【大相撲】貴景勝きょう再出場、4日前痛めた右膝大丈夫? 判断間違い指摘も2019年5月19日 紙面から
◇夏場所<7日目>(18日・両国国技館) 5日目から途中休場していた大関貴景勝(22)=千賀ノ浦=が、19日の8日目から再出場することを決めた。大関の再出場は、15日制が定着した1949年5月場所以降では51年1月場所の汐ノ海以来で2人目。ここまで3勝2敗2休の新大関が、勝ち越しを目指して異例の土俵に上がる。取組では横綱鶴竜(33)=井筒=と関脇栃ノ心(31)=春日野=が全勝を守った。 大関の地位を傷つけるリスクは承知の上。貴景勝が、かど番回避へ異例の再出場を決断した。ここまで3勝で残り8番。痛めた右膝にムチを打って勝ち越しを目指す。ただ、患部が限界を迎えれば横綱、大関では初の再休場という不名誉な結末が待つ。かど番以上の重圧とも戦うことになりかねない。 既定路線だった全休を、直談判で覆した。休場初日だった17日深夜、「内側側副靱帯(じんたい)損傷で今後約3週間の加療を要する見込み」と診断された右膝に腫れを抑える注射を打ち、東京都台東区の千賀ノ浦部屋へ向かった。師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)の眼前で、右脚の曲げ伸ばしやそんきょをして痛みが引いたことをアピール。「自分の相撲を取れます」と再出場を訴えた。 それでも、負傷からわずか数日。回復具合は不透明だ。大関から報告を受けた親方によると、右膝の磁気共鳴画像装置(MRI)検査では半月板に損傷はなかったものの、前十字靱帯などへのダメージは不明という。 横綱審議委員会の元委員長で、整形外科が専門の守屋秀繁・千葉大名誉教授はこの日、いきなり両国国技館内の記者クラブに現れて取材に対応。「一般論として、(靱帯の損傷が)内側だけであっても3、4日で出てくるのは間違い」と警鐘を鳴らした。 場所前から「自分を大関と思わずに」と平常心を強調してきたが、強行出場でぶざまな姿をさらせば、大相撲の看板の地位を揺るがしかねない。阿武松審判部長(元関脇益荒雄)の「出るからには、良い相撲を取らないといけない。取れると判断して、出場に踏み切ったのだから」という言葉が重く響く。 15日制が定着した1949年5月場所以降、大関の再出場は51年1月場所の4~7日目を休場した汐ノ海以来、68年ぶり2人目となる。全盛期を過ぎていた汐ノ海は翌場所で現役引退したが、幕内最年少の貴景勝はまだ22歳。力士生命を左右するかもしれない決意を胸に、手負いの新大関が再び出陣する。 (志村拓)
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