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2019-05-18

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・「ひとり焼肉」にいい店があると教えてもらった。
 おいしい肉を、一枚単位で注文できて、
 ひとりでそれを好きなように焼いて食べるという。
 それはいいな、と思ったのだけれど、
 考えてみたら、ふたりでも三人でも行けるので、
 そういうふうに行くことになるかもしれない。

 焼肉には、ひとりで行くことはあんまりないが、
 珈琲店にひとりで入って時間を過ごすのは、
 だれにでもふつうにあることだ。
 ラーメンを食べに行くことについては、
 ぼくの場合、圧倒的にひとりで行くことが多い。
 ついでに言うと、ぼくは酒をのまないので、
 居酒屋だとか、酒を飲む人の多い小料理屋とかには、
 どうしても入れないままでいる。
 友人にも飲まない人間が多いので、
 「ああいうところ、行けないんだよなぁ」と、
 残念がったりしながらも、そっちに足が向かない。

 つい先日も「ひとり旅」をしたのだけれど、
 これも、なかなか快適なたのしみなのであった。
 「退屈しないですか?」と、よく訊かれるが、
 スマートフォンのあるいま、退屈のしようもない。
 友人に連絡もできるから、ムダ話だってできるし、
 SNSでまぬけなことをおしゃべりしててもいい。
 さらには、Kindleに本が入っているのだから、
 それを読んでいれば図書館で読書しているのと同じ。

 「ひとりなんとか」のよさは、なによりも、
 ハズレくじを引けるということだと思っている。
 道に迷おうが、まずいものを食おうが、
 バスに乗り遅れようが、非常識な宿に泊まろうが、
 じぶんが「ま、いいよな」と思えば、それでいい。
 ハズレに、他人を巻き込むのは申しわけないけれど、
 じぶんひとりが失敗するだけなら、
 覚悟さえしていたらなんでもないことである。
 「ハズレ、失敗、なんでもない」をすべて避けたら、
 なんの経験もできないはずだ。
 「みんなの認めることばかりをしない練習」として、
 「ひとりなんとか」は、もっとやってもよさそうだ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
あ、今日もぼくは「ひとり原稿書き」をしておりました。


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