@chablis777  
シャブリ

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柴田さん 郵便で~す。
どうぞ。(なつ)ご苦労さまです。
卒業式も終わった 3月下旬のことでした。
夕見! 来た!
ねえ 来たよ!
♪~
(夕見子)もう…。
何なのさ そんなに大きい声出さんで。
来た!はい。
はい。
えっ ちょっと どこ行くのさ?一人で見るの。
(一同)え~!
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
♪「口にする度に泣けるほど憧れて砕かれて」
♪「消えかけた火を胸に抱きたどり着いたコタン」
♪~
(剛男)はあ~ 遅いな…。
(富士子)それが返事でしょ きっと…。
(泰樹)そんなこと言わずに見てこい。
そうだよ 富士子ちゃん。
ここは あなたでしょ。
(明美)私が見てくる!(照男)明美は ダメだ。
何でさ?何となく…。
そだね。 もしもの時 明美ちゃんじゃ夕見も甘えられんと思うわ。
いつも甘えてるしょ 夕見姉ちゃんは!
ここは いつも 甘え慣れてない人の方がいいと思う。
慣れてない人?うん。
じいちゃん…じいちゃんに優しくされたら夕見も つい 素直になれると思うんだわ。
何でじゃ!夕見子のためにお願いしますよ お義父さん!
♪~
あっ 優しく… ね。
♪~
みんなで行くべ。
夕見子 開けるぞ。
何だ 寝てんのか?
(一同)おお!
この子 これ見て気ぃ抜けちゃったんだわ。
それが どれくらいすごいことかと言えば…。
では 最後に ずばり北大を目指したのは なぜですか?
それは…。地元の新聞が 取材に来ました。
私の開拓者精神です!
はい そしたけ… 写真をいいですか?
写真だって!(富士子)は~い。
(悠吉)あの~…俺らは この格好でいいですかね?
(菊介)従業員なんでこの方が感じ出るべよ? ん?
ほんで 撮りま~す。
写真は 一切 使われませんでした。
♪~
ん。
どうだ?うん おいしい!
だべ? 俺も勉強したんだ。
これで もう お前がいなくたってうまいバターは作れる。
ねえ このバターも砂良さんに持っていくの?
当たりめえだべ。
ハハッ…。
あっ やっぱり うまいなあ。
下手だよ。 だから勉強してんのさ。
でも 楽しいんだべさ?
もちろん…絵を動かすのは楽しいよ きっと。
ん? どしたの?
なつ姉ちゃん…。ん?
私のこと 忘れないでね!
何さ それ…。
忘れるわけないしょ…。
私は なつ姉ちゃんがいなかった時のこと覚えてないから…。
ずっと なつ姉ちゃんは私のお姉ちゃんだよ。
当たり前しょ。
明美は ずっと 私の大事な妹。
♪~
そして 旅立ちの日は やって来ました。
したら じいちゃん もう そろそろ行くわ。
おう…。
じいちゃんも送別会 来てくれたらいいのに…。
牛を ほっとけねえべや…。
今まで ありがとうございました。
ハハ…そんな他人行儀な挨拶やめとけや。
うん… また帰ってくるから。
気ぃ付けてな。
うん…。
なつ もう行くよ。はい。
父さん… したら 悪いけど留守番 お願いね。
♪~
その日帯広の雪月でなつと雪次郎君の送別会と夕見子ちゃんの合格祝が開かれました。
(雪之助)旅立つ3人の若人にこれからの抱負 語ってもらいましょう!
夕見子ちゃんから。
どうも ありがとうございます!
一生懸命 勉強します。
雨にも負けず 風にも負けず雪次郎にもなつの厚かましさにも負けぬ丈夫な頭を持ちます。
何さ それ!
そういう大きな人間に 私はなりたい!
(とよ)偉い! お見事! 十勝の女!
(妙子)これからは日本の女でしょ。 ねえ。
いや 世界の女を目指します。
大げさな…。
北大だもん大げさじゃないわよ 富士子さん。
ねえ タミさん。(タミ)ええ。
世界を平和にして下さい。(正治)それは大げさだろ。
よっ ガールズ・ビー・アンビシャス!
頑張れ~! 夕見子ちゃん!(拍手)
え~ そして… お前も頑張れ 雪次郎!
はい。
え~!おお~。
俺の目標は…北大出の夕見子ちゃんにおいしいって言ってもらえる十勝のお菓子を作ることです!
えっ… 何で? ダメかい?
目標が 大きいようで小さいもな。
あなたが言うことないでしょ。
菓子作りの基本はたった一人の客を思うことだ。
それでいい!そのお菓子には うちの牛乳使ってくれや。
もちろんです!よっ ボーイズ・ビー・アンビシャス!
ちょっと お義母さんそれ 意味分かってます?
少年よ 世界は広い 女は一人じゃない!
ん~… まあ 合ってます。(拍手と笑い声)
え~ じゃあ 最後に なっちゃん!はい。
ありがとうございます。
私の目標は 東京で漫画映画を作ることです。
あの… 戦争で死んだ父が書いた手紙にあの… 家族の絵があって私は 空想の中で それを動かしてました。
昔が 生き返ればいいなって…。
そん時から 漫画映画は私の中にあった夢だったような気がします。
天陽君の絵がその夢を 膨らましてくれました。
けど 現実の私を幸せにしてくれたのは柴田家の家族です。
できれば… 家族のそばで酪農を手伝いたいと思ってたことも本当です。
だから それを裏切るのはとても つらいけど…厚かましいけど…。
バカ。
今は…。
ありがとう なつ!
それは 裏切りじゃない。
それは 成長だ。9年前 まだ9歳でこの北海道まで来て 十勝に来てうちに来て ここまで成長してくれて本当にありがとう。
なつ… 父さんは本当にうれしい。
父さん…。(富士子)なつ。みんな応援してるから 元気に行っといで。
♪~
(天陽)なっちゃん今まで 本当にありがとう。
俺は なっちゃんが好きだ。
それは これからも変わらない。
(拍手)
ありがとう…。
♪~
(泣き声)
なつよ…その手に ふるさとを持っていけ。


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