松阪農業公園の基本理念
2016年1月1日更新
松阪農業公園ベルファームは、農業公園という新しい形態の市民公園として「地産地消」、「スローフード」をテーマに、「食育」、「緑育」の場を提供することを目的に設置されました。
松阪の豊かな自然環境や地域農業を活かし、「食育」、「緑育」を推進するとともに、「都市と農村の交流拠点」、「市民が自然や農業について学ぶ知的体験施設」としての基本コンセプトを実現することで、小さな生産者の育成、地域の農林水産業をはじめとする地域の経済的向上に 資することを使命としています。
現在のライフスタイルを見直し、安全・安心な食農環境を整えるべく、松阪の自然に恵まれたこの地を舞台に未来に向けてより望ましいライフスタイルを提案する場としての役割はますます大きくなっています。
沿革
- 平成16年
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開園、3年間は松阪市が100%出捐する財団法人ベルファームとして運営。
事業の柱はイングリッシュガーデン(有料)とお土産物売場(名称松阪商会)。 - 平成19年
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指定管理者制度の下、公募により我々株式会社松阪協働ファームが選定される。
5年間の任期。 - 平成24年
再公募により、引き続き10 年間の運営に携わることになる。
私たちが引き継いだ平成19年から改革を実施(下記列挙)
改革
私たちがめざしたのは市民がいつでも集える公園づくりでした。
私たちが引き継いだときのイメージは、市外や県外からの観光客を対象にして造られた施設であったと思われます。
そこで先ずは、松阪市民が集えて自慢できる施設であること、地域にとって必要とされる公園づくりを心がけました。
- 庭園の無料化
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四季折々に変化する庭園の様子を何時でも気軽に見ていただきたい。
- 直売所の建設
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新鮮なお野菜は毎日欲しいものです。地域農業の振興にも繋がります。
- 飲食施設
地元の農産物を使った野菜ソムリエランチや果物を使ったジェラート工房を立ち上げました。
近隣にある焼肉レストランを改装し、和牛を中心とした食べ放題のお店も運営しています。
焼肉レストランですがお野菜も美味しく食べていただけるのが特徴です。- 体験施設
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調理施設がなかった為、三重中京大学のご好意により、調理施設の寄贈を受けました。
それまで会議室であったアートホールを改装して学びの工房として再スタートしました。松阪の特産品でもある松阪牛やお茶、苺の振興を目的に、肉味噌作り、松阪牛ウインナー作り、お茶のシフォンケーキ作り、苺タルト作り等の企画を準備し、食を通して松阪の魅力を伝えています。当初は、地元の子ども会や労働組合等の皆さんにも呼びかけました。
その他、草木染め体験教室や運動器具を使用しない優しいフイットネス事業(ヨガ、太極拳、ストレッチ等)に取り組んでいます。
- 農場施設
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農場施設公園内には約3haの農場があります。
ここでは、米作り体験、芋掘り体験を始め、マイ農園(貸し農園)での年間を通した野菜作り、そして農水省の教育ファーム事業の認定を受けて、直売所の生産者組織(ベル農会)が地元の 子ども達と共に、大豆やさつま芋等をテーマにした作物の育て方、食べ方、文化について学ぶ体験教室にも取り組んでいます。
- イベント開催
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ベルファーム三大祭(周年祭、くるくる環境フェスタ、収穫祭)に、パンマルシェ、青空マルシェ、クラフト&雑貨マルシェ、手作り市、オーガニックマーケット、鮮魚市等大小100 近いイベントを年間開催しています。
マルシェ=市場、土の香りと出店者(生産者)とお客さんの会話が弾むイベントをめざしています。 - 「育」活動
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ベルファームが最も力を入れているのが「育」の活動です。花の育て方やガーデニング教室等を通じての緑育、料理教室を活用した味噌作りやパン教室、農と食を体験する食育、身体を動かして健康に年をとることを学ぶ健育があります。
また草木染め、和紙人形作り、押し花教室等文化活動にも取り組んでいます。
これまでを振り返って
ベルファームは市民の皆さんの貴重な税金で建設されました。
このことを私たちは重く受け止めています。
指定管理者制度は「官から民へ」の合言葉のもと、公共施設を民間が運営することで、市民サービスを向上させ、民間の知恵を活かして管理費(税金)を縮減する目的で取り組んでいます。運営管理費は年々縮減の努力をしています。(現在は財団運営時の半分以下で運営しています)
もっと収益性を高めて管理費を下げることはできませんか?とのご意見を頂くこともありますが、民間企業だからとはいえ利益の出ることであれば何をしても良いという環境にはありません。
松阪農業公園の設立趣旨から地域振興や地産地消等の事業に限られていることもあり、行政の土地で民業の圧迫に繋がるような事業も行えません。その上で私たちはベルファームのエリアの外に隣接するウエストパークで、焼肉レストランを営業していますが、一体運営を行うことで、ここで得られた収益も含めて管理費の縮減に充てさせていただいています。
広報はしていませんが、こうした企業努力もぜひ評価いただければと思います。
合わせて投資も積極的に行います。
全国の指定管理者制度の事例としては珍しいそうです。
民間組織だから管理費が安く出来るだろうと期待されることもありますが、行政でも民間企業が取り組んでも必要とされる費用はあまり変わりません。
23haの広大な敷地にある樹木は年々生長すると共に、景観を保つことが求められ、10年を経過して施設の修繕も増えてきました。
管理費を下げる為に働く人の労働条件を悪化させたり、取引業者の皆さんに犠牲を強いるようでは、本来指定管理者制度が目指している趣旨とは異なってきます。
その上で努力していることをいくつか報告します。
1.自主イベントは自前で行うこと
我々が主催する自主イベントは企画立案からテントの設営、撤収などの本来専門業者にお願いすることの多い作業も全て自分たちで行っています。
2.庭園を無料化したあとの管理方法
設立当初から有料だった庭園( イングリッシュガーデン)を、思いきって19年から無料化しました。
前年の8倍の来園者(年間16万人)が庭園を訪れ、市民の皆さんにも喜んで頂きました。
一方で多くの方が庭園に来られることで荒れてきて、管理が難しくなりました。
①庭園の管理におけるボランティア制度導入
庭園ボランティアさんを組織して、皆さんに除草や花苗、球根などの植え付け作業をお手伝いいただくことにしました。
現在は週1 回暑い夏も、寒い冬も年間を通して作業に携わって頂き、大変感謝しています。
②緑育基金活動
イングリッシュガーデンとしてスタートした庭園ですが、バラの品種は春のみ開花する一季咲き品種がほどんどでした。
春だけでなく秋にもバラが見たい、もっとたくさんの花が見たいとのご要望に応えるため、私たちはレジ袋の有料化に伴い削減した経費を積立て、緑育基金制度を設立。
合わせて新たに設置した飲料の自動販売機の利用手数料も全て緑育基金として積み立てています。
また自販機メーカーからは年に2回花苗を協賛頂いています。
3.国や県の補助制度の活用
専門家集団を目指す為には研修教育が必要ですが大きな経費もかかります。
そこで国や県の補助制度を活用して、野菜ソムリエの有資格者育成、バラの専門家育成の為研修やコンサルタントによる指導等様々な制度を有効利用しています。
4.地元協議会の皆さんとの連携
当初樹木・芝生・除草作業には二つの団体( 民間企業と地元協議会)にお願いしてきた経緯がありましたが、樹木が大きくなる中で、作業エリアや業務内容が重ることもあり、景観が悪くなり効率化が求められてきました。
23haの広大な園地の管理は機械化と合わせて、人海戦術が求められます。
そこで入札を行い結果として、ベルファームを囲む4 町( 伊勢寺・小阿坂・美濃田・野村)が組織するベルファーム地元協議会に、年間作業をお願いすることになりました。
定年退職した皆さんや女性の方の仕事興しに繋がったと喜んで頂いています。
またベルファームの委託事業を核に、よりいっそう地域活性化の取り組みに発展してもらいたいとの我々の要望も受けて27年に法人化されました。
これまでを振り返って
今私たちが大切だと考える活動の一つが、子どもたちと取り組む「教育ファーム事業」です。
毎年大豆やさつま芋をテーマに約半年間に渡って、地域の子供たちを対象に生産者が播種や苗植えから草取りや生育の様子を指導し、出来上がった作物を使って野菜ソムリエの指導の下に食べ方や栄養価、食文化に関わる事を教えています。
活動内容は記録として1,500 冊ほど報告書を作成し、参加できなかった近隣の子どもたちや行政機関に配布しています。
子どもの頃から地産地消に触れ合うことで、地元でこんなに美味しい物が作られていることを知り、農業への理解や生産者への感謝の気持ち、食への関心も高まります。
全国には250 万の株式会社が存在するといわれています。しつけや挨拶に始まって、学校だけでは学ぶことの出来ないことも、それぞれの企業が得意とする分野で関われたら、子育て中の親御さんを側面から応援できることになるのではと考えてます。
また、私たちの会社名は松阪協働ファームです。
協働の意味は、市民、NPO や行政、企業等様々な団体が、それぞれ単独では解決できない地域の課題に対して、協力し合いながらお互いを尊重し合い、補い合い、対等のパートナーとして、地域の活性化や地域の課題解決と言う共通の目的のために取り組んでいくことと定義されています。まさに松阪農業公園の運営そのものが協働です。
全国で取り組まれている指定管理者制度の一助となれば幸いです。
代表取締役 岩森政明
会社概要
- 会社名
- 株式会社 松阪協働ファーム
- 代表取締役
- 岩森 政明
- 設立年月日
- 2007年1月10日
- 出資者
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- ・株式会社松阪協働ファーム
- ・松阪農業協同組合
- ・松阪飯南森林組合
- ・NPO法人三重スローライフ協会
- ・株式会社第三銀行
- 資本金
- 420万円
- 従業員数
- 28名
視察のご案内
株式会社松阪協働ファームは平成19年1月10日に設立されました。
松阪農業公園ベルファームの指定管理者として管理運営に携わって10年を経過します。
自治体が住民の福祉増進を目的として設置した施設(「公の施設」)を、民間事業者・団体等を指定して管理運営させる制度を指定管理者制度と呼んでいます。
私たちはこの制度の下で公の持つ公共性を担保しながら、そして設立目的の範囲に逸脱しない事業を展開し、その成果として管理費(税金)の縮減に挑戦しています。
単に管理費の縮減だけでなく、松阪市民に愛される公園づくりをすすめながら、魅力ある飲食、店舗運営、体験や各種様々なイベント等を開催し、年間を通してより多くの方に来園いただける公園づくりをめざしています。
そこでこれまで取り組んできた活動を6つのテーマに分けて視察の受け入れを行います。
A.指定管理者制度の取り組み、経営について
B.直売所の取り組みについて
C.地域との関わりについて(地元協議会、ボランティア活動、NPOの取り組みなど)
D.集客について(広報やイベント、体験企画など)
E.飲食事業について(地産地消や食べ放題の焼肉レストランの運営について)
F.庭園、農場、農業について
別プランとして「イングリッシュガーデン ツアー/所要時間 約45分 料金/2,000円(バス1台につき)」もございます。
私たちの取り組みが少しでも皆様に参考いただければと思います。
なお、お時間の関係から、1回の視察は2テーマまでとさせて頂いています。
視察の進め方について
所要時間は約一時間を予定しております。こちらから資料に基づきまして30分間程度説明させて頂き、質疑応答に15分間、残り15分間は施設案内を予定しています。
視察料金(税込) お一人1,000円。10名様以上でお申し込み下さい。
10名に満たない場合は一律10,000円をいただきます。
イングリッシュガーデンツアーは別途下記内容で受け付けています。
- 所要時間
- 約45分
- 料金
- 一団体2,000円(バス複数台でご来園の団体は、バス一台につき2,000円)
視察お申し込み方法
先ずはお電話にて視察ご希望日の日程についてご確認下さい。
TEL:0598-63-0050
その上で別添の申込書に必要事項をご記入の上、FAXにて送付お願いします。
尚、ご不明な点がございましたら 事務所までお気軽にお電話下さい。