とりあえずbromodomainのmanuscriptは投稿するレベルに達したので,自らの手で投稿したいという人がおられるのでその人に任せてある.
この手の仕事はもう2度とやりたくないというもの.
しかもまだアクセプトになったわけでもないのだけれども,苦痛の日々だった(過去形).
-間違ってもらってはあれなんだけれども,どの仕事が論文として終わった時は,もう二度とやりたくないと言っているので.凄まじいエネルギーが使われているので.
経緯は2015年にapo structureの結晶のデータを取得
すぐにMRでフェーズを決め,おそらく2018年4月まで放置.
同年の2月にボスがお亡くなりになられ,ラボが1年後をめどに閉じるということになり,論文としてまとめたいということで,手伝ったもの.
正確には3回程度Skype meetingをしたけれども,ま,そういうのはここの総括にいれない.
最初に,論文を書くために,どのような思いで仕事をしたのか教えて欲しいということで,レポートをお願いしたけれども,なぜ,nuclear poreのラボの人がなぜbromodomainの構造解析をしようとしたのか?全く意図もわからなかった.
唯一調べて,1つ,論文があったけれどもdiscussionのレベルでこのレベルのもので,実際に実験を始めるの???というものがあったのは確か.ただ,それがきっかけだったかどうかは不明.
話によれば,このプロジェクトは現在企業にいるPDの人のプロジェクトを引き継いだらしく,意図などは全く不明だった.
論文を書くのを手伝ってあげて欲しいということで,2018年6月3週目ごろから書き始めた.
その当時渡されたのはあまりに役に立たないレポート1枚と,リファインメントが終わっていないdata set, ITCでの結合実験3つのみ.
基本的にはbromodomainの構造は2012年にSGCが網羅的に解析したものがCellに出ているので,構造自体は全く新しくない.データを取ったのが2015年なので,そういう時代背景も大切になる.
なぜあえて調べないといけないのか?それがはっきりしていない.
つまり,そこが明確だと余裕だったわけ.
ということで,原稿には色々書いてはあるけれども,computational modelingは非常に正確でswiss-modelでほぼ正しいものが出てくる.当然.4つのαヘリシースからなる8 kDaほどのものなので間違えるはずがないもの.
だから,結晶があってもなくてもなんら世界は変わらないということ.
さらに僕は結晶屋さんではないので,Apoの構造を見てもなにも面白みを感じることができなかった.
もし,substrate peptideとのcomplex structureであればもっと燃えていたかもしれない.
アブストの書き方でもそうだけれども,
こういうのがわかっている
ここが面白いから調べた
結果はこうです.
で,そこで終わったらダメで,だからどうなの???っていう結果から何が得られたのかというセンテンスが1つ必要になる.
結果がどうだったかというのは簡単に描けるけれども,その結果をどのように意義づけるのか?
それが,さらなる今後の研究が必要である.
ではダメなのよ.
そんな全く意味のない駄文を書く暇があるなら...って事になる.
せっかく時間をかけて,お金もかけた結果の結論がそれ???ってならないようにしないと...
イライラも積もりながらだけれども,それは総括とは関係のないことなので省く.
ITCでの結合実験はyeast H2AZ, H3のアセチル化ペプチドとyeast H2A.Zのアセチル化ペプチドがすでに合成されており,ITCでKdが求められていた.
それだけが渡されたもの.
全く役に立たない紙切れ1枚と,精密化が終わっていないApoの構造,そして3つのアセチル化ペプチドを用いた結合実験.
精密化は絶対必要だけれども,したから何か新しいことがわかるというものではない.
物理化学的に正しいモデルを作るのに必要な過程.
これだけで論文を書いて欲しいと言われてもかなり不可能な粋なので,簡単なものをいくつか付け加えてもらえれば論文という形にすることができるということを確信できたのでお願いした.
そのためにまず僕がはじめに作ったものはsequence alignment
これを作ってこのbromodomainの面白さを引き出した.
もちろん背景となるbromodomainの構造の論文はある程度読んだ.
bromodomainの構造,biochemistryの問題は,acetylated peptideとの結合が非常に弱い.さらに基質特異性があまりないということ.
これはなぜか?ということに答えようとした.
本来弱い結合のはずなのに異常に結合解離定数が高いものは眉唾になる.
1つめ.higher pIのものでnucleic acidsのコンタミが考えられる.nucleic acidsがノンスペについているbromodomainとpositively chargeされたpeptideとの結合を見ているだけ?という可能性があるので必ずnegative control が必要になる.10倍差があるというのでは不十分.最低100倍はないと.
Kdが0.5 mM であっても差が出ていれば十分.一方で20 uMといいつつ,negative ctrが100 uMとかは正確に測れていない可能性が高い.
案の定Ni-NTAだけで精製したとか,脇が甘すぎる論文がいくつかある...
それはともかく,
実際自分が実験しなくても,自分がいつもやっているように書いていけばいいわけ.
こういう思考は,実験をする前にやっているので,そのあたりは構造解析はまだやっていない.もちろん精密化は3日ぐらいでサクッとやったけれども.(つまり3日でできることが3年間全くされていなかったということ)
必ず仮説があってから,構造を見る
構造を見て仮説というのではない(僕の場合だけれども
もちろん確信的な部分は構造を元にmutationをいれて確かめるけれども,そういう仕事は面白くない.
scienceというのは神様との対話.
自分の最高の知識を,試す機会.
うまくいくときもあるし,そうでない場合もある.
政治的なこととか,身分が不安定なことはあるけれども,これほどエキサイティングな仕事はないと思われる.
自分で調べるなら気軽なものだけれども,人にやってもらうわけで,極限に達してくる.
まるまる勘ではなくsequence alignmentを作ると,見えていなかったものが見えてくる.
結構にらめっこをした状態になる.
こういうことも,構造がなくても出来ること.
個人的にはこういう事前の調査は非常に大切だと思う.
これをすると,ここを見ればいい!!というのがわかっているので,簡単.
もし,そういう調査なしに構造を見ても,どこを見ればいいのかわからないし,どこが面白いところなのか?という本質を逃す.
co-factor がどういう風に結合しているのか?ということのような,構造解析をする前から分かりきっていることに注目してしまい,結晶構造がなければ成し遂げることができなかった問題,そしてそれに対する答えというのを導くことが出来なくなる.
所詮,最初から答えがわかっている問題に答えても面白くないってことだわ.
周りから見れば,ぼーっとしているようにみえるらしい.
考えている時なんて,周りから見たらぼーっとしているように見えて驚きではない.
あとうろうろしている時も考えている時か.
考えているふりをしても意味がない...
シークエンスアラインメントは機械的に色をつけることができたりするけれども,これは手動でやっている.手動でだと頭の中に叩き込めるので.見落としがないかなんども自分の目で見る必要があるので.
1週間ぐらいかけて.(そういうことの評価は色々あると思う
で,見つけたのがSerとTrp あとベータヘアピンのsalt bridgeを潰したのは論文で見たことがなかったのでそれに興味があった.
ということで,僕が選んだmutationはそれらと,dead mutantの合計4つ.
基本的には今あるデータをもとになので,,,あと実験できる時間もほとんどないということで...ただ,コントロールも何もない実験結果というのは許しがたいのでdead mutantを使うか,non-acetylated peptideを使うか
その結果は絶対なければならないはずが,それもなかった.
これがなければ問答無用でrejectだわな.見ているものが正しいという保証がないところにどうやって評価できるのでしょうか?
controlがないまま,pHがどうとか,塩濃度がどうとかやっても全てが無駄なことに気が付いてもらわなければ困る.
peptideを合成するとお金がかかると言い訳をされていたけれども,それは最初から必要な予算だと頭の中に入っていなければならない.もしくはdead mutationをいれたもので特異性を確認する.
偉そうにPh.D.と標榜しながらなんら基本ができていない.(ま,こういう人は結構いるので驚かない)
また,2つについては調べられていたけれども,2010年に出された論文ではH2AK15アセチル化も結合すると言われていたので,それもということに.H2AK15アセチル化はhumanのsequenceで,似たような代わりの配列はyeast H2A.Z. K14アセチル化だった.ということらしいのだけれどもそれでは書けない.
それを踏まえて.
が,彼の主張は,そんなことよりも,pHと塩濃度を変えてみて,Kdを出すということ.
全く意味がないのよ.多少はあると思うけれども,なぜ,それが重要だと思ったの?それが論文を書く上でどう重要なの???
彼に質問してそんなのは後回しの方がいいと説得したけれども,
なにせ1本も1st authorとしてresearch paperをPD 8年もやっていても書いたことがないお方で,2回目のskypeでうんざりしていた.
そういう条件検討ってテンプレート実験で,その結果をどう評価するのか?つまり,論文にどういうセンテンスを書くのか?という頭を使っていないやり方.
しかも完璧にするならまだしも,微妙な条件検討ほど無駄になる.pH 6.5, pH7.5とpH8.5で調べるとか...pH 10とかpH 4とか,0.5刻みですればわかることもちょろっとやるだけとかほとんど意味がない.
これは誤差の範囲なのか,トレンドとしてあるのか?ポイントが少なすぎるとなんとでもかけてしまうことが問題になる.
こういう実験はやれば数字が出てくるのだけれども,最初に仮説も何もないからどうしようもない.
キャラクタリゼーションだけれども,時間が限られている中,論文としてまとめるという制限の中ちんたらやっても無駄になる.
いい実験は,結果がどっちに転んでも使えるもの.
それは仮説があるから,結果がどっちでもいいわけ.
予想した通りだった!
というか,予想に反することが起こった!!
と書けること.
実際に予想に反することが起こったように見えたとしても,時間をかけて調べていけばそれは必然で起きることがわかってしまう.本当に予想に反することが起きるというのはレア中のレアになる.
簡単にinterestinglyとかsurprisingly とか書くのは自らの勉強不足である確率が高い.
あと,~は知られているけど,~は知られていない.だから~を調べたとかロジックになっていない.穴がなかったから掘りました理論.
さらに言わせてもらえば,イントロで結果,ディスカッションに出てこないことは書かないこと.イントロは伏線を張る場.知識を披露する場ではないので...知識といってもうっすい知識だろうけど...だから余計なことは書く必要もないし,書いたらダメ.
そういうこともあって,dead mutantは絶対に結合しないというのがわかるのだけれども,ユニークなアミノ酸にmutationをいれることによって,僕が疑問に抱いていたsubstrate affinityとspecificityに対して答えが出せるのではないかと思った.
お金と時間があればいろいろなpeptideを試してみたりすることができたかもしれないけれども,今回は3つのmutantだけ.1個1週間でできるから4つmutantを作って精製しても4週間.ITCは自動でやってくれるから今の条件のまますればいいので2週間あれば余裕でしょ?って時間配分.
まぁ,なんというか,グダグダのやりとり...
結局グダグダであっても,ツンデレキャラな人なのでやってくださった.
βヘアピンのソルトブリッジのほうはほとんど何も影響がなかった.
論文を色々調べたけれどもそういう実験はこれまでになされていなかった.
それはそれで重要な知見.
ネガティブデータであっても,コントロールが取られていればおっけー
あとの2つのmutationはsubstrate affinityを10倍向上させ,selectabilityはH3K14ac specificなものを作ることができた.僕の右目は視野が欠けてしまって見えない部分もある分(視力検査のあのでっかいEが見えない),他の人には見えないものが見えているらしい(これは前からだったけれども...)
ま,これぐらいあれば,biochemistなので書けるわけで,最初のApo structureとwild-typeのbinding assayだけでは不可能だった.さらにnegative controlもなかった状態.
タンパク質の構造だけ見てもわかる人なんてほとんどいない.
機能を解析するには検証可能な仮説,実験をして結果としてshowする必要がある.
Apo structureだけで,discussionに~かもしれない.さらなる研究が必要であるみたいな,無責任かつ一番面白いところが欠けている自由研究って面白いか???
構造と機能と結びつけると,見えなかったものが見えてきます.
が,そのことが引き金となり,論文に口を出されて本来ならば昨年の10月にほぼ完成していたものが...
I am not a robotなので個人的な感情はあるけれども,そういうのを除いて,ようやく投稿できる段階に至ることができて本当に良かったとおもう.
書くのはエネルギーが必要で,どれだけのエネルギーと時間を費やしてしまったか...ということを考えれば,どこでもいいので,公開されればと思う.
ただし,いろいろ不満はある原稿で,実験のデザインや結果は素晴らしい出来だけれども,ライティングがね...ちょっとどころかかなり甘さが残ってしまっている妥協の産物.
ただ,やっていること自体は面白いと思う.
レビューが返ってきて,リバイズが本領発揮の瞬間かつ,疲労がたまる瞬間だけれども,これはもう勘弁して欲しいという感じ.
ちなみに人間が頑張って色々やっても所詮活性を上げるというのはかなり難しいこと.失活させるのは簡単.こういうprotein engineeringでこつこつ成功を積み重ねていきたいというのはある.そして人工タンパク質を作っていきたい.あんまり人の役に立たないと思うけれども..
興味がある人はBioRxiveにあるので,僕のgoogle scholarからリンクされている.
3月8日現在はレビューに回っているところ.
この手の仕事はもう2度とやりたくないというもの.
しかもまだアクセプトになったわけでもないのだけれども,苦痛の日々だった(過去形).
-間違ってもらってはあれなんだけれども,どの仕事が論文として終わった時は,もう二度とやりたくないと言っているので.凄まじいエネルギーが使われているので.
経緯は2015年にapo structureの結晶のデータを取得
すぐにMRでフェーズを決め,おそらく2018年4月まで放置.
同年の2月にボスがお亡くなりになられ,ラボが1年後をめどに閉じるということになり,論文としてまとめたいということで,手伝ったもの.
正確には3回程度Skype meetingをしたけれども,ま,そういうのはここの総括にいれない.
最初に,論文を書くために,どのような思いで仕事をしたのか教えて欲しいということで,レポートをお願いしたけれども,なぜ,nuclear poreのラボの人がなぜbromodomainの構造解析をしようとしたのか?全く意図もわからなかった.
唯一調べて,1つ,論文があったけれどもdiscussionのレベルでこのレベルのもので,実際に実験を始めるの???というものがあったのは確か.ただ,それがきっかけだったかどうかは不明.
話によれば,このプロジェクトは現在企業にいるPDの人のプロジェクトを引き継いだらしく,意図などは全く不明だった.
論文を書くのを手伝ってあげて欲しいということで,2018年6月3週目ごろから書き始めた.
その当時渡されたのはあまりに役に立たないレポート1枚と,リファインメントが終わっていないdata set, ITCでの結合実験3つのみ.
基本的にはbromodomainの構造は2012年にSGCが網羅的に解析したものがCellに出ているので,構造自体は全く新しくない.データを取ったのが2015年なので,そういう時代背景も大切になる.
なぜあえて調べないといけないのか?それがはっきりしていない.
つまり,そこが明確だと余裕だったわけ.
ということで,原稿には色々書いてはあるけれども,computational modelingは非常に正確でswiss-modelでほぼ正しいものが出てくる.当然.4つのαヘリシースからなる8 kDaほどのものなので間違えるはずがないもの.
だから,結晶があってもなくてもなんら世界は変わらないということ.
さらに僕は結晶屋さんではないので,Apoの構造を見てもなにも面白みを感じることができなかった.
もし,substrate peptideとのcomplex structureであればもっと燃えていたかもしれない.
アブストの書き方でもそうだけれども,
こういうのがわかっている
ここが面白いから調べた
結果はこうです.
で,そこで終わったらダメで,だからどうなの???っていう結果から何が得られたのかというセンテンスが1つ必要になる.
結果がどうだったかというのは簡単に描けるけれども,その結果をどのように意義づけるのか?
それが,さらなる今後の研究が必要である.
ではダメなのよ.
そんな全く意味のない駄文を書く暇があるなら...って事になる.
せっかく時間をかけて,お金もかけた結果の結論がそれ???ってならないようにしないと...
イライラも積もりながらだけれども,それは総括とは関係のないことなので省く.
ITCでの結合実験はyeast H2AZ, H3のアセチル化ペプチドとyeast H2A.Zのアセチル化ペプチドがすでに合成されており,ITCでKdが求められていた.
それだけが渡されたもの.
全く役に立たない紙切れ1枚と,精密化が終わっていないApoの構造,そして3つのアセチル化ペプチドを用いた結合実験.
精密化は絶対必要だけれども,したから何か新しいことがわかるというものではない.
物理化学的に正しいモデルを作るのに必要な過程.
これだけで論文を書いて欲しいと言われてもかなり不可能な粋なので,簡単なものをいくつか付け加えてもらえれば論文という形にすることができるということを確信できたのでお願いした.
そのためにまず僕がはじめに作ったものはsequence alignment
これを作ってこのbromodomainの面白さを引き出した.
もちろん背景となるbromodomainの構造の論文はある程度読んだ.
bromodomainの構造,biochemistryの問題は,acetylated peptideとの結合が非常に弱い.さらに基質特異性があまりないということ.
これはなぜか?ということに答えようとした.
本来弱い結合のはずなのに異常に結合解離定数が高いものは眉唾になる.
1つめ.higher pIのものでnucleic acidsのコンタミが考えられる.nucleic acidsがノンスペについているbromodomainとpositively chargeされたpeptideとの結合を見ているだけ?という可能性があるので必ずnegative control が必要になる.10倍差があるというのでは不十分.最低100倍はないと.
Kdが0.5 mM であっても差が出ていれば十分.一方で20 uMといいつつ,negative ctrが100 uMとかは正確に測れていない可能性が高い.
案の定Ni-NTAだけで精製したとか,脇が甘すぎる論文がいくつかある...
それはともかく,
実際自分が実験しなくても,自分がいつもやっているように書いていけばいいわけ.
こういう思考は,実験をする前にやっているので,そのあたりは構造解析はまだやっていない.もちろん精密化は3日ぐらいでサクッとやったけれども.(つまり3日でできることが3年間全くされていなかったということ)
必ず仮説があってから,構造を見る
構造を見て仮説というのではない(僕の場合だけれども
もちろん確信的な部分は構造を元にmutationをいれて確かめるけれども,そういう仕事は面白くない.
scienceというのは神様との対話.
自分の最高の知識を,試す機会.
うまくいくときもあるし,そうでない場合もある.
政治的なこととか,身分が不安定なことはあるけれども,これほどエキサイティングな仕事はないと思われる.
自分で調べるなら気軽なものだけれども,人にやってもらうわけで,極限に達してくる.
まるまる勘ではなくsequence alignmentを作ると,見えていなかったものが見えてくる.
結構にらめっこをした状態になる.
こういうことも,構造がなくても出来ること.
個人的にはこういう事前の調査は非常に大切だと思う.
これをすると,ここを見ればいい!!というのがわかっているので,簡単.
もし,そういう調査なしに構造を見ても,どこを見ればいいのかわからないし,どこが面白いところなのか?という本質を逃す.
co-factor がどういう風に結合しているのか?ということのような,構造解析をする前から分かりきっていることに注目してしまい,結晶構造がなければ成し遂げることができなかった問題,そしてそれに対する答えというのを導くことが出来なくなる.
所詮,最初から答えがわかっている問題に答えても面白くないってことだわ.
周りから見れば,ぼーっとしているようにみえるらしい.
考えている時なんて,周りから見たらぼーっとしているように見えて驚きではない.
あとうろうろしている時も考えている時か.
考えているふりをしても意味がない...
シークエンスアラインメントは機械的に色をつけることができたりするけれども,これは手動でやっている.手動でだと頭の中に叩き込めるので.見落としがないかなんども自分の目で見る必要があるので.
1週間ぐらいかけて.(そういうことの評価は色々あると思う
で,見つけたのがSerとTrp あとベータヘアピンのsalt bridgeを潰したのは論文で見たことがなかったのでそれに興味があった.
ということで,僕が選んだmutationはそれらと,dead mutantの合計4つ.
基本的には今あるデータをもとになので,,,あと実験できる時間もほとんどないということで...ただ,コントロールも何もない実験結果というのは許しがたいのでdead mutantを使うか,non-acetylated peptideを使うか
その結果は絶対なければならないはずが,それもなかった.
これがなければ問答無用でrejectだわな.見ているものが正しいという保証がないところにどうやって評価できるのでしょうか?
controlがないまま,pHがどうとか,塩濃度がどうとかやっても全てが無駄なことに気が付いてもらわなければ困る.
peptideを合成するとお金がかかると言い訳をされていたけれども,それは最初から必要な予算だと頭の中に入っていなければならない.もしくはdead mutationをいれたもので特異性を確認する.
偉そうにPh.D.と標榜しながらなんら基本ができていない.(ま,こういう人は結構いるので驚かない)
また,2つについては調べられていたけれども,2010年に出された論文ではH2AK15アセチル化も結合すると言われていたので,それもということに.H2AK15アセチル化はhumanのsequenceで,似たような代わりの配列はyeast H2A.Z. K14アセチル化だった.ということらしいのだけれどもそれでは書けない.
それを踏まえて.
が,彼の主張は,そんなことよりも,pHと塩濃度を変えてみて,Kdを出すということ.
全く意味がないのよ.多少はあると思うけれども,なぜ,それが重要だと思ったの?それが論文を書く上でどう重要なの???
彼に質問してそんなのは後回しの方がいいと説得したけれども,
なにせ1本も1st authorとしてresearch paperをPD 8年もやっていても書いたことがないお方で,2回目のskypeでうんざりしていた.
そういう条件検討ってテンプレート実験で,その結果をどう評価するのか?つまり,論文にどういうセンテンスを書くのか?という頭を使っていないやり方.
しかも完璧にするならまだしも,微妙な条件検討ほど無駄になる.pH 6.5, pH7.5とpH8.5で調べるとか...pH 10とかpH 4とか,0.5刻みですればわかることもちょろっとやるだけとかほとんど意味がない.
これは誤差の範囲なのか,トレンドとしてあるのか?ポイントが少なすぎるとなんとでもかけてしまうことが問題になる.
こういう実験はやれば数字が出てくるのだけれども,最初に仮説も何もないからどうしようもない.
キャラクタリゼーションだけれども,時間が限られている中,論文としてまとめるという制限の中ちんたらやっても無駄になる.
いい実験は,結果がどっちに転んでも使えるもの.
それは仮説があるから,結果がどっちでもいいわけ.
予想した通りだった!
というか,予想に反することが起こった!!
と書けること.
実際に予想に反することが起こったように見えたとしても,時間をかけて調べていけばそれは必然で起きることがわかってしまう.本当に予想に反することが起きるというのはレア中のレアになる.
簡単にinterestinglyとかsurprisingly とか書くのは自らの勉強不足である確率が高い.
あと,~は知られているけど,~は知られていない.だから~を調べたとかロジックになっていない.穴がなかったから掘りました理論.
さらに言わせてもらえば,イントロで結果,ディスカッションに出てこないことは書かないこと.イントロは伏線を張る場.知識を披露する場ではないので...知識といってもうっすい知識だろうけど...だから余計なことは書く必要もないし,書いたらダメ.
そういうこともあって,dead mutantは絶対に結合しないというのがわかるのだけれども,ユニークなアミノ酸にmutationをいれることによって,僕が疑問に抱いていたsubstrate affinityとspecificityに対して答えが出せるのではないかと思った.
お金と時間があればいろいろなpeptideを試してみたりすることができたかもしれないけれども,今回は3つのmutantだけ.1個1週間でできるから4つmutantを作って精製しても4週間.ITCは自動でやってくれるから今の条件のまますればいいので2週間あれば余裕でしょ?って時間配分.
まぁ,なんというか,グダグダのやりとり...
結局グダグダであっても,ツンデレキャラな人なのでやってくださった.
βヘアピンのソルトブリッジのほうはほとんど何も影響がなかった.
論文を色々調べたけれどもそういう実験はこれまでになされていなかった.
それはそれで重要な知見.
ネガティブデータであっても,コントロールが取られていればおっけー
あとの2つのmutationはsubstrate affinityを10倍向上させ,selectabilityはH3K14ac specificなものを作ることができた.僕の右目は視野が欠けてしまって見えない部分もある分(視力検査のあのでっかいEが見えない),他の人には見えないものが見えているらしい(これは前からだったけれども...)
ま,これぐらいあれば,biochemistなので書けるわけで,最初のApo structureとwild-typeのbinding assayだけでは不可能だった.さらにnegative controlもなかった状態.
タンパク質の構造だけ見てもわかる人なんてほとんどいない.
機能を解析するには検証可能な仮説,実験をして結果としてshowする必要がある.
Apo structureだけで,discussionに~かもしれない.さらなる研究が必要であるみたいな,無責任かつ一番面白いところが欠けている自由研究って面白いか???
構造と機能と結びつけると,見えなかったものが見えてきます.
が,そのことが引き金となり,論文に口を出されて本来ならば昨年の10月にほぼ完成していたものが...
I am not a robotなので個人的な感情はあるけれども,そういうのを除いて,ようやく投稿できる段階に至ることができて本当に良かったとおもう.
書くのはエネルギーが必要で,どれだけのエネルギーと時間を費やしてしまったか...ということを考えれば,どこでもいいので,公開されればと思う.
ただし,いろいろ不満はある原稿で,実験のデザインや結果は素晴らしい出来だけれども,ライティングがね...ちょっとどころかかなり甘さが残ってしまっている妥協の産物.
ただ,やっていること自体は面白いと思う.
レビューが返ってきて,リバイズが本領発揮の瞬間かつ,疲労がたまる瞬間だけれども,これはもう勘弁して欲しいという感じ.
ちなみに人間が頑張って色々やっても所詮活性を上げるというのはかなり難しいこと.失活させるのは簡単.こういうprotein engineeringでこつこつ成功を積み重ねていきたいというのはある.そして人工タンパク質を作っていきたい.あんまり人の役に立たないと思うけれども..
興味がある人はBioRxiveにあるので,僕のgoogle scholarからリンクされている.
3月8日現在はレビューに回っているところ.
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