NNNのテレビ番組、「南京事件 兵士たちの遺言」の背景を製作者自らが解説した本だ。
南京虐殺が明確にあったことが、第一次資料によって実証されている。
そのデータは、きちんと残らず保存しておかなくてはいけない。
この本は、その貴重なデータ集でもある。
時間を見て一覧リストをつくりたい。
番組が作られ放送され、その反響も含めて、戦後70年という時期の時代の記録にもなっている。
ベトナム戦争における米軍のソンミ村虐殺事件に触れて書かれている、次の一言は、名言だ。 p213
世界の警察を自負してきた米軍。
それでも戦争とは、このように無差別殺人に発展する。
そしてその「戦争の始まり」とは、つまりは政治の失敗だ。
結果、殺されるのはいつも弱者であり、殺すのは命をうけたものになる。
戦争とは政治の失敗である。
クラウゼビッツは「戦争は政治の継続」と言った。そこには戦争への肯定感が残っている。
著者の清水氏は、南京を含めて数多くの虐殺を調べてきて、踏み込んだ表現で、戦争を政治の失敗と規定している。
戦争をしないこと、しないようにすることこそが、政治の役割だといった菅原文太さんの言葉を思い出す。