いてないと思うのだが。天保竹島一件のことだとしても表現は変だし・・・・。 「ナショナリズムの熱狂を醒(さ)ますには」とおっしゃるが、不法占拠されている日本の領土の返還を求めることがナショナリズムの熱狂だとしたら、それは別に醒ます必要はないことだ。 「歴史家の冷静な眼差(まなざ)しが必要だと、本書は教えてくれる」というような評価は、池内さんの前著『竹島-もうひとつの日韓関係史』のときにもしばしば見かけた好意的な評価です。 ですが、このブログではたびたび指摘して来たし、今から『日本人の朝鮮観はいかにして形成されたか』の竹島関連記述についても少々書いていくつもりだが、「歴史家の冷静な眼差(まなざ)し」と言われるものは、竹島問題の解決にとっては実は邪魔になっているものです。 |
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