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手間暇かけた卵が人気 多賀の原養鶏所、父子で奮闘

「味と鮮度が自慢」と話す勇治さん(右)と勇さん=多賀町中川原で

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 多賀町中川原に、午後四時前になると行列ができる卵の直売所がある。「鮮度と質の高さが自慢」という「原養鶏所」の卵は、地元の常連客だけでなく観光客にも人気。狭い店舗内は買い求める人たちでごった返す。社長の原勇さん(54)と息子で四代目の勇治さん(21)は「養鶏業を盛り上げたい」と意気込む。

 「鶏が健康でないと、おいしい卵は産めない」と勇さん。飼育の手間を省くために卵を産める鶏を買うことが多い中、原養鶏所では、生まれたてのひよこを仕入れ、五ケ月ほど飼育する。「時間もお金もかかるけど、この土地でいい鶏を育てることが、おいしい卵につながる」と語る。

産みたての卵は機械で洗い、ひび割れがないかチェックする=多賀町中川原で

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 餌も細やかに気を配っている。ハーブや野菜などの天然素材を使ってメーカーに作ってもらっている「原スペシャル」。材料と配合を少しずつ変えて鶏に与え、卵の試食をくり返してできた特別な餌だ。鶏には太陽光を浴びせ、毎日二回の掃除や、鶏の健康チェックも欠かさない。

 農林水産省や日本養鶏協会によると、昨年二月現在の採卵鶏の飼育戸数は二千二百。小規模層を中心に減少傾向にあり、二十年ほどで三分の一以下になった。一方で、効率を重視した大規模化が進んでいる。

 そんな中で、原養鶏所が飼育するのは約二万羽。平均的な養鶏場の飼育数五万羽に比べると少ない。一時は規模の拡大も考えたが「数は少なくても、いい卵を届けたい」という勇さんの考えで、大規模養鶏場にはできない地道な方法で鶏を育ててきた。

大きさごとに選別し箱詰めする=多賀町中川原で

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 評判は口コミで広がり、県外からのリピーターも後を絶たないようになった。地元の菓子メーカーや飲食店など百社以上から、業務用の注文も舞い込み、生産が追い付かないほどだ。十年ほど前は勇さんが一人で経営していたが、従業員を十人ほど雇うまでに拡大した。

 養鶏業の高齢化進む中、幼い頃から仕事を間近で見て育った勇治さんは、跡を継ぐのに迷いはなかった。高校を卒業後、新潟県の養鶏場で一年間修業。二年前に多賀町に戻り、勇さんらとともに汗を流す日々だ。

 「お勧めは、卵かけご飯。濃厚でおいしい、うちの卵の良さが分かると思う」と勇治さん。「今通ってくれるお客さんを大切に、特に若いお客さんを開拓していきたい」と力を込める。

 営業は平日の午後四時~六時。Mサイズ十個二百七十円、Lサイズ十個三百円、ジャンボサイズ十個三百二十円。親鶏の肉も販売している。(問)原養鶏所=0749(48)0312

 (安江紗那子)

 

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