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安倍御用言論人のウソ「消費増税延期」説を信じるな/倉山満

なぜ自民党は増税をしたいか?


 では、なぜ自民党は増税をしたいか?

 最大の理由は、財務省に逆らえないからだ。財務省は、国家の意思である予算を握っている。仮に逆らえば容赦なく税務署が飛んでくる。何より、自民党の政治家は政治の素人の集団なので、財務官僚に作文を書いてもらわねば何もできない。

 自民党議員が、どれほど頭が悪いか。彼らは勉強熱心である。どんなに勉強しても成績が上がらない受験生のように。自民党の議員は朝早くから、それこそ6時や7時から「朝食会」と称して、熱心に勉強している。そこで何をしているのかと言われれば、官僚の話を聞いているのである。官僚が間違えたり嘘をついたりしたら、どうするのか?

 そもそも官僚とは、ポジショントークから逃れられない生き物である。ご説明している本人が信じていない内容も、役所の立場として仕方なく熱弁している場合も多々あるのだ。だからこそ、政治家は官僚に会う前に自分で勉強して「頭を作って」いなければならないのだ。ところが、自民党は官僚機構をシンクタンクとして重宝している。

 本場の欧米では、官僚機構の情報に対抗できる民間人の知見を集積するからシンクタンクなのだが、官僚から情報を貰って喜んでいる自民党は、絶望的に頭が悪い。

政官財、それぞれの劣化


 政治家にとって、増税の最大のデメリット(リスク)は、選挙で負けることだ。しかし、自民党には守護神がいる。野党だ。昔は、社会党。今は民主党が、名前を変え分裂しながら自民党を支えてくれている。この体たらくの安倍内閣を倒せないなら、もはや自民党政権は永久に続くようなものではないか。

 マトモな野党が存在しない以上、自民党議員であり続ける限り、落選はない。ならば、財務省からおこぼれを貰って後援会や業界にバラまいたほうがいい。

 こんなことを続けてきたので、今や支持者から「補助金をとってこい」「増税に反対なんかすると、予算貰えないじゃないか」と文句を言われるようになる有り様だ。

 これを「政官財の鉄のトライアングル」と呼ぶ。業界人は自民党に政治献金をし、当選させる。政治家は当選させてもらった見返りに、財務省から予算を貰ってくる。今や、「財務省>自民党>業界」の力関係が確立してしまった。

 理由は三者ともに劣化したが、特に罪が重いのが財界人だ。

 まず政治家など、ここで取り上げるだけ時間の無駄だ。選挙が忙しくて政治ができない人たちなのだから。しょせん官僚は人に使われるのが仕事だ。使いこなせないほうが悪い。

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製造業や中小企業の経営者までが増税に賛成

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