地平線の彼方で

Biochemist & Structural Biologist
治療中
興味のあること: Proteinase, protein engineering
ちなみに地表からみえる地平線は所詮4000mほど先で,滑走路並みに近かったりする...(C) 2007-2019

ほぼ完成

manuscript 2018-1がほぼ完成.ってかもうすぐ2018年の半分が過ぎ去ろうとしている.


いろいろ有意義なDiscussionをしながら素晴らしい原稿を書くことができた.
まだ細かいところ,かつマイナーな部分が少し残っているとはいえ,お互い非常に満足のいく出来になっている.9割ぐらい完成かな?weak pointsも最初から理解しているので,特に言葉の選択に時間がかかったということはなかった.問題箇所はまず最初に片付けたので.


このマニュスクリプトでは僕はほぼ何も実験をやっていないゴーストライターだけれどもなぜか1st authorになっていたりするので少し困るのだけれども...(そういうことだからよろしくという風に話が進んでしまった.ちょっと困るとは伝えたのだけれども誰も書けないのでということなので引き受けた...


この原稿のポイントは,結晶構造でなければわからなかった点に注目している.当然と思うでしょ?でも他の人には意外と難しいという感じなのね...って感じで驚きもあった.
一旦形として出てくると,はっと気がつく部分があって,それが普通になる.
普段論文を読んでいるだけではダメで,書くことでトレーニングしないと.


英語が話せるようになる過程と同じ.
聞いてばっかりではダメで,独り言であっても話さないと.




つまり,前のbiochemistryの論文ですでにわかっていることを重点的に初耳かのように記述してしまうと,前の論文の確認だけで終わってしまうってすごくもったいない.片面しか見ていないので,両面見ることが大切になってくる.つまり,意図的になにか新しいことがないか?と積極的に探さないとってことになる.できるかできないかはIQの差ではないと思う.




かなりをAs expectedなセンテンスで満たした(そうした方がいいと思ったので).全て見ているものが,これまでの報告と合致していることを抑えた上で,なぜそういう風になるのか?原理を語ればいい訳になるし,その原理をサポートする論文,データがあれば十分になる.

たくさんのデータがたくさんあっても,メインポイントが主張できていないと論文として美しくまとめられない.あれもこれも...ってなると主張がぼやけるので,美的センスの問題になってくる.


自分で実験をやっていたら一つ一つの思い入れというか,苦労があるわけで,それをshowしたい気持ちはわからないではないけれども...本当に重要なデータというのは最初にピクチャーが見えていないと出せないしね...って感じ.なのでバッサリいっている.


気持ちはわからないことはないけれども,マニュスクリプトに書けない,書いても本質的に重要でない部分に力を入れるのはね...なので,基本は本質的なことを調べるということが効率よく仕事をする上で重要になってくる.


最終的には初稿からいろいろ加えたので,結局はTextが4000 wordsに.
ちょっと長い気がするけれども,


予定よりも少し遅れているけれども書き始めて2ヶ月ぐらいの順調なスピードでサブミットできそう.



Interestinglyとかstrikingとかhowever

の多用ははっきり言って幼稚な感じがする.
どんなけ驚きがあるんだ?ってことになる.
さらに,なぜinterestinglyと思ったのか,その部分が抜けていたらね...

本来なら前もってわかっていることを,結果を見て初めて驚くというのはな...そして結果を見てからも驚いている様ではな...これはこういうことだからこういう結果になると,納得していないの???

それにファンタジーじゃないんだし,”驚いたことに”とか書いている場合ではない.
論理を無視する単語なので,そんなのは使わない方がいい.
書くなら1回だけ.

あれも驚いた,これも驚いた!そんな論文はありえない.

そんなの常識でしょ?ってノリで書かないと...




ちなみに,USに住んでもう10年近くたつので当然のことですが,論文を書くときは日本語で考えることはないです.すべて英語で考えて,普通に英語で書き始める.家でも英語だし...あんまり日本語は使わないし...




英語らしい表現というのは,日本語を訳したところで出てこないかつ,日本語の表現法にひきづられるので日本語で書いてから英語の論文にするというのはね...って感じ.

もっといえば,若い人たちが論文を書く練習にシニアな人がどれだけ付き合うことができるかで変わってくるわけで,最初から美的センス抜群の原稿を書けるわけがないんだし,,,こういうのって日々の会話,コミュニケーションの中から生まれてくるわけで,いきなり卒論,修論,もしくは博士論文で書こうとしてもかなり無理だと思うし,やっぱり定期的に書かないとね...って感じ.やっぱり1年に2本はね...最低でも1本は書かないと鍛えられないと思うし,4年に1本じゃまったくダメだと思う.勘が鈍る...

ドメイン

というのは,プロテアーゼからプロテクトされる領域のことで,domainという言葉は古典的にはそういう風に使われる.

なのでドメイン構造を決める,Expression constructを作るにはproteaseでpartial digestionするところから始まる.Blast searchなどで出ているのはmotifであって,domainではない.


今ではそういうことをする人たちはあまりいないけれども(配列を見て決めることが多い),実際に結晶化させるにはこのlimited proteolysisが非常に重要になってくる.


もっといえば,精製の時にみえてくるnatural degradeもかなり重要になってくる.
proteaseで分解を防ぐのも, co-factorを入れてproteaseからの分解を防ぐのもアイデアだけれども,分解されて,残ってきたものもすごく大切になってくる.こういうものは結晶化しやすい.
なので,分解されても落ち込む必要はない.Full lengthこそ命だ!!という人であれば別だけれども...むしろラッキーと思う.


全ては書き方なので,いろいろな書き方の経験があれば(自分で書いた経験がなくとも論文を読めばいろいろ出てくる),書けるわけで物事の捉え方次第になる.






例えば,Limited proteolysis identified a stable domainという風に書ける.

論文を通す上でのテクニカルな部分になるのだけれども,このセンテンスはレビューを通過させるうえで,論文全体を見た中で結構重要なセンテンスになってくる.これがあるのとないのとでは論文を通す上での難易度が変わってくる.レビューを見越して書くのはテクニックが必要になる.
あまり重要でないセンテンスを頑張って書いても,ここぞ!というセンテンスがなかったりすると,そこを突かれて一瞬で終わりということになりかねない.時々High profiled journalに出してライティングの技術を磨いておく必要はある.(英文校正とは別の次元...構成の問題)


基本的にはこの5年ぐらいで出した論文たち(年平均3本だとして15本ぐらい?)のリバイズは,追加実験なしでほぼライティングのみでやっているので,かなりの域に行ってしまっているので,レビューアーからのreject率0%を断固維持していく.

editorが気にいるか気に入らないかは時代の流れもあるのでどうしようもないことだけれども..







2000年以降は古びた技術扱いになっているのだろう...
ただ,ドメイン構造を決定するには"The"正統なやり方になる.


やり方は簡単で,5 μg程度のCBBでよく見える程度のタンパク質を1:100, 1:1000, 1:10K, 1: 100K, no proteaseの割合(w/w)でTrypsin, chymotrypsin, elastase, V8で30分室温で反応させ,SDS-PAGE, CBB染色で安定なバンドを探し,Mass specでサイズを決定する(1回の実験で100 μgほど必要になる).Mass specの精度にもよるけれども,Arg, Glu, Lysなどが続くようなところは切れやすいので,アミノ酸配列をじっくり眺めれば見えてくる.
プロテエースの精製方法によっても異なるけれども必ずしも切断サイトにおいて切れているとは限らない.

ちなみに,濃度一定で,時間を振るのはあまり賢い選択とは思えない.
ちょっとした実験のはずなのに,3時間も,もしくはそれ以上かけるのはナンセンス.
反応30分,電気泳動30分,染色・脱色で30分で結果が出るものを...限られた時間で効率よく成果を出していくには.


染色・脱色は電子レンジを使えば30分で終わる.
3回生実験でやったような染色1時間,脱色数時間というのは効率が悪い.
このプロトコルではメタノールフリーで市販のものを買わなくてもOK
http://blog.livedoor.jp/hassie500/archives/2034599.html

Mass specのためのものはキムワイプはいれないで,そのままo/nで脱色


ちなみにSDSを入れるとタンパク質がリニアになってよりプロテエースの分解が早まるので,反応を止めるには液体窒素に突っ込むか,Sample bufferを入れてすぐにボイルして酵素を失活させる必要がある.Sample bufferを入れてちんたら室温にほっておくと,全部分解して消え去る.


手間的には濃度を振って,30分後にサンプリングを1回で済ます方が賢い.
美的センスと知性の問題.

別に30分でも35分でも適当で構わないもの.
目的は特定のプロテエースからプロテクトされるフラグメントを見つけること.




脆弱X症候群の原因遺伝子産物であるFMRPのN末端側ドメイン構造の解析はおそらく15年以上前から構造解析が取り組まれた形跡があるけれども,結局2015年の我々のHMGの論文によって結論が出た.僕らは数ヶ月ぐらいで結果を出した.2013年の5月から初めて,10月にDiffのデータが取れたので.Phaseが決まったのは2014年の6月末だけど...


技術としては古典的なやり方ではあるものの,正統なドメインの構造の決定方法で,実際にはTandem Tudorとnon-canonical KHが切っても切れない状況で1つのドメインを形成していることがわかり,患者さんの変異があらたに見つけたnon-canonicalなKH motif内にあることもわかった.

配列を見ればTandem Tudorがあることは明らかであっても,結局はTandem Tudor- KHが一つの塊,つまりドメインとしてそれぞれのモチーフ間の相互作用によって安定に存在している.



この仕事はたったそれだけのことなのだけれども,正統な方法にしたがって解析していけば,これまでできていなかったことも出来る.なぜこのような基本的な方法がこれまでに取られてこなかったのか不思議に思う.コンペティテターのトリッキーな論文にはなにかいろいろ我々の論文について書かれているけれども,このやり方こそが古典的なものではあり,正統な方法になる.



それをもっと発展させたのが2006年のAipingのNature Protocolの論文で,結晶化の時に1:100でTrypsin or chymotrypsin をそのまま入れるやり方になる.
ハンプトンからもキットになっている.ただのトリプシンとカイモトリプシンのセットだけど...

僕らも2010 JMBの論文で使ってうまくいっている.


フォールディングしている部分はプロテエースの攻撃を受けないのだけれども,印象としてはそんなことは考えられないという人の方が多いけれども,structural genomicsで20%ほどで成功しているというのは非常に高確率で,無視する必要はないように思える.


Structure Genomicsの一番の貢献は,この確率の数字が出ること.
BromodomainのCellの論文でも,
いくつコンストラクトを作って,いくつ発現して,いくつ結晶ができたか?
これが同じグループでやったときの統計値として出ているのが非常に参考になる.





もちろん同じものをすることはなくても,参考値というのがあれば,プロジェクトを進める上で非常に重要になる.

こういうことを書くとダメなんだろうけれども,僕は2012年ごろから5年ほどC2H2のZinc Finger proteinをやってきて,メチル化シトシンの認識という観点で論文も6本,同僚も僕の手法を使って何本か書いていたので,そこそこの貢献がある.C2H2 ZFモチーフの構造はほぼ同じであるけれども,それらの複数のZFモチーフは異なる配列のDNAに結合するのでそこがなければ,基本的には価値がほぼないように思われる.APOでランダムなZFの構造をNMRで決定するのもいいけれども,価値はね...このことは2000年にはすでにわかっていたこと.1992年,1993年にはDNA-complexの構造が出ていたし,1998年にも再度.DNAの塩基配列を認識するアミノ酸の位置もばっちりわかっていたわけで,いろいろな APOのZFの構造を解明するっていうのはかなりインパクトの薄いプロジェクトだった.ぶっちゃけ理研がハズレを引いたと言っても過言ではないと思う.



これはcomplexでないと意味がないものでAPOの構造はほとんど役に立たない.
かつ,Znをもっているので,Znは1.27040Åでデータを取ればanomalousが簡単に観察できるので,フェーズの問題ももとから存在しないので,biochemistryがあるていどないとね...


構造を見れば機能がわかることがあるし,それはstructural genomicsのおかげではあるけれども,そこに結合するも,阻害するものを予測することはまだまだできない.
酵素の構造がわかったとしても,なにを基質にしているのかわからなければ,活性も調べられない.これは当分変わらないだろう.

だからBiochemistryがわかっているものしか結局は出来ないということになる.




TorontoのSGCは非常に優秀で,構造を解明するだけでなく,機能も解明しているし,ケミカルプローブの開発も.彼らのサイエンスは素晴らしい.




あとNMRの構造の情報というのは厄介で,NMRのモデルを結晶構造解析に用いる時のモデルとして利用してもかなり使えない...NMRの構造は1つのPDBにつき,20個のモデルがデポされているけれども,フレキシブルな部分を削って,Molecular replacementのsearching modelsとしても,もっともらしい答えがね...

このことに関する論文も読んだことがある...




FMRP N末端ドメインの構造を決める時も最初はFMRPのtandem tudorのNMRがあったので,それを用いたけれども全くダメだった.結局はホモログのFXR1のtandem tudorの結晶の構造を使ってMRでPartial modelを作ってPbのフェーズで決めた.Pb(レッド)はHeavy Atomとしては非常に貧弱なanomalousしか出ないので,結局は7Åほどまでしかanomalousは観察できなかったけれども(もともとの結晶は3Åまでしかdiffしなかった),MRのpartial modelとでフェーズを決定することができた.ちなみに,Phyre2では未知の配列だけ入れてsearchすればKHが出ていた.コンストラクト全体ではTudorしか出てこなかったけれども...


ちなみにそのNMRの構造で書かれていることはどこまで本当かわからない.というのはドメインではなく人工的に削っているので,実はアーチファクトなんじゃない?って言われればそれに反論できるかどうかは疑問になる.だからこそ,最初に書いたLimited proteolysis identified a stable domain.というセンテンスが効いてくる.




もっと0.1%以下の成功率のあることの方が重きが置かれているやり方もある中で...
便利なのは,いちいちコンストラクトを作り直さないでいいところ.

ちなみに,proteolysisで作った結晶は,そのものを発現させても結晶が出来ない場合があるので注意する必要がある.


もっとも,ドメインの構造解析はサイエンスではないと言い放つ人もいるわけで(自分もドメインの構造やっているのにね...),そういう人とはもうdifferent scienceとしか言いようがない.
彼にとってはマウンティングのための発言なのよ...




Aipingの続きの論文もSGCから出ているので,
もっともpeptideとの共結晶には使いにくくても,一旦diffする結晶ができることがわかればそれなりに情報が得られるわけで,1回で出来なくても,って思うのだけどね...急がば回れ.



タンパク質はDNAと違って,適当やったら活性のあるものが作れないので,しっかり考えることが必要になる.いちばんは,プロから習うことになる.


いろいろ

なサイエンスの世界での不正があったりして,




こういうのって,サイエンスの世界の身から出たサビなわけではないだろうか?



ポストが権力扱いになり,出世のためのサイエンスになっているわけだからな.

インパクトファクターはまだしも,レビューしました的なものもポイント制で...というのも頭がおかしい.

お金が絡んでくると人を狂わすのだろう.



結論が変わらなければ何をやってもいいというのは結局小保方氏と同じなわけで,オネストに欠ける姿勢は何を言っているのかわからない...




日本ではそんなバカな...ってことでも騙されたり,騙したりする人たちが多数いる様なのはね...騙される方が悪いという人までいるわけで...
そういう考え方って,騙した者勝ちであって,断固許されない.

その背景は権力主義とか権威主義とかで溢れすぎなんではないだろうか?

日本に一度帰ったのがもう4年前だけれども,そこは消費者金融の広告で溢れかえっていた...



1人ではない東大の教授が次々と捏造したり,ってそういう下地を作り続けていたわけではないだろうか?結局その被害にあうのが情報が行き渡らない弱者ではないのだろうか?


代わりのいる仕事

ま,ぶっちゃけ,代わりのいない仕事をしたいと思っていた時期もあったけれども,


実際,代わりのいる仕事の方が,実は楽チンのような気がする.
僕の世代は常に,お前の代わりはいくらでもいる!みたいなことを言われ続けていた部分もあったので,そういう意味で意地を張っていた部分もあった


が,ま,結局は代わりのいる方が実は楽のような気がする.
なので,代わりになってもらえるような人がいるといないとではやっぱりね.夏休みもゆっくり休みたいし.夏休みとったら仕事が溜まっていたままだけとかってね...


自分がいなければ毎日患者さんが亡くなっているんだぞ!と言われ続けたことはないけれども,そういうのはね...実際かいかぶり過ぎだわな...
そういわれつづけていた人もいたけれども,そういうことではなく...


いろんな仕事をしてきたし,このタンパク質の構造といえば,という仕事も数少ないながらいくつかやってきたけれども,ま,実際コンペティションなわけで,僕だけにしか出来ないというものではないわけで,投稿中の原稿がコンペティターに渡ったり...ということもあるわけで,なんとも言えないけれども...




天才的なぶっ飛んだ発想のものは,確かに誰も代わりはいないな...と思ってしまったりするけれども.


今の仕事も,これまで他の構造のグループが発現させることができなかったものを発現させているので,それなりに.ということになっている.ちょっといろいろ手を広げすぎたのもある一方,書き物てあまり仕事が進んでいない.

僕の仕事は,あれ?国士無双?みたいな感じで1ヶ月で全てが解決することが確率的にかなりあるので,今も時間をコントロールできている.



自分が経験してきたことを論文として書くことで,残していくことで,オープンになればいいと思っている.



なかにはクローズドで研究成果を占有したい人たちもいるのはもう20年ぐらい前から知っている.

コツがあるとか言ったり,リエジェントをオープンにしたくない人たちに,お金,時間の無駄が出ても頼る必要性もないし,そういう人はそういう人だと割り切って.



製薬でもかなりオープンになっているのはすごくいいこと.



構造解析のやり方も教えたがらない人とかいたりするけれどもね...って感じ.
教育,トレーニングにはならないしね...


サイエンスの発展のためには誰にでもできるレベルで教えるというのは大切だと思うわけだわ.既得権益のようにするのはね...と思ってしまう.

なんかそんなところで自分の利益を確保しようとするって,日本の銀行,証券会社がやっている手数料ビジネスなわけで,そんなんじゃ発展しないよね.プロなら本業で稼がないとな.って感じがする.






一方で,僕が根に持っている人たちもいる.
2009 Natureは舐められたものだった.
これはBiochemist達への挑戦状だった.具体的に言えば,本格的にやっていたのは京都のグループとエモリーのグループで,SGCトロントやほかのグループがやっているのも知っていたけど..

捏造してもおそらく君たちにはMBD4の酵素の反応機構なんてわからないだろう?みたいな論文だった.経緯は省くけれども,

実際に当時APOのものが決まっていて,substrate complexの構造がわかっていなかった.もっと早くわかっていたら違っただろうけれども,彼らはそれだけに飽き足らず,PHF2までリン酸が!と言い出し,特許も申請していたわけだったし...結局はPHF2は酵素活性が見出せず,僕らの方が早く出したので彼らはPHF2には活性が見出せないと書かざるをえなかったけれども,どこまで???って感じ...1つどころじゃないし...




おそらく僕の論文が出なければnatureのeditor達もリトラクトに向かわずにメガコリゲで終わらせようとしていた.


別に彼らのイカサマ論文を正すために仕事をしているのではない.原理を知るという好奇心で,彼らのような政治目的にサイエンスをやっていない.


彼らは結局この部分には全く触れずじまいで論文をリトラクトした.

原理からして不可能なことを論文として出していた.



チャンスは与えられるべきだけれども,彼らが復帰することは反対.
まずチャンスが与えられるのはスタッフ達ではなく,そこで間違ったことを学ばされた学生ではないだろうか?若い人の研究者生命を断ち切った本人がのうのうとやっているのは許せない.

短く書く

というのは適当に書けるものではなくって,あれもこれも...って感じで書く必要のないことを書かないことが大切になる.イントロで書いたことが結果もしくはディスカッションで触れられないのであれば基本書く必要がない.

量で仕事を測るなんてとんでもないって感じだけれども...





2000年ごろまでは,いろいろな動物種でクローニングされたとか,タンパク質がある.

というのを書くのが流行っていたけれども,それって,だから何?ってことに答えていないよね...マウスでクローニングされた遺伝子がニワトリでもありましたとかいう学問的価値がわかりにくいものもいっぱいあった...





様々な動物種でクローニングされている

今回例えばマウスで調べた

重要なアミノ酸は全て保存されている.


という流れなら書き出す意味があるけれども,
そういうディスカッションもなく,こんなんあります.こんな論文もありますって,意味がなくない?



なにかよくわからないけれども,こんなんあります.あんなろんぶんがあります.って”だけ”で終わるのって文字数の無駄遣いだと思うわ.

まとめ記事じゃないんだし...

review articleも別にまとめ記事とは違うわけで...


書くなら,なぜ書く必要があったのか?わかるように書かないとな.




博学ではないわけで,そういうのはそういうものを見ればわかるわけで.

なにか目的があったわけだから,そこを明確に記載しないとね...




短い完璧な論文を書くのは結構大変であるわけで...なんかねぇ...って感じ...

Glnの側鎖

に悩まされている.

GlnのsidechainのNεがmainchainのOとH-bondを形成しているのだけれども,酵素活性にはNεがNHとして基質のプロトネーションに必要なのだけれども,反応時にGlnのsidechainがフリップして...というのが酵素反応の理想的なジオメトリー


なんだけれども,本当にsidechainがフリップアウトするの???って感じで困っている.基質との複合体解析ではないので,そうなんかなぁ?って感じもあるし,ジオメトリーも変ではないので,


おそらく反応にはフリップすることが必要だけれども,このsidechainのOは非常に近い(もともとH-bondなので)のでね...この水素結合をぶち切ってフリップして...OがOの近くに来る?ってどう論文で酵素反応を説明するの???って困っていたりする.O•••HO-じゃないからね...やっぱり基質との複合体が必要だわ.



なにかコントロールの酵素があればいいのだけれどもね...って感じ
前例があれば簡単になるので,それを探してみる..

解決策はいくつかあって,Gln-to-Hisでおそらく活性が上がるのではないだろうか?というのがあるので,それがうまくいけば少し飛ばせることになるけど,さてどうなるか...

こっちの論文はまだ書く段階ではないけど,ここは困るのは目に見えているので,なんとか解決策を編み出しておきたい.




ーー



前回のマニュスクリプトの評判が良かったので,また頼まれた.


のはいいのだけれども,マニュスクリプトにして論文にするという部分は一番大切な部分なのに,そのポスドクさんは論文を書けないの???ってちょっと驚き.僕が2nd authorということで...実験も計画も何もしていないのに論文を書くってね...
仕事として書くけれども,


テキストは自然の美というよりも,デザインされた美しさを求めるので,計画から絡んでいないとね...京都出身なので.





解析は超重要だし,ぼんやりではなくても,見ているだけでは何も見えてこない.

やっぱり解析にまでにたどり着くまでが大変なのかもしれないけどな...
タンパク質を発現させて,結晶を作って,データを取って,フェーズを決めて,ジオメトリーを全部正しく直して,,,
そこに到るまでに,なんども振り出しに戻るがあったりして...
となると,そこまでで精一杯になるのはわからないでもない...


もっとも大変なのはレビューを通すようにマニュスクリプトを整えるところよ...ってところ




それを文字にして残すことは,トレーニングが必要だしかなり大切なのでもちろん協力することはできるけれども,また驚きの!ってことにならないことを祈る.ってかデータはなにもまだ見ていないので,ウルトラC的な言葉を使わないでいいことを...(書けないってことは,なんやかんやいいつつ使わないとダメなんだろう...).

普通に書いていけば,それなりに書けるのじゃないの???って感じなんだけれども違うのかなぁ?
聞いたら,プロジェクトを引き継いで構造を決定したらしいのに???という感じで不思議感がある.

ただ,その方のボスは今年の2月にお亡くなりになってしまい,就活をしなければならない,論文を出さないといけないというそういう状況はすごく理解できる.





エモリーで僕が一緒にやっていたPDの子は,これまでずっと植物をやってきたわけで全く書けなかったわけだけれども,それは納得できるのだけれども,


僕は別に構わないけれども,こういうのは普段のディスカッションがあって,,,ということなんじゃないのかなぁ?僕は彼女との仕事は計画は立てたけれども,実験をしてもらう前に全部説明していたし...彼女は実験をするのが好きだったので,そういうのもわかっていたから違ったかもしれないけれども.



もっと論文を書く技術的なテクニカルタームをどういう風に入れるのか?そういうのって,実験をする前にも時間がかかるし,結果を文字にトランスレートするのも時間がかかるわけで...

さぁ,どうなるか...

3000 words

ぐらいの短い論文の原稿の初稿がとりあえず出来上がった.


前にも書いたように,思われていたものよりも非常にいい感じのものができた.

実際は2つパラグラフを入れたのだけど,
1つパラグラフを入れることで締まりが非常に良くなっている.僕は実験をしていないので,現在あるデータだけで(と僕のデータに基づいた豊かなイマジネーションで)書いたのだけれども.
こういうのって重要なところだと思う.

そして,理解するということは,ただ単に起こったことだけを説明するのはナンセンス.次に起こることを予想して,その現場を押さえる.かなりの仕事が起こったことの説明に終始していて,次に何が起こるか予想はあっても,その場での現行でキャッチしているという仕事は非常にレア.

赤毛連盟でホームズたちがジョンクレイがシティ&サバーバン銀行コバーグ支店の地下金庫に忍び込んで来るのを予測して,そこで待ち伏せをして現行犯の未遂で捕まえたように.





目の前に全てデータが揃っていても,見えてくるものは人それぞれ違うので.
だから,言葉にしてロジックで繋げていくことは非常に重要になってくる.

僕が学生の頃は,同じデータでも外国のグループはいい雑誌に出ていたり,日本のグループは日本の雑誌にでていたりしていても,いいデータを出せば!!という思いがあった.隣のラボの主的な人がよく愚痴っていた...見た目は怖そうだけど,中身はいい人だった.テニスばっかりして...みたいなことを言われていたらしい.今はもうそのテニスコートはなくなっている.


でも,実際は書くことが,データの見せ方が全てだと思うので,昔思っていたようなことは,今では思わなくなっている.


むしろ,構造解析のコンペティションで1番乗りが出来なくても悲観することはなく,興味深い論文を書くことが出来る.PDBの新着とか,depositedされたとか,暇があったらチェックして,そういうのに一喜一憂する必要は全くないと思う.今はdepositされてからタイトル,著者,コーディネート,配列あらゆる情報がopen accessになるまで(論文として公表されるまで)サプレスできるので,そんな行動自体が無意味.

それ以前にも,Very important protein Xみたいなあやふやなタイトルをつけて,正式に公表される直前にタイトルを付け替えている人もいたわけで,,,(サプレス出来る機能で,そういう無駄な駆け引きが少なくなることはいいこと)



Set7/9の構造だけでもCellに論文が出たからもうだめだ...ということにはなっていないでしょ?
Natureにだって出ているし,その後もNatureから論文が出ている.

書き方が全てで,構造がただあればなんとかなる的な考え方は僕にはないし,1つの論文で全てを語り尽くせることはできないので,コンペティションで負けたとしても,それと論文を書くというのは全く別物というのが信念としてある.

赤毛連盟でも,ホームズとワトスンは同じものを見てきたけれども,ホームズがモリアーティー教授の企みに気が付いているそのロジックをホームズが最後にワトスンに説明している.
そここそが論文に必要なものだと思っている.

見えているだけではだめだってこと.
データを見せて,読み手にストーリーを作らさせるのも.
メインはロジック.



このマニュスクリプトを書く前に,自分が実験する前にしているようにして書き始めた.
何がわからなくて,何がわかっているのか?
いくつか書き上げた中で,データの中から答えられるものを絞っていった.
本当は逆の方が効率的だわさ.

ちぐはぐ感をぬぐいきれないのはそのせいがある.






helicesの構造をみるだけでも表と裏の両方を見ることが大切なこととのように,表に見えてくるのはAdoMetの結合であっても,その裏はdimerizationに関わっている.進化の過程で保存された1つの310 helixの有無こそが全体のヘリシーズの構造をツイストさせる.AdoMetは結合できなくなる.それと同時にdimerizationをすることができる新しい機能を得ている.

他の種で出来るhomo dimerが出来ないのはおそらく特定の1つの変異のためで,そのためにクラッシュするのでホモダイマーを作れないけれども,ヘテロだとばっちり結合することができる.モノマーは非常に不安定なのでダイマーにならないと溶けてしまうので,進化の過程でそれに対応するものが生まれてきた.


ここがこの論文の肝で,
なるほどね!!
だから活性がない酵素が活性のある酵素の安定のために必要なのね.ということを説明できる.



って想像力豊かなデータに基づいた説明がないとね...
警察の調書みたいな論文も必要だけどね...
これはSAXSやnegative stainingではわからないけれどもX線結晶構造解析でないとわからないもの.
でなければ,出す意味がね...

AdoMetが結合するかどうかは,アミノ酸配列を見ればわかるし,in vitroでAdoMet crosslinkの実験でわかるし,ITCでも何個つくかわかる.そういうものは,正しいものを見ています.という保証していることを言っているだけに過ぎない.

そのうえで,何が言えますか?ということがないとね...


結晶構造解析は,ここに炭素原子がある.ここに酸素原子がある,ここに窒素原子があるという情報のの集合なので,それの意味を化学の言葉を使って現象を説明することは人間の仕事.


B-factorがなんぼあるにしても,答えは目の前に出かかっているだけなので,その答えを引き出すのは人間の仕事.




ここにアミノ酸配列に違いがあるけれども,それがどういう意味を持っているのか?それを説明した論文の原稿になる.そのストーリー,つまり結果から得られた新たな仮定の信憑性を証明するためにはちょっとした追加の実験が必要になる.See, I told you! ってところまでできれば一つのストーリーが完成になる.


依頼主も僕のストーリーをたいそう気に入ってくれたのでお互い良かったと思う.


あと,cashew like shape structure
というのも入れた.
英語っぽい感が出る.





最後のはともかく,こういうのは日頃のトレーニングの違いだと思う.
遊んでいるように見えても,考えているのよ.ということを証明するいい機会なので...
ぼーっとしていたらね...外からはわからないから時々証明しないとね.

シャーロックだって,椅子に座って両手の指先をつきあわせて考え事をするわけだし,ワトスンからみれば,眠りこけているように見えてしまうのも無理はない.



若干時間切れのところもあったので,ところどころ直していかないといけないところがあるのだけれども,とりあえず,初稿が出来たのは嬉しいこと.

とりあえず今あるもので十分なのでということで...




この原稿はjmbに投稿しようと思っているものだけど,もう一度論文を書くときの楽しさを思い出すことができたのは良かった.もう二度と論文を書くことはないかもしれないと思っていた時もあったので.
死をさまようような時もあったので.



そういえば,昔,論文のデータを見せて,「それだけ?」って言われたことがある...

僕はサラブレッドではないので,辛い思いもいっぱいしてきたけど,実力もあってサイエンスには楽しい思い出がいっぱいある.そんなに辛い思いをしてまでするものではないと思うし,そんな人と一緒に仕事をしても楽しくなかった.今は打ち込めるものがあるので,仕事が楽しい.



やっぱり心に余裕があったり,楽しんで仕事をしたほうが結果も自然とついてくるわけだし.
誰と一緒に仕事をするのか?というのは重要だと思う.



基本的な部分が共有されているというのは非常に大切.
次の手を予想したときに,驚きがないということはストレスが少なくなる.
全て予想されていたことを着実に実行する上で,理解できないことを言い出されたりしたらやっぱり困るし時間が無駄になる.専門家であれば当然のことになる.起承転結の,転があってはいけないものなので,





と,とりあえず初稿は出来たというものの,一つすでに書いてしまったセンテンスがあるので,その"may"を取り除くためだけの実験をして結果を出しておきたいと思ったわけで,プライマーも注文した.簡単なpoint mutationで僕の見方が正しければうまく行くはずなので,結果が出るまでの2週間ぐらいはドキドキ感を楽しめる.結果的にうまくいかなくてもそれは残しておくし,結果通りならばmayを取り除くだけなので.

natureに投稿するように意識し出してからはかなり単語に注意をして書いている.短く書くことと,正確に書くことは共存しなければならないので,短ければいいってわけではないし,長ければいいってわけでもない.一つの単語の使い方自体で,重みが変わってくるので,それを使うにはこの実験が必要と考えながらやっている.やっぱり後先考えて仕事をしたほうがね...って感じで.

そのせいで影で,あの人は喋ってばっかりとか,実験をしているところを見たことがないとか...
効率の問題なわけで,1ヶ月かかることは1ヶ月かかるし,3日でできるものは3日でしか出来ない.
3日かかることを2日でしようとするから無理が出るのじゃないのかなぁ?と思うのだけど...

それに1日の長さは人によって違うのでね...


ともかく,一息できるので,週末はだらだら過ごす.

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