【大相撲】鮮やか逆転、小兵の炎鵬は三賞も狙える2019年5月21日 紙面から
◇北の富士評論「はやわざ御免」9日目の土俵は、人気の小兵力士の相撲を見てみよう。 まず、先頭を切って登場は炎鵬。体重120キロ以下の3人の中でも一番小さい。対する豊ノ島は、元小兵力士で人気を博したものだ。もちろん、今でも根強い人気を誇っている。面白い顔合わせである。お互い腹に一物あると見え、立ちにくそうだ。豊ノ島の方が一歩早く立ち、左をのぞかせて一気に寄って出る。長引いては面倒とみた戦法だろう。 炎鵬は俵を伝って回り込み、右からの突き落としで逆転を試みる。右足1本で一見、際どい相撲に見えたが、鮮やかに決まっていた。まだ余裕があったともとれる。本人は「どんな内容か覚えていない」とコメントしているが、そんなことはないはずだ。先輩に敬意を払って気を使ったのだろう。 これで勝ち越しまで、あと1勝。こうなったら10番勝って三賞狙いといきたい。このまま勝ち続けて優勝争いに顔を出すことになると、大騒ぎになるだろう。とても実現するとは思えないが、考えるだけでも楽しいではないか。 照強も、大兵肥満の千代丸を手玉に取って場内を沸かせていた。相撲は大きい方が有利の定説は、完全に覆されつつある。石浦も、巨漢の矢後をきりきり舞いにしている。 いたずらに体だけ大きくする時代ではない。力士も親方衆も真剣に考える必要があると思うのだが、どうだろう。この日は上位陣も順当に勝ち進んだ。 栃ノ心は、貴景勝の休場で労せず勝ち越しを決めた。貴景勝は改めて再出場したことの是非が問われているが、今回に限って、あまりこのことは追究したいとは思わない。しっかりけがを治すことが大事である。名古屋では元気な姿を見せてもらいたい。 それでは、きょうはこのくらいで終わりにします。場所前からの食事会があるので行ってきます。 (元横綱)
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