「ターン制ストラテジ?」「いえTCGです」ベクターの新作ブラウザゲーム「ヴェルストライズ」はどんなゲームか
おそらくタイトルを見ても,このゲームの種類や雰囲気が分かる人はいないだろう。「魔戦カルヴァ」とかもそうだったが,最近のベクターのゲームはタイトルが分かりにくい。「三国ベースボール」並にしろとは言わないが,もう少し分かりやすくしてくれるといいのだが。
改めてどんなゲームかいうところからいくと,ヴェルストライズのジャンルはカードゲームである。カードが出てくるブラウザゲームはたくさんあるが,いわゆるTCG,ちゃんとしたカードゲームの系列だ。最近では同社の魔戦カルヴァもブラウザゲームでは珍しい(と書くと老舗のアルテイルに怒られそうだが)正統派のカードゲームだったわけだが,ヴェルストライズのゲーム画面を見るとちょっとそれっぽくはない。しかし本質的な部分はほぼ「Magic the Gathring」(以下,MtG)系のカードゲームである。
ヴェルストライズを作ったのは「ディヴァイン・グリモワール」を制作していた会社だけあって,ゲーム要素的には似たところもある。たとえばレーンにキャラクターを配置して戦い,ボスを倒すという要素は同じだ。レーンが簡略化されていたり,配置するキャラクターにカードゲームの要素が非常に強くなっているあたりで,プレイ感覚はかなり違うゲームにはなっている。多少は戦術的な要素はあるのだが,デッキ構築などのほうが重要なゲームだと思っておいていいだろう。
ゲームの構成要素とデッキ構築
ゲームの流れを少し具体的に紹介しておこう。
まず,プレイヤーは自分の扱うヒーローキャラクターを選択する。クラスがあり,使える武器やスキルが変わってくる。このあたりは「HearthStone」をプレイしたことのある人なら「アレね」と察しがつくはずだ。そうアレである。クラスごとに男女が選べるが,男女差はたぶんないと思われる。
次にデッキを構築する……のだが,チュートリアルでは構築済みデッキで話は進んでいくのでしばらくはいじる必要はない。新しいカードを獲得したらいじっていこう。
1デッキは30枚のカードで構成される。カードには,キャラクターカードとスキルカードがあり,1つのデッキに同じカードは最大で2枚しか入れられない。
キャラクターカードにはヒューマン,エルフ,ハーフブラッド,ドワーフ,アンデッドの種類がある。種族についてはあまり気にしなくてもよさそうなのだが,ドワーフなどは同種族に影響するスキルがたくさんあるので,影響がないわけではない。一応色分けされているのだが,一般的なMtG系での「色」ほどデッキに影響を与えるものではないようだ。
カードコスト,攻撃力,HP,スキル
といった情報だ。
システム的にはMtGの系列となっており,マナを消費して行動するタイプだ。とはいっても別に畑を作るわけでもないのでゲーム中のマナプール管理は必要ない。毎ターン,使用できる最大マナが増えて全回復していく形式だ。所有するマナの範囲でカードを使用できる。
たとえば,マナ総量が5のときに,カードコスト3のキャラクターを出し,コスト2のスキルを使うとそのターンのマナは使い切ることになる。マナはターンごとに全回復するので,きっちり使い切るのが基本だ。
ゲームが始まると最初に手札としてカードが4枚配られるのだが,ゲーム開始時のみ不要なカードを入れ替えることができる。交換しないカードをキープして再ドローされるだけなので,遠慮なく入れ替えよう。コストの高いカードを捨てて,コストの低いカードがくることを願うのが一般的な戦略であろうか。もちろん,「コスト8のカードを捨てたらコスト9のカードがきた」などという事態もないではないだろうが。とくに厳しい局面でなければ初期配布のままで始めてもかまわない。
●キャラクターカードの使用
ゲーム中,プレイヤーは左端に示されたマナの量のコストを使ってカードを使用できる。キャラクターカードであれば,コストを使用して場の,自陣側3レーン×3マスのどこかの空きマスに配置可能だ。配置されたカードは自動で動き,戦闘を繰り広げる。多くのキャラクターは2マス先まで攻撃できるので覚えておこう。
ゲームはターン制で進み,ターンが進むごとに使用できるマナ量が増えていく。この手のゲームの常であるが,ターンが始まる際には新しいカードが1枚配られる。マナ分だけカードを出していき,相手と戦うわけだ。
レーンが3つあるのだが,相手のキャラクターもそれぞれのレーンに配置されて自動で攻め込んでくるので,対応するレーンに歯止めするキャラクターがいないとちょっとマズいことになる。多くのキャラクターは1つ前か2つ前しか攻撃できないので,プレイヤーのヒーローキャラクターに張り付かれると対応が難しいのだ。
キャラクターによっては,周囲1マスへの攻撃ができたり,前方に長射程の攻撃を行うことができたりするので,場の状況と手札を鑑みて対応していくことになる。
ゲーム画面を見ると,ちょっとターン制ストラテジっぽい雰囲気があるのだが,キャラクターは前述のように自動で動き,攻撃を行う。しかもレーンの移動はなく,前進するだけだ。プレイヤーが配置するのは場に出すときだけで,ゲーム中にキャラクターの移動を制御することはない。
また,それぞれのキャラクターはさまざまなスキルを持っている。場に出すことで発動するもの,常時発動するもの,初回攻撃時のみ有効なもの,ダメージを受けたときに発動するものなどさまざまだ。以下にキャラクターとスキルの例を挙げておこう。
●スキルカードの使用
プレイヤー自体が使えるスキルカードというものもある。これはヒーローキャラクターのクラスによって種類が異なり,パーティプレイなどでも重要になってくるものである。これも以下に例を挙げておく。
テストプレイではウォーリアとメイジを使ってみた。メイジの高コストスキルには非常に強力なものもあるのだが,使用には注意が必要だ。「よーし全体攻撃!」と発動すると,味方もろともユニットを殲滅してしまったりと,扱いが難しいものが多かった。このゲーム,範囲攻撃は「味方を巻き込む」のが基本と考えておこう。
●武器の使用
また,スキルカードなしで直接攻撃できる要素として「武器」が存在する。これはヒーローのクラスごとに用意されているものだが,マナコスト2を使うことで指定のユニットに攻撃を発動できる。敵に張り付かれたときなどは有効な攻撃方法でもある。そのほか,ターンごとのマナがちょっと余ったりしたときは遠慮なく使うといいだろう。
ゲーム要素と戦力強化
メイン画面は街を模したものになっており,プレイヤーレベルが上がるごとに機能がアンロックされていく。チュートリアルが終わって少ししたらすべて開放されると思っておけばいい。
初期状態で使える機能には,
ショップ
デッキ
バッグ
ストーリー
といったものが用意されており,
Lv 8 ソーシャル
Lv 9 カードラボ
Lv10 ダンジョン
Lv11 鍛冶屋
Lv12 バトルアリーナ
Lv13 ギルド
Lv14 バーホール
Lv15 カード交換
Lv16 クエスト
といったものがレベルアップでアンロックされていく。
ストーリーは,マップを進みつつメインストーリーを進めていくソロコンテンツだ。プレイヤーレベルを上げる基本的な機能となる。
ソーシャルでは,フレンド機能が開放され,ダンジョンは,パーティで挑むコンテンツとなっている。鍛冶屋ではヒーローが使う武器を強化でき,バトルアリーナは対人コンテンツだ。ギルドの説明は必要ないだろうが,バーホールというのは名前からでは想像しにくい。これはキャラクターをクエストに出して経験値やアイテムを稼ぐためのコンテンツだ。遠征に出していてもデッキで使用することはできるので,積極的に使っていきたい。
キャラクターの強化には,戦闘の報酬で手に入る消費アイテムが必要になる。カードの上部にはキャラクターのランクを示す星がついているのだが,強化すると星が増えていく。
限界突破を行うことで,さらなる★を追加可能になっている。最大★6個までだ。なお,限界突破では成長させるのと同種のキャラクターカードが複数枚必要となる。この場合,レアリティの高いカードほど必要枚数が少なくなっているとのこと。
キャラクターの収集は,カードゲームではお馴染みのカードパックで行うことになるのだが,平たく言えばガチャだ。ガチャにはスタンダードパックとデラックスパックの2種類があり,概ね無料と課金の違いだと思っておけば間違いない。どちらも1パックに5枚のカードが入っている。ありがちな話だが,スタンダードパックでは現状の最高ランクであるURランクのキャラクターは出てこない。
高ランクのカードのほうが強力なのはほぼ間違いないのだが,威力や効果の凄いものは当然ながら高コストに設定されているので,必ずしも使い勝手がいいというわけではない。ダンジョンの特性や自分のプレイスタイルに合わせてデッキを作ることが重要だ。
実際にプレイしてみると,基本的にはMtG系のカードゲームではあるものの,移動速度や攻撃範囲など追加されている要素もかなり重要な位置を占めていることが分かる(主に相手にやられて気づくのだが)。PvE戦に限ってもおそらく万能デッキは存在しないので,相手のデッキに合わせて手を変えていく必要があるだろう。
最初は黙々とストーリーを進めるのが常道だろうが,ある程度余裕が出てきたらダンジョンに行ってみよう。ダンジョンは,3レーンの端に1人ずつプレイヤーのヒーローキャラクターを配置して戦うパーティPvEコンテンツだ。1人でやることもできなくはないのだが,実際にやってみると非常に厳しかった。相手は3人分でやってくるのだから当然といえば当然だ。
ダンジョンをプレイするにはルームを作成してメンバーを募るか,すでにあるルームに参加すればよい。
端にヒーローがいるものの,そのレーンしか使えないわけではなく,キャラクターの配置自体は自由に行える。攻撃力アップなどのバフも自分だけでなく味方のキャラクターすべてに対して行うことができる。ダンジョンはまず前座戦があって続けてボス戦という流れになっている。敵側の攻撃も厳しくなってくるが,報酬もそれなりにおいしいので力を合わせて撃退したい。
今回のテストプレイでは対人戦の部分は試していないのだが,対人戦がかなり熱くなるゲームのように感じられた。キャラクターごとの特性がさまざまで,取りうる戦術が無数にある。まあ,一般的なTCGと同じだといえばそれまでなのだが,さらにいくつかの拡張要素でそれが広がっている感じだ。
日本展開にあたっては,主要なキャラクターカードが萌え系のイラストに差し替えられており,モンスター系のイラストと比べると若干の違和感はあるかもしれない。今後は日本製イラストのカードがどんどん追加されるので,違和感は薄くなっていくのではないかとのことだった。
一見するとTCG風ではないのだが,ゲーム性はTCG。Webブラウザで楽しめるTCGの選択肢が増えたことは素直に歓迎したいところだ。
「ヴェルストライズ」公式サイト
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