2019.05.10
名門育ちの革命児 ジャガーI-PACE 気鋭の企業家との共通点に迫る
編集部より
英国の古豪・ジャガー初のEVで、自動車業界変革の担い手と期待されるI-PACEが上陸。われわれはそれを、日本金融界に新風を吹き込んだ気鋭の企業家、甲斐真一郎氏に託した。 その革命児どうしの邂逅に、レースから新エネルギー車まで造詣の深い桃田健史氏が迫る。
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)
もくじ
ー オンライン証券に新しい風を起こした男
ー この会社が世界を変える瞬間を作りたい
ー I-PACEはまるで、スケートのようだ?!
オンライン証券に新しい風を起こした男
スマホで『FOLIO』のアプリを開く。すると、「VR(仮想現実)」、「ペットと暮らす」、「サイバーセキュリティ」、「京都」など、先進技術から日常生活まで、さまざまなテーマが並んでいる。
1つのテーマは、FOLIOのプロが厳選した有望企業10社で構成されている。こうしたテーマ投資によって、投資の初心者でも、投資に対する理解がしやすく、好きなテーマを選ぶだけで複数の企業に分散投資できる。投資金額も約10万円から始められる。
独自の事業戦略で、創業から3年で急成長を遂げている、オンライン証券会社『FOLIO』。総勢約100人を率いるのは、甲斐真一郎さん(36)だ。
甲斐真一郎(かいしんいちろう) 2006年、ゴールドマン・サックス証券に入社し金利デリバティブトレーディングに従事。2010年、バークレイズ証券に転籍しアルゴリズム・金利オプショントレーディングの責任者を兼任。2015年11月に退職し、株式会社FOLIO創業。代表取締役CEOを務める。
甲斐さんはすでに、さまざまなメディアに登場している。外資系大手証券会社でのトレーダーとしての実績もさることながら、京都大学法学部出身でありながら、在学中にプロボクサーのライセンスを取得したという異色の経歴に注目が集まることが多い。
そんな甲斐さんに、『I-PACE』を数日間、日常生活の中でじっくりと使っていただいた。
いったい、どんな感想を持ったのか? そして、オンライン証券の革命児、甲斐さんとは実際、どんな人物なのか?
一連の報道を見ると、エリート、闘争心、完全主義といった“攻めの姿勢”を強調するようなワードがどうしても頭をよぎってしまうが、果たして……。
都心の閑静なエリアにあるオフィスで、お目にかかった。
午前10時。約束の時間通り現われた甲斐さんは、IT企業経営者らしい、少しラフだが洒落た雰囲気のファッションだった。
第一印象は、素敵な笑顔のひと。何ごとに対しても正面を見据えて、正々堂々と立ち向かう。しかし、けっして肩に力が入ることはなく、いつも自然な振る舞い。そんな感じのひとである。
「クルマはファッション」という注目企業のリーダーを「超スゴイ!」と興奮させたI-PACE。はたして、いかなる魅力を見出したのだろうか。
「クルマの取材は初めてで、専門用語とかは、よくわからないと思いますけど」と、ちょっと困った様子でニコリ。
写真撮影の合間に、まずはボクシングのジャブを出す感じで、I-PACEの感想を聞くと「数日前、友人と会食した時、I-PACEは超スゴイ!といろいろ説明したのですが、どうも相手には僕の言いたいことがしっかり伝わらなかったみたいで」と、またニコニコ。
何がどう伝わらなかったのか?
それはインタビューの後半で、I-PACEに同乗しながらお聞きすることにする。
未来を見据えた視点と先進の技術、そして斬新なスタイルに目が向きがちだが、裏付けとなる確かな実績や知識があってこそ革新は成立する。
まずは、オフィス内で、甲斐さんの生活ぶりからお聞きした。