東京 日本橋で「新しい茶道」を体験。テーブルで行う「茶論」の稽古って?
「抹茶は好き。作法にどぎまぎせずに、サッと飲んだり点てたりできたらかっこいい。
でも‥‥」
正座は苦手。覚えることが多くて、師弟関係も大変そう。
そんな何かと敷居の高いイメージのあった茶道を、テーブルで気軽に学べるお店が9月25日、東京日本橋にオープンしました。
その名も「茶論 (さろん) 日本橋店」。
4月に奈良にオープンした奈良町店に続いて、東京へは初進出となる、お茶の稽古・喫茶・茶道具のお店です。
運営するのは、お茶道具にも用いられる「奈良晒」の商いで奈良に創業した中川政七商店グループ。
「テーブルで行う茶道」、一体どんなものなのか。一足早く、さんち編集部で体験稽古に行ってきました!
駅直結の茶道教室
やってきたのは東京メトロ「日本橋」駅直結の⽇本橋髙島屋S.C.新館。9月25日にグランドオープンしたばかりです。
エスカレーターでお店のある4階に向かうと、立派な石造りのお店が見えてきました。
編集部を代表して「初級コース」の体験稽古に参加するのはデスクの清原。
実は元茶道部なのですが、社会人になってからはお茶を点てる機会もなかなか無かったと言います。
清原「もうすっかり離れてしまっているので、久々にお抹茶が飲めるの、嬉しいです!」
一度はお茶を経験したことがあるけれど、という人、意外と多いかもしれませんね。早速店内に入ってみましょう!
ネット予約で通う茶道教室
店内は日本的な趣のあるカフェといった雰囲気。
茶論 喫茶スペース
喫茶や稽古で提供される「本日の主菓子」が美しく並んでいます
カウンターの中では、喫茶のお客さんのためにお茶を点てているところでした。手慣れた姿がかっこいい
カウンターの奥に抹茶碗が並んでいるのも新鮮です
「いらっしゃいませ」
レストランのように、カウンターで受付します。
実は体験稽古の申し込みはネット予約。本番のコースでも固定のお稽古日はなく、稽古が始まる2時間前まで予約可能なのだそう。今までの「茶道教室」のイメージとのギャップに驚きました。
アートギャラリーのような「見世」
「お席にご案内するまで、よかったら店内をご覧になってお待ちください」
スタッフさんが指し示したのは、お茶を楽しむ道具や器が並ぶ「見世 (みせ) 」のゾーン。
お稽古や喫茶のついでにお買い物ができる「見世 (みせ)」
茶論オリジナル商品や作家さんの一点ものも。好きに手にとって見ることができます
ずらりと並んだお茶缶がかわいい
佇まいの美しい茶筅もさりげなく置かれて、アートギャラリーのよう
ぶらぶらと眺めているうちに、
「お待たせしました。こちらへどうぞ」
お店の奥、「稽古場」へ案内されました。
壁には掛け軸やお花も
障子も畳もありません。本当に、テーブルの席で、いよいよ稽古が始まります!
テーブルに、大きなテレビ画面。何から何まで「茶道」っぽくないですが‥‥!?
師弟関係や流派を持たずに学ぶ茶道
西さん「今日の稽古を担当させていただく西です。よろしくお願いします」
奈良の1号店でも講師を経験された西さん。懐紙が懐に入るようになっている茶論オリジナルのシャツがよくお似合いです
茶論ではいわゆる「先生」との師弟関係はなく、「講師」は部活で言うところのコーチといった関係性だそう。
「◯◯流」といった流派も茶論にはなく、各派に通じる茶道の基本を教えてくれるというのがユニークです。
白湯にシソを浮かべた「香煎 (こうせん) 」で喉を潤していると‥‥
小さな箱から何かを取り出していきます
ピンと張った帛紗をさばいて‥‥
お湯を注ぐのは電気ポットです
あっという間にきれいなお抹茶が!
流れるような手つきでお茶を点ててくれました。所作がとてもきれいです。
西さん「どうぞ」
早速一服目をいただきます
いただく際の作法も教えてもらいました
時計回りに「2時から5時へ2度」回して‥‥
清原「美味しい。抹茶味のものって最近多いですけど、本物の抹茶をいただけるって、嬉しいですね」
座学はスライドで
雰囲気もほぐれたところで、ここからは初級コースを少し先取りして、茶道の歴史を学ぶ座学の時間。
前方の大きな画面スライドを使って講義が進んでいきます。
本当に何から何まで現代的です!
Q&A形式で西さんとも会話をしながら進み、教室は終始なごやかムード。
へぇ、という豆知識も
清原「知っていると、ちょっと鼻が高くなりますね。人に教えたくなります」
茶道の基礎知識を身につけて、最後はいよいよ自分でお茶を点てます!
お茶の前にいただくお茶菓子は、奈良の名店「樫舎 (かしや) 」さんによるもの。季節によって変わるそうなので、「毎回どんなお菓子が出るか、楽しみになりそう」 (清原)
自分で点てたお茶は美味しい。
稽古のしめくくリは自分でお茶を点ててみる体験です。
いよいよ自分で点ててみます!
茶筅を持つポイントを教えてもらいました
こう持って‥‥と西さんの手つきを真似て実践
ふくふくと泡立ってきました
すっと茶筅を抜いて‥‥
完成!
お味はいかがでしょう。
清原「自分で点てると格別に美味しく感じます (笑)
それと、自分でやってみると西さんのお点前の所作が改めて、きれいだったなぁと。もっと自分もきれいにできるようになりたいって思いますね」
西さん「ありがとうございます。そういう、おもてなしを志す『心』と、先ほどの座学で学んだような『知』、お点前などの『型』、この3つをバランスよく学ぶことを、茶論では大事にしているんです」
カリキュラムは裏千家・芳心会を主催する木村宗慎氏監修のもの。
気軽に学べるシステムで、茶道の基本をしっかり学べる、というのが嬉しく思いました。
体験を終えて‥‥
あっという間の90分の体験稽古でした。
清原「お店の雰囲気も稽古の内容も、固すぎず・カジュアル過ぎずなのが私にはほどよく感じました」
不思議と「喫茶」や「見世」も、体験を終えた後ではまた違って見えてきます。
菓子切りとお菓子器。季節やお菓子に合わせて組合せを変えて楽しむそう
先ほど稽古で使った茶筅。稽古は手ぶらで参加できますが、体験していくとマイ茶筅が欲しくなりそうです
懐紙入れにも色々なデザインが
手持ちの道具を持ち運ぶ数寄屋袋 (すきやぶくろ) を、日常使いする方も結構いらっしゃるんですよ、とスタッフさんが教えてくれました
予約なしで美味しいお茶を楽しめる「喫茶」には、単品のメニューの他に本格的なお茶の「コース」も。こちらは茶道の茶会にならって季節の主菓子・濃茶・干菓子・薄茶と順に味わえる「茶事」の一コマ
薄茶と一緒に味わうお干菓子には、中川政七商店ゆかりの鹿マークが
稽古は最終19:15スタートの回まであるので、仕事帰り、デパートに寄ったついでに通えるというのも嬉しいところ。
他にも月謝でなくチケット制なこと、お店を変えても稽古の続きができるなど気軽に学べる仕組みに、「茶道をもっと身近に楽しんでほしい」という心意気を感じました。
茶道に興味はあるけれどちょっと敷居が高いなぁ、と感じている人には、ピッタリかもしれません。一度体験してみては?
<取材協力>
茶論 日本橋店
東京都中央区⽇本橋2-5-1 ⽇本橋店髙島屋S.C.新館4F
https://salon-tea.jp/
営業時間:「稽古」10:30〜21:00、「喫茶」「⾒世」10:30〜20:00 *売り場によって営業時間が異なります
定休⽇:施設の店休⽇に準ずる
画像提供:道艸舎