地平線の彼方で

Biochemist & Structural Biologist
治療中
興味のあること: Proteinase, protein engineering
ちなみに地表からみえる地平線は所詮4000mほど先で,滑走路並みに近かったりする...(C) 2007-2019

Azusa

僕の一押しの若手研究者は、世界のAzusaです。天才ハオウーも絶賛の。

彼とは2度ほど、もしかしたら3度あっているのだけれども、彼は絶賛だね。


なんども出てきているけれども、僕から見て彼の一番の傑作はやはり2011年のScienceの論文。
1つのFigureで全てを語る。簡単に出来そうで出来ない素晴らしい仕事。
こういう仕事は申し分のないパーフェクトな論文。

今回のCellの論文も素晴らしい着眼点があって、技術的なものだけではCellでは無理な感じがするけれども、これによって新たな価値を生み出していると評価した。
専門家でもないので、技術的なことはわからないけれども、鋭さが違うと。


観察を元に、仮説を立てて、その仮説が正しいことを証明する。


これは簡単に出来そうで出来ないことで、トップジャーナルには必須のパターンを見事にこなしていて、素晴らしい。この論文はCellに載せる価値がある。



インパクトファクターがなんとかという、しかも足したり、掛けたりしている人達がいるけれども(ほとんどの論文はnatureとCellの差の範囲なので、インパクトファクターがどうとかってのはほとんど意味がない。)、そんなのを超越した仕事。君たち見たまえ、この素晴らしい仕事を!!って言える仕事。

彼の今後の仕事を楽しみにしています。




サブミット

やっとサブミットすることができた。
この構造は歴史が求めてきたもの。なのでもちろんNatureに。
僕にとっては別に。。。ってもの。実際もうこれには飽きているので、

今後の件も含めてヴィクターとも話したのだけれども、このまま突っ込んでいっても個人的には面白みがないので、面白みが出てこない限りやるつもりはないって。

これは、サラリーマンサイエンティストとして生きていく上で損な性格かもしれない。
僕はいつまで生きることが出来るかわからないので、

48 hours at the X-ray factory

natureの記事(http://www.nature.com/news/24-hours-at-the-x-ray-factory-1.19631)

2011年ぐらいまでは、あんな感じで仕事をしていたな。
ビームタイムの48時間中40時間ほど実験していた。
実際前日には結晶を凍結して、FedExで送って、さらに飛行機に乗り遅れないように確実に起きなければならないので、眠れなかったりするので、異常な生活をしていたな。
そしてビームラインでは乾燥しているので、のどが乾きまくっていた。


朝5時起きで、7時45分のデルタでミッドウェイまで。
時差があるので着くのが10時ごろ。
当日朝は眠れないので、もちろん飛行機内で爆睡。
シートに座って、次に目が覚めるのは着陸したときの衝撃まで。


毎回、空港でサンドイッチとコーヒーを買って55を南下して着くのが11時
そこから実験をはじめて、18時まで。
2時間ほどチャイニーズバフェーに行って、カリブーでコーヒーを調達して20時に戻ってくる。
そこから次の朝の7時頃までまた実験。ホテルにチェックイン♡
5時から8時まで仮眠を取って、朝食/昼食
APSの朝食、昼食はいけるけれども、ディナーはゲロマズ

そこからまた18時まで
2時間ほどホームランピザに行って、カリブーでコーヒーを調達して20時に戻ってくる。
そこから次の朝の9時頃までまた実験。さすがに眠いので、カウチで休憩する。。。
夜食は残りのピザ。。。

そしてバックアップを取って、空港に向かう
空港でいつものビールとサンドイッチを食べて、飛行機の中で爆睡。。。
席はいつも窓側に席を取っている。壁にもたれて眠れるので

目が覚めて、飛行機から窓の外を見ると、並行して着陸態勢に入っている飛行機をみながら、「hometownに戻ってきたな」って感慨に耽る。


夕方までラボで解析の続きをする。


これが4週間に一度訪れる日常だった。



いつの間にやらビールは別会計になり
手動でクリスタルをセットしていたのが、ロボットが導入され、
ネットで操作が可能となり、ディテクターの処理能力が速くなったので
今では長くて6時間でデータが取れるように。夜でも、家から寝転びながら実験が出来るようになっているので、QOLは改善
ビームラインはシェアしているので、使える時間が時間が少なくなってきているので、短時間しか実験出来なくなっている状況。


とはいっても、なんやかんや言っても、データが取れれば直にでも解析したい魂が震えるので、データを取ったあとはすぐに解析するので、寝るのがもったいない感じ。


眠くてもゴールが目の前にあるわけで、なんとでもなってしまう。

一番辛いのは、同僚の反射しない結晶を朝の4時から5時にかけてスクリーニングした時だわ。しかもロボットなしで、手動で1つ1つマウントして、1回1回ハッチを開閉していた時。
これほどつまらない空間はなかった。

ま、そのおかげで、8年間の間に原著、総説、解説、本を含めて25本ぐらい書けたわけで(病気になったけど)、僕の人生に重大な影響を及ぼしたのは間違いない。



これは僕のフィロソフィーだけれども、
オープンアクセスのクエスチョンに答えるというのは、誰が一番速く答えられるかというNo.1を目指すものである。論文も数本同時に出るという事は偶然ではないし、投稿すれば中身は、違反行為がはびこり、すぐに広がってしまうわけでもある。

オンリーワンを目指すところとは少し違うけれども、独自の視点がないと、競争には勝てない。ひとえにたんぱく質といっても、トラップのあるところが毎回異なる。

結果的には、早押し問題みたいに見えるかもしれないけれども、これまでに出来なかったものを可能にするという点では、マイナーな問題を解決するところにオリジナリティーが必要なわけで、いい雑誌に載せようとするほど、オリジナリティーがとわれてくる。

なので、インパクトファクターの数字そのものには興味がないけれども、いい雑誌に論文を載せる/載せようとするという事は、サイエンスの観点から目標としていかないとな。

ようやくアプルーブド

昨年の7月20日頃に提出した(ちょうど誰かの誕生日イブだけど。)H-1b visaの大本の書類I-797が、7ヶ月かかってようやく認められた。visaは5ヶ月前に切れたまま。visaはUS entryに必要な書類なので滞在許可書I-94? その根拠のI-797とは異なる。一旦USの外に出れば再入国にvisaが必要となる。



waiting が単に7ヶ月かかったというだけで、審査にそれだけかかったのではない。
昨年の分子生物学会に参加する為にExpressを使いたかったのだけれども、結局使わなかった。


これでAPSに出す書類を1ヶ月ごとのアプルーブが必要なくなるので良くなった。
つい最近更新したので。。。また1ヶ月後の時は、正式に2年半ぐらい延長になる。


外国人を実感する瞬間だわな。

ちなみに大学院の英文証明書(ノータライズ済み)は出さなかった。
そのままの英文の博士号のなんとかを提出しただけ。

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前回のH-1bから3年5ヶ月(41ヶ月)で15本の論文、総説、著書、日本語での総説解説を執筆する事が出来た。平均すると2.7ヶ月にひとつという計算。そんなに出している気はしないのだけれども。。。
それに数はどっちでもいいのだけどな。このような仕事は、もう求められていなのだろうか。Natureの編集部は求めてくれていてもね♡

なんやかんやいっても、上司や共同研究者、学生に恵まれたからだわな。

そしてあまりにもの仕事過ぎが原因ではないけれども病気になってしまったけど残りの命がある限りサイエンスに貢献していきたい。

Proof

Methods in Enzymologyのプルーフが来た。
僕はほとんど何もやっていなくって、口だけ出していたもの。

校正係みたいなものかな?

病気だったしな。。。あまり貢献出来なかった。まだ治っていないけど、酷くはなっていない。うっすら回復の兆しが見えてきたかもしれないけれども、これはDrの判断なので次のappointまで待ちたい。

復帰作とりあえずの第1号だな。。。

2016年7月15日発売予定。$199


ーー

後悔しないように生きていく。
それぐらいかな?

ーー

知識というのは全人類の共通の宝物だと思う。
なかには、「コツがあります。でも教えません」という人もいるかもしれないけれども、僕はそう言う考え方には同意出来ない。今論文にする前ものは出来ないけれども、論文になれば、別に利害関係もなくなるのでオプンンな方がいい。

わかりにくい事や書いていない事は、書き忘れているだけの事なので隠しているわけではないです。基本は全部論文に書いているつもりだけれども、抜けているところがあるかもしれない。


知識というのは集大成するから意味があるわけで、現在の自分の味覚でアスパラガスが美味しくないからといって、Aの項からアスパラガスを削除してはならない。

結晶を作ってみる II

かなりの場合、結晶は作ろうと思っても出来ないのがデフォルト。
が、時々出来る。

出来ないからといって、ヒトがX線回折実験しているところや写真を撮っているところを覗き見したりするところは理解出来ない。経験のある人がアドヴァイスしているのならまだしも、、、

ゲーセンで人だかりが出来るような感じ。。。
ちなみに、人のやっているのを見ていても何の役には立たないし、時間の無駄。
はっきり言えば、気が散るので邪魔。そんなところで時間を無駄にするより、もっと自分のプロジェクトに力を入れた方がいい。


自分で、今の結果を観察して、なにかに気がつかないといけない。よーく観察する事と、自分のデータから学ぶ事が大切。あれ?ちょっといつもと違うなとか。それに気づけるには記憶力がないと駄目だな。ノートを見なければ気がつかなかったというレヴェルでは見落としてしまうだろう。ノートを見て気がつけばまだいい方だと思うが十分ではないわな。
これはどのような分野でも重要だと思う。




ちなみにprecipitationのラボではないので無限のprecipitationを作っても評価出来ない。

仕事という面ではprecipitateのラボの方がいいだろうし、産業的にもprecipitateしないようにするのは重要だしな。それに400条件調べて結晶が出来るのは0から30条件であるのに対して安定にprecipitationが出来るので。precipitationしない条件を調べる事は出来るけれども、それと活性は異なるし、それと自分の興味のあるbiological functionには全く手が届かない。




通常、結晶が出来た時は、複数の条件で結晶が出来るけれども、不思議な事が時々起こる。
かなりのケースで結構簡単に再現出来る。
一旦-80° Cで凍らしたものでも。

人によっては凍らさない人もいるし、僕みたいにちょっと乱暴に凍らしてみる人もいるのかどうかわからない。1日2日ならそのまま4° Cで放置したり。





ちなみに基本的には僕はクリスタログラファーとは言いがたいので。

これは違うspace groupだ!とか言って盛り上がったり、
Higher resolutionだ!とか言って盛り上がれない。

僕にとっては論文になるかどうかが決め手で、、、






そういう意味もあって断固自分自身そうだとは認められない。。。
不純な動機というか、楽しめていないというのがあるのか?beyond the structureのところに興味を置いているからなのだろうか。


ただhigher resolutionの方が仕事がしやすいのでhigher resolution data setを求めるけれども、論文を出してからさらにhigher resolutionを!とか全く魅力を感じない。
誰かが、別のグループがそこに成功すると凄いねって感じで見るけれども、そこにbiological meaningがあればこそであって、ただ取れましたというようなものには魅力を感じない。
ただ、どういう改良をしたのか?というところには向学の為に興味があるけれども、そこから熱狂は出来ない。

かなり飽きっぽいのだろう。
例えば10年も同じたんぱく質をする根性はない。。。そこまでの情熱がないのがいいのか悪いのか。。。





3 Aで複合体の結晶構造を決定する方が、2 Aの単結晶や複合体構造を決定するよりもbiologicalな点から重要だというのがあるので、一旦出てからだと、論文としてのインパクトは少なくなる。
つまり3 Aでわかった事からさらに理解が深まるだけの情報が2 Aから得る事は難しい。


ちなみに結晶はキャノニカルなサイエンスから外れているので、何が起こっているのかわからない。

基本的にはたんぱく質をある液体と混ぜるだけなので難しくない。
ロボットがあれば、何も考えなくても楽にスクリーニングが出来てしまう。
ロボットがなければ、時間が掛かって、エネルギーが使われるので、あまり沢山の組み合わせを調べられない。

いくつかプロジェクトをもっていた方が1つ転けたところで影響は少ないけれども、1つしかなければうんともすんともならないので、何ともいえない。どれも中途半端になるのは良くない。





ヒューマンパワーなんてたいした事はできない。頭に頼らないとな。

どんなものでも、始めたら半年はかかるので、論文にするにはさらに半年かかるので、的を絞ってするのがいい。



小さい分子量のものは濃い濃度で、大きい分子量のものは薄い濃度でというのが理論
0.5 mM (40 kDa+DNA), 3 mM (23 kDa), 1 mM (10 kDa+DNA), 0.3 mM (20 kDa+DNA), 0.5 mM (20 kDa+DNA), 0.2 mM (23 kDa+DNA) という感じで400 kDa (テトラマーのもの)だと3 mg/mLであったり。基本は 10 mg/mLでprecipitateが少なければ、濃度を上げないといけないし、全てprecipitationしていたら結構厳しい。濃度を薄めたらという事でどうなるとも言えない。

マウスからヒトに変える事で成功する可能性がある。
1アミノ酸違うだけでも全く違うコンセクエンスになる。。。

CysからSerのmutationはsizing columnやDLSの結果をみれば効果がありそうかわかる。


別に結晶があっても論文は書けないけれども、biochemistryのデータがあれば論文を書ける。
結晶があればなんとかってのがという気が起きるのはわからないでもないけれども、1 mutationの生化学的解析だけでもきちんと論文になる。

2013aのJMBは一番最速で書いたものだわな。2ヶ月ぐらいかな?寝ぼけていて作ったコンストラクトなので、あんまり変なものを作っても責めてもどうにもならない。変なのを作ってしまったと気がついたのが、精製した後だったからであって、2 hで活性を調べて面白い結果だったので論文に。精製の前に気がついていたらそのまま放置だったかもしれない。
結晶はデータはあっても、上手く説明出来なければ論文にはならないので、結晶にこだわらなくてもいいと思う。結晶をやりたい人にとってはなかなか承服しがたいコメントらしい。僕は結晶をやりたいわけではないので。





ちなみに結晶内ではおよそたんぱく質の濃度は50% (v/v)になる。10 mMとかそんなぐらい?
結晶内では水分が豊富に含まれているので基本的には生体内の構造の一つを反映していると考えていい。


が、変なモデルがデポされていることがあるので、それはヒューマンによる問題。
特にsidechain outliersが高いものでは、ルーシンのロータマーが間違っているものを良く見る。
最近のものでも。プログラムが自動で直せないものなのだろうが、どのアミノ酸がおかしいのか、きちんと指摘されてくるのでそこを直さないでいるというのは話にはならないわな。。。

直されていないと、2 Aのものでも2 Aのマップには見えない。

multipercentile_validation


アティチュードを疑う。し、reviewerは何をしているんだと言う事。





結晶が出来ない理由は無限にあるので、出来ない理由はよくわからん。
元々無理か(これがかなりの割合を含むと思うけれども、他の人から見れば腕が悪いということになるし、そこに人生を突っ込むのは僕はあまり感心しないので、すぐに諦める)

変な事をしている(これもかなりの割合を含むからこそ、↑のように無理なものでも、超難関なものでも。。。)


一旦結晶が出来れば即刻duplicationをしていろいろテスト。
時間経過に従ってどんどんたんぱく質が劣化する。
duplicateさえ出来ない事もある。FMRPは変なたんぱく質だった。

一つはたんぱく質が劣化。1日o/nでダメになる事がある。
しかも濃い濃度で保存していたものは(screeningのあとのleft over sample)ではダメで、一旦薄めていたものを再度濃縮したものでは結晶が出来るとか。。。
非常に面倒だけど、それが必要ならば、そうしないと。(2015 HMG)


特定のロットのたんぱく質でないと再現出来ない。(2015 HMGのmutant)
こっちはメチル鉛を入れたもので、あるので少しトリッキーな感じはするけれども。


通常duplicationは出来るけれども、非常に困難なものがある。


さらに1回しか結晶が出来ないでそのdropからの複数の結晶のデータを得る事しか出来ないとか(投稿前の原稿)、とにかく再現が難しいもの(Jの2010 NSMB)

他のグループが出している複数の結晶を再現出来ないとか。。。


一番簡単なブレームの仕方は腕が悪いとかなんとかだけれども、何かが少し違うのだろう。
コツというよりは無意識の上での違いで、purityが悪いものを使ったとか、なにかがうっすらコンタミしていたとか。


デポしていない僕の一つの構造は、知らない間にbufferがコンタミしていて、たんぱく質がtruncateしていて、そのコンタミしているbufferでは結晶が出来たけど、新たに作り直したbufferでは結晶が出来ないで、さらにその構造を元にコンストラクトを作ってduplicateしようとしたけれども、何も得られなかった(2009-2010年頃)。この頃の生産性の低かった時期の苦い経験は十分今、教訓となっている。


densityが見えているところだけで作り直しても、結晶が出来ない事がある。
おそらくdisorderしているところが結晶化に関わっているのだろうか。

2015 NARでは2014 Natureと基本的に同じだけれども、少しコンストラクトが違う。full lengthを使って出来たものが出来なかったので、disorderしたものを使えばそれなりのものが出来たとか。





なにか間違った事をしても動じない事が必要。

伝説ではテックがPEGを作る時に% (w/v)と (v/v?)かなにか間違えていたものを使ったら結晶が出来たけれども、新たに作った正しいものでは再現出来なかったとか。
多少の間違いを怒鳴りつけるのは良くないが、、、ノートをつけておけば十分。
(あとからテックにどうやって作ったか聞いたからわかった事で)(1990年頃)



基本的には精製した後のスクリーニングする前のたんぱく質は遠心したりしない。
ゴミが入っていたり、なにかの沈殿があるとそれがシードになって結晶が出来ることを祈っていたり(祈らないけど。。。)

サイエンスなんて結構いい加減な事ばかりで、万能ではないし、ビリーブとか論文でも使われているのはエレガントな書き方。定説なんていうのもそんなもの。決定的なデータがでない限り、所詮仮説であって、真実を語る学問ではない。真実を知ることは出来ない。


結晶が沢山同じドロップから出来るならば、遠心をすれば、結晶の数は減るので、あながち迷信ではない。あと見えなくてもsizing columnに再度掛けるのもアリかもしれないけれどもあんまり成功した事はない。

グリセロールを入れるのは勧められる事だけれども、なんだかなぁ。。。って感じの成績。
入れたところで数が減ったのを、数が減った事によるサイズの拡大などは見た事が無い。
このあたりは妄想、迷信レヴェル。。。




僕は顕微鏡下での細かい作業が得意なのでuglyな結晶でもループとナイフを使って結晶を細かく割ってシングルクリスタルに分解してデータを取れてしまう事があるので、

ちっちゃい結晶を拾えても、回折しないというのがあるので、何ともってところ。



32 PM

結晶を作ってみる

僕の仕事はDNA結合たんぱく質とDNAとの関係を明らかにしていく事なので、結晶構造解析で原子レヴェルで明らかにしていく事がストレートフォワードな王道。


なので、in vitroで現象を再確認して、たんぱく質を精製して、結晶を作って、X線回折実験をして、モデルを立てて、そのモデルが正しい事を証明するのが仕事。そして発見を論文にまとめて公表する。この一連、最後まで行って一つの仕事。トラップがたくさんあるので、最後まで気を抜けない。


世の中にはたんぱく質を精製するだけの人、ひたすら結晶を作る人、ひたすらX線回折実験をする人、構造を決定する人というシステムが存在しているらしい。
こういうところとcompetitionするのはうんざりする。人海戦術なわけであるので強い。。。

ただ、分業システムでは自分が1つ1つメカニズムを明らかにしていきたいという力というのは小さくなるかもしれないし、プレッシャーも小さくなるだろう。ただし、作業なので優秀なボスの下であれば効率が上がるわけで、さらに論文を執筆する時もco-first authorのシステムが崩壊してから1st authorが4人も5人も存在出来るので、醜い争いは軽減される。

どっちがいいのかはわからないけれども、個人的には楽しくないと思うので、若い人にはそういうシステムを強制したくない。
優秀な研究者が育たない?というのがあるのかも?




結晶は一番運に頼るところみたいなイメージがあるけれども、僕の場合はおおむね1カ月から半年ぐらいで出来るか、僕には無理と諦める。それでも全て上手くいけば年間3-4本ぐらいは出せる。
紀要は出す時間がないし、今紀要に出す意味が薄れてきていると思う。
時間をかけてしないといけない事なのか?と僕は思う。

あと僕は出来ないのを運のせいにする事はしない。
ただ単に能力がないと認める。コンペティションに負けるのも含めて。
能力不足を認めなければ始まらないことがあるわけで、コンペティターに先に出されたというのは運が悪いのではないわな。

ーー

基本的には沢山たんぱく質がなくても結晶化実験はキットになっているので、分子生物学しかやった事がないラボ、生化学しかやった事のないラボでも可能。必要なのは困った時に適切に助言をする人だな。

結晶屋さんしかやったらダメ?結晶屋さんにしか出来ない?みたいなイメージがあるけれども別にたいした事をやっているわけじゃない。基本作業は

混ぜるだけ

生化学をやっているならば敷居は低いし、意味のある仕事をする事が出来ると思う。
分子生物学はキツいかも?分子生物学では無茶苦茶にやっても何か結果が出るという面があるので。

構造解析はもっと普及すればいいと思う。

結晶構造解析は結晶屋さんだけのものではない。(というのが僕の考え
正直反感を買うところだと思う。素人が!!ってところもあるだろう。
実際日本語は良くわからないので、unit cellを日本語で何と言うかも知らないし、


個人的にはコミュニティーの中にはいろいろなレヴェルの人がいるわけなので、調べたらわかるだろ!みたいなアティテュードは関心しない。
あと難しい事しか聞いたらダメな雰囲気も。
そういう萎縮させるようなのはな。

説明が良くないだけで、どこでつまずくのか、そこをわかりやすく、理解しやすいように改善していく事も出来るんじゃないか?って。

ググれとかは全く何の解決にもならない。



簡単に見える事や、単純なことでも、その場で解決する事が大切。
聞かれたら教えてあげれば済む事で、実は全くわかっていない事だらけ。
知識は切り売りする必要はない。

逆に、聞けばすぐにわかる事を、わからないまま1ヶ月放置とか意味が分からん。


僕が簡単と言っていることはかなり難しいらしいので日々気をつけようと努力している。。。


僕がこの仕事を始めた頃助けられたし、まったく助けられなかった部分があるので(縄張りみたいなものだな。。。しょうがないので自分で勉強した)、つまらないところで時間を使い果たすよりはもっと本質的な問い答える事に時間を使えるようにサポートしていきたい。




でないと、よくある女性の上司が女性の部下を引っ張り上げないみたいな感じ?女の敵は女みたいな感じ。。。今まで努力してきた上司にしてみれば簡単に部下がポジションを得るのが納得いかない人がいるらしい。僕は外様なので、そういう感情はないし、より広めていく方向がいいと思っている。

勢力拡大の為には必要だし、優秀な人を引きつけるには昇進させないとな。


これまで得てきたものを共有する事で時代は進んでいくと思うので、僕は積極的に情報を公開していきたい。隠すほどのものではない一方、読んだら出来るというようなものでもないけれども、


ーー

何はともあれ、結晶が出来ない事には解析が出来ないので、振り出しに戻るわけで、
さらに結晶が出来てもdiffractionしないものがあるので、その時も振り出しに戻る。
最初の目標を簡単に失いそうな作業だわな。

結晶が出来ると見た目の美しさに喜んで、その後の努力を怠る人がいるけれども(釣った魚にえさをやらないみたいな感じだな)、最低限データセットを取るまでは安心出来ない。

ぶっちゃけ、結晶を作るのに苦労していたら、結晶が出来た事が嬉しいというのは理解出来るけれども、それって美女にウインクされただけと同じで名字も知らないのと同じだな。


結晶が出来たら必ずhome X-rayでdiffractionすることをチェックする事。
home X-rayで7 ÅまでDiffすれば3 Åまでdiffractionする可能性が高い。
3 Å以上higher resolution までdiffraction するならばデータセットを取ってしまってプレリミのデータを取って、モデルを作ってしまう。
space group, resolution interactionを確認しておきたい。
APSでは1月、5月、9月とビームが止まるので時期にもよる。


20個ぐらいの結晶をscreeningすればどれぐらいの結晶がdiffするかわかる。
synchrotron beam timeは限られているので、2時間の割当に7 pucksもスクリーニングしてデータセットを取るのも無理。1つのデータ360 imagesで6分。マウントに2、3分とはいえ、
1つのデータセットがあれば十分なんだけれども、バックアップで2つ、3つ取っておきたい。となると2時間だと1 puck(16 crystals)がいいところ。その前にスクリーニングしておきたい。
時々異なる結晶を送るとなると8時間ぐらい欲しくなるわけだから。

どの結晶がdiffractionするかスクリーニングをしていた方が効率がいい。

no diffractionが10個続くと飽きてくる。なにかMac上に見えれば喜怒哀楽が出来るけれども、何も出ないで哀哀哀哀哀哀ばっかりだと死にそうになる。

2008年当時、ビームラインに出かけて同僚の結晶を、マニュアルで調べていたとき、(ロボットが導入される前)、朝の3時4時に、何も出ない結晶をひたすらテストするのは、苦痛だった。
なんだよ、塩かよ!!ってほうがまだまし。

ハッチを開けて(安全上、非常に遅い)、ハッチ内に入って、CCD Detectorを十分離して(高いから$4 Mぐらい?傷をつけられない)、結晶をケインからファーセプトをもちいて、取り出し、ゴニオミターに手動でマウントし、Detectorを近づけ(300 mmぐらい?)、2カ所のサーチングボタンを押しに奥まで入り込み、フラッシュライトと、警告メッセージを聞きながら、ハッチのドアを閉じる。ワークステーションから結晶を中心にもってきて(その当時は2-point centeringなどなかった)、file nameを入れて(その当時は自動的に名前が入らなかった。番号は入ったけれども)X線照射。
何も起こらない。

これが朝の3時から1時間続いたら死にそうになる。

ロボットが導入されて、いちいちハッチを開け閉めしなくても、ネットを経由してコントロール出来る今でも1時間、昼までも続くと死にそうになる。。。

いい事は、各自責任を持って出来る事。
僕が他の人の結晶のスクリーニングの為に苦しい思いをしなくて済んでいる事。

僕はちゃっかりしているから、レイジーだからhome X-rayでスクリーニングしてから。
寝ている間に(帰る前にセットして、明け方に)スクリーニングが終わるので


それでもReflectionsがストリーキーになっているものがあるので、ある程度スクリーニングしないといけない。





beautiful large crystalであっても20 Aほどしかdiffractionしないものがある。
水分やパッキングの問題でどうなっているかわからないけれどもDiffractionをチェックするまでわからない。

synchrotron
beamのintensityはID(Insertion devise)だと5%で1 secのexposure, BM(Bending Magnet)だと100%で1-5 secのexposureで照射。基本は250枚ぐらい1°のオシレーションで僕のものは十分
SADでフェーズを決定するときは2°で取っている。リダンダンシーが必要なので。

ビームによって結晶は崩れていくので、最初は回折しても、あとの方になると回折しなくなることがほとんど。P4, P6などは60°あれば十分だけれどもP2だと200°ぐらいないと完全なデータセットを得られない。

beautifulな結晶であっても、diffractionは最初の10枚までしか使えずってこともある。時々。

美女であっても中身が大切なのねって感じ。
だけれども、通常beautiful large crystalであればいいデータを得られる確率は高い。
sizeが問題になる事がほとんどで、sizeが問題にならない事はレア。
実際、小さい結晶であっても1.5 Aまでdiffractionする時があるわけで、結晶内の中身のパッキングが重要になっている。男性も時には中身が重要なように。

個人的にはBMの方が自由に使えるので(ほとんどの人達はID大好き。high intensityだからBMよりもhigher resolutionが得られる。あんまり変わらないものも時にはがあるけど)時間に急かされながらする必要はないので僕はBMの方が好き。12時間すればかなり体力的に疲れてくるけれども24時間とかでもまだまだ大丈夫。

BMは時間は掛かるけれども、古い技術を使っている事もあってビームも安定だし、リクエストすれば結構自由に使わせてもらっている。SAD/MADをしたければそっちのほうがいい。beamが強くないので、沢山のイメージが取れる。1つのデータセットで1時間ぐらいかな?
データを取り始めたら寝て、1時間ぐらいたったらまた起きて、次のデータを取る。
レイジーな僕にピッタリ。

2時間、4時間ぐらいインテンスにやるほうが効率いいのだけどな。


今はビームラインの人達のおかげで全てネットを介してコントロール出来るので、ベッドの上で寝転びながら出来る。MBA13 inchだと画面が若干小さいので21インチ外部のモニターを繋いでいる。
さすがに年を取ってくると小さなモニターは辛い。

いちいちビームラインに出かけるのも時間お金の無駄で、行ったら何とかなるってものもないわな。
とにかく、僕はレイジーなのでネットで出来るものならそうしたい。

っていうのも、シカゴに飛んでいっていた時は朝7:45分のミッドウェイ往きの飛行機に乗って、11時半頃ビームラインに着いていたけれども、けつの穴が小さい小心者の為に、飛行機に乗り遅れるのが心配で前日は寝られないってことになっていた。朝5時起きで6時に家を出るってパターンだったしな。しかも前日は結晶凍結でクタクタ。ビームラインでは軽く2徹だったので、加えて、データが取れれば速攻で解析だったので、無茶をしていたと振り返る。

今は徹夜する必要は基本的にないので、ゆっくり寝れるし、何よりも飛行機に乗り遅れる心配をしなくていいこと。近い昔だけど、遠い思い出。

ビールも飲めていたのに、ビールは別会計になったり、時代の流れだな。



幸い僕はとてつもなく苦労した事がないので(一度苦労した)。結晶では
ただ常に時間との勝負という苦労はしている。

ーー

僕のメインの仕事はDNAとの複合体の解析なので、1 mMのDNAとたんぱく質溶液を100 uL作って結晶化のスクリーニングをする。分子量にもよるけれども0.3 mMから1 mMのたんぱく質を100 uLほど必要。おおよそ1 mgから5 mgほど?あれば十分結晶化実験が出来る。

うちには共用の結晶化実験のマシーン(ARI, Phoenix)があるので(ラボで囲む必要性もないし不必要な無駄だわな)、96 well plateに3つの異なるサンプルを15分でセットアップする事が出来る(せいぜい1-2時間が一人占有する時間)。well solutionが60 uL, drop sizeは基本は0.2 uL 1 mM protein/DNA mixと0.2 uLのwell solutionを混ぜてくれる。プレートをシールして密封するとだいたい1、2日後に結晶が出来る。

お楽しみの瞬間。
次の日が楽しみで眠れなくなる。

マシーンが導入するまでは手動で96 well plateに 1 uLのprotein/DNA solutionと1 uLのwell solutionを混ぜていた。1つのプレートに45分かかるので、ロボットによる支援は非常に助かる。時間的に、必要なたんぱく質の量共に。

たいてい夕方に濃縮が終わるので、そこからさらに3時間とか。。。まNatureにだせる仕事(2008 Nature)とかだと苦にならない。今、手動でとなるとかなり心の準備をしないと出来ない。1回楽な方法を覚えるとそうなるのはしかたがない。



うちではARIのPhoenixを使っている。
維持費はそんなに掛からない。
3-4ヶ月おきに1本$300のナノニードルの交換
時々シリンジの交換$2000+1つ$100
1回のスクリーニング(400条件)に1時間占有ぐらいかな?

この機械はグラントの用途以外には使ってはダメ!というのも無駄を助長するわな。
インフラはインフラのグラント(NSF)がないと。
それと機械があっても成果は出ない。人間の中身が大切。
安易な方向だわな。機械は5年で時代遅れで壊れるけども、人間は成長し続ける(はず)。



結晶化のスクリーニングにはsitting dropを用いている。文字通りdropをsittingさせたやり方。dropをシリコナイズしたガラスにhangingしたhanging dropもあるがscreeningではsitting dropでまず見るのが手を抜きやすい。


方法論をなんぼ学んでも結晶は出来ない。読んだら自分も出来ると思ってしまうけれども、実際やってみたら足元にも及ばないってこと。

なので、”簡単に出来る”とか”誰でも出来る”っていう表現は避けないとと思いながらも、つい使ってしまう。

結晶が底に張り付いてしまうならば、hanging dropにしたほうがいいし、dropにskin(膜)が出来ると(Mgが入っているとよく出る)表面に浮いている結晶には適さないし(膜を取り除く時に結晶も取り除かれる)。どっちでもいいんじゃない?僕はレイジーだからsitting dropで結晶が出来ればduplicationもsitting dropで。

でっかい結晶を作る、質のいい結晶、いいDeffを作るにはといういろいろな伝説があるけれども、
たいていは上手くいかない。たまに上手くいくものもあるぐらい。

成功するのが高そうなものとしては、シーディング。
これは上手くいく例を結構見ている。

アニーリング(クライオストリームを1、2秒遮断して、温度を上げて、さらに100 Kに戻すとdiffractionする伝説)は僕自身1例しか見た事が無い(2007?2008 Mol Cell僕の論文じゃない)
もしかして?ってのがあるので、やってみるけど、全滅。非常にむなしくなる。
理論は理解出来るけれどもかなり世界で成功例は少ないだけに、伝説となっている。
真面目に信じてやるのもいいけれども賭けにするにはオッズが悪すぎる。

大きな結晶を作る事が王道だけれども、どうすれば作れるのか?ってことは全くわからないし、いろんな事を試しても出来ない時は出来ない。
もっと別のところが重要である可能性が高いので(コンストラクトや、DNAの長さ、配列など)そっちに賭ける方がいい。無理なものは無理。出来ないのは自分の実力不足ということにしている。
間違った方向になんぼ努力しても結果は得られない。

ちなみに今投稿しようとしている原稿では1塩基配列変えた事によってspace groupがP65からP41212に変わった。resolutionはほぼ変わらなかったけれども、塩基配列の違い(認識していない)によって、space groupが変化する。2014b G&Dにも1 mutationによって、別の投稿前の原稿でも1 塩基の置換によっても構造に大きな変化はないのに(RMSD <1 A)、space groupが変化することもある。2015 HMGではmutationによってscrew axisの回転方向が変わってP41212とP43212に変わった。mutantはphasingのためにPbを加えたのだけれどもどういう意味かあるのかはわからない。Pbのフェージングパワーはは非常に弱い。


以前キャピラリーを用いたscreening plateを売りにこられて、いろいろアドヴァンテージを押されてボスが購入したモノがあるけれども、僕は使っていない。新しいものは避ける人なので。
実際、技術が不安定なので、キャピラリーの中に空気が入ってうまくwell solutionとprotein mixtureとが混ざらないとか。あとシーリングが甘くすぐに乾燥するとかあった。嫌な思いをしたくないので、使った事はない。最後の一手というぐらいになれば違うと思うけど、さくっと諦めるだろう。

プレート1枚は$80 とかいう割には全く使えない代物だった。ゴミだな。
通常のスクリーニングに使うインテリプレートは$10ほど。


基本は4つのスクリーニングキットを使っている。
DNAと複合体が取れやすいのはHamptonのPEG ION
あと同じくHamptonのINDEX, CRYSTAL screenこれがお気に入り。
NATRIXからは安定したあまりいい結果を得られた事はない。
WIZARDはときどきいい結晶が出来る。

結晶は基本lower pH (5.0-6.5)で出てくる事が多い。
malonate, succinate, などのorganic mixtureと20% PEG 3350, 0.1 M Bistris-HCl / Bistris-propaneなどで
これらは金属をキレートするので、Mg, Caなんかは見えなくなる事がある。
これらの条件はかなり共通する。

DNAの修飾一つでcrystallizationのコンディションが変わるので(2014b G&D参照)just duplicate wild type crystal conditionでは不足。また別の投稿直前のstructureのようにmodificationによって、DNAのピッチが微妙に変わっているため、一からDNAの長さをスクリーニングする必要があるものがある。

根気がいる仕事だと思う。諦めなければ次に進めないし、諦めたらそこで終わり。
見極めが出来ないと泥沼だな。僕はかなり諦めが早い。


沢山スクリーニングをしても時間、お金の無駄。
もしかしたら!ってのがあるのだろうけど、通常結晶は複数の条件で見れるし、スクリーニングキットには重複しているものが結構ある。
無理矢理条件を探すより、もっと別の重要な事がある。

精製度合いを上げようとするのもな。。。80%あれば理論上十分。アグリークリスタルが出てから考えればいい事で、そこが第一の選択しにはならない。

なにかと思いつく方向に向かいそうな誘惑があっても、そっちに向かってもろくな事がない。お金をぼったくられるだけでって感じだわな。



DNAとたんぱく質の結晶化のコツとしてはprotein solutionとwell solutionの割合を変えるのも一つのて。スクリーニングキットではほとんどの条件でPEG 3350は20%が基本。
DNA/protein complexでは25% PEGで結晶化が進むものも多いのでprotein/DNA solutionの割合を 0.2 uL+0.2 uLと0.2 uL + 0.3 uLとしてPEGの濃度を上げてみるといいものが得られる可能性が高い。僕の論文ではないけれども2016 G&Dでは上手くいった。


結晶化のコツはDNAの長さ、5' 3' over hanging blunt endを変えながらスクリーニングすることだわな。
僕は面倒なのでそういうデータをまとめない(macのなかに、頭の中にあるけれども)けれども、メソッドの論文で実験例を示しているので参考に。そういう基礎知識が貯まっている上での2016 G&Dなので(僕は口しか出していないので名前は入っていない)

結果的には3' over hanging, 5' over hanging, blunt endは結晶内でDNAがスタックしていれば同じだろうけれども、結果は違う1つを除いて全部出来ないか、全部出来ない(投稿前の原稿)。
そこまで1つ1つテストして出来るもので、出来ない事がデフォルトだけれども経験がないと間違った方向にいく。1つ上手くいけば次のものも同じようにすれば上手くいくという意味での再現性を期待しすぎるのは危険だということ。経験がないとなってところ。

一旦結晶が出来ればPEGの濃度、pHを0.2 unitずつ変化させて形のいい結晶を作ろうとすればいい。


クライオ、結晶回折は100 K:ケルビンで測定するので水が凍らないように凍結剤、Ethylene Glycol, Glycerol, PEG 400, Xylytolなどを含んだwell solutionにsoakして液体窒素の中に保存。

基本はPEGの条件ではEGを、Salt(2 MなどのAmmonium Sulfate)の条件ではGlycerolを20% (v/v)加える。クライオを変えればdiffractionがとかいう話は時折見かけるが、そんなことは経験した事がない。

経験するのは結晶をクライオに入れた瞬間に溶ける、割れる、縮むとか、クライオから塩が析出するとか。

EGでもGでも見た目問題ないもので違いが出るという経験はした事がない。あんまりこだわる点ではない。こだわらずにいられない人もいるけれども。。。

割れる、縮むは5%, 10%, 20%へと徐々にEGの濃度を上げたものにsoakしていけば除ける事がある。

溶けるはどうしようもない。2012bのNARでは1 bp短くした事で安定な結晶が得られた。
そのオリジナルの結晶は12 bpで溶けつつあったのだけれども、データセットをとって、解析した結果1 bp短くした。解像度は変わらなかったけれどもB-factorは大幅に改善した。

僕は一つの結晶にこだわりはあまりない。淡泊だな。


Phasingにはたんぱく質にキレートされているZnがあればphasing問題はないが、2014a NatureではMetがなかった。なので2つのLeuをMetに変えたSeMetでは結晶が出来なかったと詰まったけれども、DNAにBrdUを用いる事で解決した。Thy塩基(メチルウラシル)をBrdUに変えてBrエッジ+100 eVで。
Brは非常に弱いのと、X線によって不安定になるので、BrdUを使うのは失敗だったと後悔。

IdUを使えば良かった。I(アイオダイド)は強力なフェージングパワーをもっていてしかも、home X-ray (wavelength 1.54Å)でも十分なので、こっちを使った方が良かったと今更後悔。もう1回やれと言われたらイヤだ。

PhaseがわからないDNA-protein complexだとIdUを入れたDNAを用いて結晶を作るのが、SeMetよりも楽なやり方かもしれない。

Heavy atomのソーキングは成功した事がない。全てprecipitateする。
ちなみにheavy atomや、ligandや、small compoundを含む液体にsoakするとbuffer pHが適切でないために速攻でprecipitateするので、soakする前にbuffer pHをチェックする事が必須。
若い人で時々ミスをする。

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