微生物活性剤、環境浄化方法、および、環境浄化システム

【課題】環境浄化能力をより高める。
【解決手段】本発明の微生物活性剤は、TCAサイクルのメンバーと、アミノ酸と、ビタミンBと、を含有している。TCAサイクルのメンバーは、例えばリンゴ酸,コハク酸,クエン酸であり、アミノ酸は、例えば遊離アルギニン,遊離フェニルアラニン,遊離アスパラギン酸,L-アラニン,β-アラニン,グルタミン酸,アミノ酪酸である。ビタミンBは、例えばビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12,これらの混合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境浄化用の微生物を活性化する微生物活性剤、並びに、微生物を用いて処理対象地の環境を浄化する環境浄化方法、および、環境浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
処理対象液中に存在する微生物を活性化し、環境を浄化する環境浄化方法は、バイオ・スティミュレーションとも呼ばれている。この環境浄化方法は、栄養源や酸素を処理対象液に加えることで、処理対象液中に存在する微生物を活性化する。そして、この環境浄化方法は、設備の簡素化が図れる等の利点があるため、さらなる技術的進展が期待されている。そのような中、アラニンやアミノ酪酸を含有する微生物活性剤を用い、この微生物活性剤を投与することで環境を浄化する環境浄化方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。この浄化方法では、アラニンやアミノ酪酸によって、TCAサイクルを行う微生物を積極的に活性化でき、浄化を促進することができる。
【特許文献1】特開2005-224163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような環境浄化方法を普及させるためには、微生物活性剤が重要な要素となる。すなわち、微生物活性剤を改良することで、環境の浄化能力を一層高めることができる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、環境浄化能力をより高めることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鋭意検討を重ねた結果、本件の発明者等は、TCAサイクルのメンバー(TCAメンバーともいう)やアミノ酸に加えて、ビタミンBを微生物活性剤に含ませることで、微生物を積極的に活性化できるという知見を得て、本発明を完成させるに至った。
すなわち、前記課題を解決するための主たる発明は、
TCAサイクルのメンバーと、
アミノ酸と、
ビタミンBと、
を含有する微生物活性剤である。
【0006】
本発明の他の特徴については、本明細書および添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、環境浄化能力をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0009】
すなわち、TCAサイクルのメンバーと、アミノ酸と、ビタミンBと、を含有する微生物活性剤が実現できること。
このような微生物活性剤によれば、ビタミンBにより、タンパク質、糖質、脂質等の有機物がTCAサイクル内に効率よく取り込まれる。加えて、TCAサイクルのメンバー、アミノ酸によっても、TCAサイクル内の反応を積極的に生じさせることができる。その結果、TCAサイクルを行う微生物を増やすことができる。
【0010】
かかる微生物活性剤であって、界面活性剤を含有することが好ましい。
このような微生物活性剤によれば、界面活性剤によって有機物を細分化できるため、有機物を分解させやすくすることができる。
【0011】
かかる微生物活性剤であって、前記ビタミンBは、ビタミンB1であることが好ましい。
このような微生物活性剤によれば、ビタミンB1によって微生物が活性化されるため、環境浄化能力をより高めることができる。
【0012】
かかる微生物活性剤であって、前記ビタミンBは、ビタミンB2であることが好ましい。
このような微生物活性剤によれば、ビタミンB2によって微生物が活性化されるため、環境浄化能力をより高めることができる。
【0013】
かかる微生物活性剤であって、前記ビタミンBは、ビタミンB6であることが好ましい。
このような微生物活性剤によれば、ビタミンB6によって微生物が活性化されるため、環境浄化能力をより高めることができる。
【0014】
かかる微生物活性剤であって、前記ビタミンBは、ビタミンB12であることが好ましい。
このような微生物活性剤によれば、ビタミンB12によって微生物が活性化されるため、環境浄化能力をより高めることができる。
【0015】
かかる微生物活性剤であって、前記ビタミンBは、ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12の混合物であることが好ましい。
このような微生物活性剤によれば、ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12の混合物によって微生物が活性化されるため、環境浄化能力をより高めることができる。
【0016】
かかる微生物活性剤であって、前記TCAサイクルのメンバーは、リンゴ酸,コハク酸,クエン酸の少なくとも1つを含むことが好ましい。
このような微生物活性剤によれば、リンゴ酸,コハク酸,クエン酸の存在により、TCAサイクルが直ちに進み、TCAサイクルを行う微生物が活性化される。このため、環境浄化能力をより高めることができる。
【0017】
かかる微生物活性剤であって、前記アミノ酸は、遊離アルギニン,遊離フェニルアラニン,遊離アスパラギン酸,L-アラニン,β-アラニン,グルタミン酸,アミノ酪酸の少なくとも1つを含むことが好ましい。
このような微生物活性剤によれば、遊離アルギニン,遊離フェニルアラニン,遊離アスパラギン酸,L-アラニン,β-アラニン,グルタミン酸,アミノ酪酸の存在により、TCAサイクルを行う微生物が活性化される。このため、環境浄化能力をより高めることができる。
【0018】
また、処理対象液を採取するステップと、TCAサイクルのメンバー、アミノ酸、および、ビタミンBを含有する微生物活性剤を、採取された前記処理対象液に投与して、前記処理対象液に存在する微生物を活性化させるステップと、活性化された前記微生物を含む処理対象液を処理対象地に排出するステップと、を有する環境浄化方法を実現することができる。
【0019】
また、処理対象液を採取する採取部と、TCAサイクルのメンバー、アミノ酸、および、ビタミンBを含有する微生物活性剤を、採取された前記処理対象液に投与して、前記処理対象液に存在する微生物を活性化させる微生物活性化部と、活性化された前記微生物を含む処理対象液を処理対象地に排出する排出部と、を有する環境浄化システムを実現することができる。
【0020】
===微生物活性剤について===
まず、微生物活性剤について説明する。この微生物活性剤は、処理対象液中に含まれる微生物を活性化するために用いられる。例えば、河川を流れる水、調理廃水、家畜のふん尿を含む廃水中に含まれる微生物を活性化する際に用いられる。そして、活性化された微生物を含む処理対象液は、環境を浄化するために用いられる。例えば、河川や下水に排出されることで、これらの河川や下水を浄化する。つまり、活性化された微生物によって、河川や下水に含まれる有機物を、水と二酸化炭素に分解する。本実施形態の微生物活性剤は、例えば、次の表1に示す組成を有している。
【0021】

【0022】
例示した微生物活性剤には、界面活性剤と微生物栄養成分(有機物の分解に伴って微生物で消費される成分をいう。)とが含まれており、残余が純水である。そして、微生物栄養成分としては、TCAサイクルのメンバー、アミノ酸、および、ビタミンBが含まれている。この微生物活性剤は、微生物栄養成分として、TCAサイクルのメンバーやアミノ酸とともに、ビタミンBが含まれていることが特徴となっている。なお、このビタミンBについては、後で詳しく説明する。
【0023】
<界面活性剤について>
界面活性剤は、処理対象水に含まれる有機物(特に油分)を細分化する機能を有する。この界面活性剤は、例えば油分の凝集を解いて水中に分散させる。この界面活性剤により、有機物を微生物に分解させやすい状態にできる。その結果、微生物による有機物の分解を促進することができる。
【0024】
例示した微生物活性剤には、界面活性剤として、エトキシアルコール,ノニルフェノキシポリエトキシエタノール,ココアミドベタイン,ココナットジエタノールアミド,ドデシルベンゼンスルホン酸が含まれている。そして、界面活性剤の含有量は2.7%(重量%)である。なお、この含有量は一例であり、この量に限定されるものではない。例えば、この量の0.5倍から1.5倍の範囲であれば同様の作用効果が期待できると考えられる。すなわち、界面活性剤の許容含有量は1.35%以上4.05%以下である。
【0025】
<TCAメンバーについて>
TCAメンバーとは、TCAサイクルの過程で生成される物質を意味する。図1に示すように、このTCAメンバーは、クエン酸、cis-アコニット酸、イソクエン酸、2-オキソグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸が該当する。ここで、TCAサイクルについて簡単に説明する。TCAサイクルは、微生物の細胞内で行われるものであり、呼吸、すなわち生体における有機物の完全酸化に大きな役割を持つ代謝回路である。このTCAサイクルは、糖或いは脂肪酸の分解により生成されたアセチルCoAがオキサロ酢酸と縮合してクエン酸を生じることで始まる。そして、TCAサイクルは、諸種のトリカルボン酸とジカルボン酸を含む脱水素、脱炭酸などの諸反応からなる環状の過程である。このTCAサイクルが一巡すると、アセチル基が完全酸化されて水と炭酸になり、再びオキサロ酢酸を生成する。すなわち、TCAサイクルでは、クエン酸がcis-アコニット酸を経てイソクエン酸になる。このイソクエン酸が2-オキソグルタル酸を経てコハク酸になる。そしてコハク酸がフマル酸を経てリンゴ酸となり、リンゴ酸がオキサロ酢酸になる。
【0026】
そして、本実施形態の微生物活性剤には、これらのTCAメンバーのうち、リンゴ酸とコハク酸とクエン酸が含まれている。このため、微生物活性剤を投入すると、TCAサイクルが比較的短時間で動き出すと考えられる。すなわち、微生物がリンゴ酸を取り込むことにより、オキサロ酢酸が生成される。また、微生物がコハク酸を取り込むことにより、フマル酸が生成され、ひいてはリンゴ酸が生成される。同様に、微生物がクエン酸を取り込むことにより、イソクエン酸への変換が開始される。従って、微生物活性化剤にこれらの成分を含ませたことにより、TCAサイクルを行う微生物を積極的に活性化できる。これにより、有機物の分解を促進することができる。
【0027】
なお、微生物活性剤に含ませるTCAメンバーは、リンゴ酸、コハク酸、および、クエン酸に限定されるものではない。他のTCAメンバーであってもよい。また、TCAメンバーの組み合わせも変更することができる。要するに、他の構成成分との兼ね合いで、微生物の活性化度合いが高くなるものを選択すればよい。このような観点から本実施形態の微生物活性化剤では、TCAメンバーとして、リンゴ酸、コハク酸、および、クエン酸を含ませている。
【0028】
また、TCAメンバーの含有量は、3つの物質の合計で550ppmであるが、この量に限定されるものではない。界面活性剤と同様に、この量の0.5倍から1.5倍の範囲であれば同様の作用効果が期待できると考えられる。この考え方に従えば、TCAメンバーの許容含有量は275ppm以上825ppm以下となる。
【0029】
<アミノ酸について>
アミノ酸は脱アミノ化されることによってTCAメンバーとなる。そして、生成されたTCAメンバーがTCAサイクル内に取り込まれることで、微生物が活性化され、有機物の分解を促進することができる。本実施形態の微生物活性化剤には、アミノ酸として、遊離アルギニン、遊離フェニルアラニン、遊離アスパラギン酸、L-アラニン、β-アラニン、グルタミン酸、および、アミノ酪酸が含まれている。以下、図1を参照してこれらのアミノ酸について説明する。
【0030】
遊離アルギニンは、オルニチンサイクル(尿素サイクル)内に取り込まれることで、オルニチンを経由してシトルリンとなる。そして、シトルリンとアスパラギン酸によってアルギニノコハク酸が生成され、フマル酸が生成される。このフマル酸はTCAメンバーの1つであるため、TCAサイクルを積極的に活性化できる。
【0031】
遊離フェニルアラニンは、酸化されてチロシンになる。その後、フマリルアセト酢酸を経て、フマル酸とアセト酢酸になる。従って、遊離フェニルアラニンの存在により、フマル酸の生成が促進され、TCAサイクルを積極的に活性化できる。
【0032】
遊離アスパラギン酸は、前述したように、シトルリンとともにアルギニノコハク酸の生成に用いられる。また、アスパラギン酸は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼによるアミノ基転移反応により、オキサロ酢酸にもなる。従って、遊離アスパラギン酸の存在により、フマル酸やオキサロ酢酸の生成が促進され、TCAサイクルを積極的に活性化できる。
【0033】
L-アラニンは、ピルビン酸を経てオキサロ酢酸となる。すなわち、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼにより、L-アラニンとグリオキシル酸とからピルビン酸が生成される。そして、ピルビン酸は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼにより、アセチルCoAとなる。このアセチルCoAは、前述したように、オキサロ酢酸と縮合してクエン酸を生じる。従って、L-アラニンの存在により、TCAサイクルを積極的に活性化できる。
【0034】
β-アラニンは、アミノ基転移反応により、マロン酸セミアルデヒドとなる。そして、このマロン酸セミアルデヒドは、脱炭酸されてアセチルCoAとなる。そして、前述したように、アセチルCoAは、オキサロ酢酸と縮合してクエン酸を生じる。従って、β-アラニンの存在により、TCAサイクルを積極的に活性化できる。
【0035】
グルタミン酸は、脱アミノ化されてα-ケトグルタル酸(2-オキソグルタル酸)になる。このα-ケトグルタル酸は、TCAサイクルの一物質であるため、TCAサイクルを行う微生物を積極的に活性化できる。グルタミンとα-ケトグルタル酸との反応は可逆的である。このため、グルタミン酸が増えることにより、或いは、α-ケトグルタル酸が消費されることにより、α-ケトグルタル酸が生成されることになる。従って、グルタミン酸の存在により、TCAサイクルを積極的に活性化できる。
【0036】
アミノ酪酸(4-アミノ酪酸)は、コハク酸セミアルデヒドを経由してコハク酸となる。これらの反応は、可逆的であるため、アミノ酪酸の増加により、或いは、コハク酸が消費されることにより、コハク酸が生成されることになる。また、アミノ酪酸は、4-ヒドロキシ酪酸を経て4-ヒドロキシブチリルCoAとなるが、その際にアセチルCoAを生成する。前述したように、アセチルCoAは、オキサロ酢酸と縮合してクエン酸を生じる。従って、アミノ酪酸の存在により、コハク酸やアセチルCoAが生成され、TCAサイクルを積極的に活性化できる。
【0037】
これらの中で、遊離アルギニン、遊離フェニルアラニン、および、遊離アスパラギン酸は、総量として730ppmの濃度で含まれている。L-アラニンおよびβ-アラニンは、総量として100ppmの濃度で含まれている。また、グルタミン酸は200ppmの濃度で含まれており、アミノ酪酸は35ppmの濃度で含まれている。これらの各物質も、界面活性剤やTCAメンバーと同様に、これらの量の0.5倍から1.5倍の範囲であれば同様の作用効果が期待できると考えられる。この考え方に従えば、遊離アルギニン、遊離フェニルアラニン、および、遊離アスパラギン酸の許容含有量は、365ppm以上1095ppm以下となる。L-アラニンおよびβ-アラニンの許容含有量は、50ppm以上150ppm以下となる。グルタミン酸の許容含有量は、100ppm以上300ppm以下となる。アミノ酪酸の許容含有量は、18ppm以上53ppm以下となる。
【0038】
<微生物栄養成分について>
前述した微生物栄養成分について、特に有効な成分を見つけるべく、微生物の増殖に関する実験を行った。以下、この実験について説明する。この実験では、ビタミンBとしてビタミンB12を用い、アミノ酸としてアスパラギン酸を用いた。また、TCAメンバーとして、クエン酸、リンゴ酸、および、コハク酸を用いた。そして、(1)ビタミンB12、(2)アスパラギン酸、(3)クエン酸、(4)リンゴ酸、(5)コハク酸を選択的に混合して複数種類の栄養成分を作製し、栄養成分の種類毎に有用微生物の増殖状況を確認した。微生物活性剤と構成成分の関係は、表2に示すとおりである。なお、各栄養成分において構成成分は等量にした。
【0039】

【0040】
このように作製した6種類の栄養成分を、培養した有用微生物群の中に投与して増殖状態を確認した。今回の実験における微生物は、有用微生物群(今中菌)を培養したものを用いた。この微生物は、500mlの栄養水の中に、200ppmの濃度となるように微生物群を投与し、空気を通じながら1か月程度培養したものである。そして、実験に際しては、微生物が培養されている液を所定量の逆浸透水(RO水)で希釈したものを用いた。また、この実験では、栄養成分の濃度を、5ppm,10ppm,15ppmの3段階に変え、栄養成分の濃度に起因する増殖状態の違いについても確認した。
【0041】
なお、栄養成分を投与してからの培養時間は48時間とした。すなわち、微生物が培養されている液をRO水で希釈し、栄養成分を入れた後、空気を通じながら48時間に亘って培養したものを測定対象とした。そして、測定は、培地に塗末して微生物(細菌)を測定する塗末測定と、培地に塗末した後に培養する培養測定とを行った。実験結果を表3に示す。
【0042】
この表3において、[-]は、細菌が認められなかったこと(未発育であったこと)を意味する。[+]は、少量程度の細菌が認められたことを意味する。同様に、[++]は、中量程度の細菌が認められたことを、[+++]は、多量の細菌が認められたことを、それぞれ意味する。また、栄養成分0は比較例であり、ビタミンB12等の栄養成分を入れずに培養したものである。
【0043】

【0044】
表3の結果からわかるように、栄養成分を入れなかった場合(栄養成分0)には、微生物(細菌)は存在しなかった。すなわち、48時間の間に微生物は死滅したものと考えられる。そして、ビタミンB12を除く4つの成分から構成される栄養成分1において、各成分の濃度が低濃度であった場合(それぞれ5ppmの場合)、アクロモバクター・キシロソキシダンス(Achromobacter xylosoxydans)の成育が少量程度認められた。しかし、栄養成分1では、その濃度を高くした場合(それぞれ10ppm,15ppmの場合)において、微生物は存在しなくなっていた。また、ビタミンB12が含まれている栄養成分2~栄養成分5の場合、栄養成分2(アスパラギン酸なし)の10ppmや栄養成分5(コハク酸)の5ppmで微生物の死滅が確認されたものの、他の条件では微生物の成育が認められた。そして、各構成成分の濃度を15ppmに調整することにより、微生物の成育が認められた。さらに、上記5種類の構成成分を全て入れた栄養成分6でも、各濃度において微生物の成育が認められた。ただし、栄養成分6の15ppmでは、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)の生育が認められた。
【0045】
以上の結果より、微生物の生育にはビタミンB12が他の成分よりも顕著な作用をしていると考えられる。そこで、ビタミンB12を含むビタミンBの作用について検討した。以下、検討結果について説明する。
【0046】
<ビタミンBの概要について>
今回検討したビタミンBは、ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12である。まず、これらの成分について概略を説明する。
【0047】
ビタミンB1(チアミン)は、糖質を分解する酵素の補酵素として作用する。例えば、ATP(アデノシン3リン酸)と反応してピロリン酸エステル(チアミン2リン酸)となり、ピルビン酸の脱炭酸反応に寄与する。また、TCAサイクル内において、2-オキソグルタル酸の脱水素反応にも寄与する。さらに、ビタミンB1はアミノ酸代謝にも寄与する。従って、微生物活性剤にビタミンB1を含ませることにより、TCAサイクルを積極的に活性化できると考えられる。
【0048】
ビタミンB2(リボフラビン)は、ATPの働きでFMN(フラビンモノヌレオクチド)になる。また、FMNとアデニル酸(AMP)とが結合してフラビアンアデニンヌクレオチド(FAD)となる。そして、FADは、コハク酸デヒドロゲナーゼの補酵素として、TCAサイクルにおけるコハク酸からフマル酸への代謝において利用される。従って、微生物活性剤にビタミンB2を含ませることにより、TCAサイクルを積極的に活性化できると考えられる。なお、FADやFMNは、微生物内における酸化還元反応にも関与している。例えば、リン酸の代謝に寄与する。
【0049】
ビタミンB6(ピリドキシン)は、生体内でリン酸エステル化され、ピリドキサールリン酸(PLP)となる。このPLPは、アミノ酸の代謝において、アミノ基の転移や脱炭酸等の重要な働きをする。すなわち、補酵素としてタンパク質の代謝に寄与する。従って、微生物活性剤にビタミンB6を含ませることにより、タンパク質の代謝(分解)を促進することができると考えられる。
【0050】
ビタミンB12(シアノコバラミン)は、生体内で補酵素型に変換される。例えば、生体内の還元酵素によって還元され、その後、アデノシル化、メチル化されることで、補酵素型に変換される。そして、補酵素型の状態で生理活性を発揮する。このビタミンB12の作用は明らかではないが、ヒトにおいてはDNA合成に関与しているといわれることから、微生物においてもDNA合成に関与している可能性がある。例えば、細菌の体内で情報交換をする際に用いられていると考えられる。
【0051】
このように、ビタミンBは、タンパク質、糖質、脂質等の有機物の代謝に関与していると考えられる。従って、微生物活性剤にビタミンBを添加することにより、有機物がTCAサイクル内に効率よく取り込まれ、微生物の活性化を促進すると考えられる。
【0052】
<各ビタミンBによる生育効果について>
次に、各ビタミンBの微生物に対する生育効果について検討した。この実験では、培養した微生物(好気菌または嫌気菌)を含む水に、ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12,または、これらのビタミンの混合物であるビタミン剤(商品名:ビタノイリン)のいずれかを投入し、所定時間に亘って空気を通じて微生物の培養を行った。そして、所定時間の経過後、前述した塗末測定と培養測定とを行った。この実験において、投入するビタミンBの濃度は、1ppm,5ppm,10ppm,30ppm,50ppmの5段階に変えた。これにより、ビタミンBの濃度に起因する生育状態の違いについて確認した。そして、生育状態の測定は、ビタミンBを投入してから24時間後と48時間後とに行った。また、実験に用いた好気性の微生物は、有用微生物群(今中菌)を通気状態で1か月程度培養したものである。また、嫌気性の微生物は、有用微生物群を空気を遮断した状態で1か月程度培養したものである。なお、空気の遮断には、重油等の油分を用いた。
【0053】
そして、実験に際しては、微生物が培養されている液を所定量の逆浸透水で希釈したものと、所定量の逆浸透水で希釈したものに、界面活性剤およびビタミンB以外の栄養成分(表1を参照)を、1ppmの濃度で投入したものとを用い、それぞれについて実験をした。
【0054】
ビタミンB1を投与した際の実験結果を表4に、ビタミンB2を投与した際の実験結果を表5に示す。また、ビタミンB6を投与した際の実験結果を表6に、ビタミンB12を投与した際の実験結果を表7に、ビタミン剤を投与した際の実験結果を表8に示す。これらの表において、[-]は微生物が生育しなかったことを意味し、[±]は微生物が僅かに確認できたことを意味する。また、[+]はその数が多いほど微生物が多く成育したことを示し、最大は[++++]である。
【0055】

【0056】
以上の結果より、次のことが確認できた。まず、ビタミンB1に関し、好気性の微生物を活性化するためには、30ppm以上の濃度で投与することが好ましいことが確認できた。また、嫌気性の微生物に対しても同様であることが確認できた。そして、界面活性剤等との組み合わせに関し、好気性の微生物に対しては、50ppmの濃度の場合、界面活性剤等を投与した方が生育度合いが高くなっていた。一方、嫌気性の微生物に対しては、界面活性剤等を投与することで生育度合いが悪くなることが確認できた。
【0057】
ビタミンB2およびビタミンB6に関し、好気性の微生物を活性化するためには、30ppm以上の濃度で投与することが好ましいことが確認できた。一方、嫌気性の微生物を活性化するためには、1ppm~5ppm程度の低濃度で投与することが好ましいことが確認できた。そして、界面活性剤等との組み合わせに関し、好気性の微生物に対しては、5ppmの濃度で生育が多少よくなっているが、10ppmの濃度で生育が多少悪くなっている。加えて、30ppm以上の濃度では差がない。これらから界面活性剤等を加えたことによる効果は確認できなかった。また、嫌気性の微生物に対しては、10ppm以上において生育が多少よくなっていることが確認できた。
【0058】
ビタミンB12に関し、1ppmの低濃度から生育の改善が確認できた。なお、好気性の微生物では[+]であり、嫌気性の微生物では[++]であるため、目立った改善ではなかった。しかし、ビタミンB12に関しては、界面活性剤等との組み合わせで顕著な生育が確認できた。1ppmの低濃度であっても[+++]程度の生育が確認できた。また、10ppm以上において[++++]の生育が確認できた。そして、混合ビタミン剤でも同様の結果が得られた。これは、ビタミンB12に起因している可能性が高いと考えられる。
【0059】
以上の結果を総括すると、何れのビタミンBでも微生物の成育に効果があることが確認できた。そして、ビタミンB1,B2,B6に関し、好気性の微生物を生育させるためには、10ppm以上の濃度で投与することが好ましく、嫌気性の微生物を生育させるためには、5ppm以下の濃度で投与することが好ましいことが判った。また、ビタミンB12に関し、界面活性剤等との組み合わせによって、微生物の生育を促すことができることが確認できた。また、これらのビタミンBは、単体で投与しても混合して投与しても生育に効果が得られることが確認できた。この場合、ビタミンB12による影響が大きいことも確認できた。従って、微生物活性剤にビタミンBを含ませることで、微生物の活性化を促進できるといえる。ここで、ビタミンB1,B2,B6を含ませる場合には、活性化させる微生物の種類(好気性,嫌気性)に応じて、その濃度を調整することが好ましいといえる。また、ビタミンB12を含ませる場合には、界面活性剤等も含ませることが好ましいといえる。
【0060】
<透析廃液の浄化について>
前述の実験において、微生物活性剤にビタミンBを含ませることで、微生物の活性を促進できることが確認できた。この実験において、本発明者等は、微生物活性剤にビタミンBを含ませることで、透析廃液の中で有用微生物を生育できるという知見を得た。つまり、微生物によって透析廃液が浄化できるという知見を得た。以下、透析廃液の浄化について説明する。
【0061】
まず、透析液について説明する。透析液の一般的な組成性状は次のとおりである。透析液には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、無水酢酸ナトリウム、pH調整剤としての氷酢酸、炭酸水素ナトリウムが含まれている。また、必要に応じて、ブドウ糖が添加される。この透析液は、原液の状態で運搬等され、透析治療時に希釈される。そして、透析治療に用いられた透析液は、透析廃液として処理される。この透析廃液において、生物化学的酸素要求量(以下、BODともいう。)は、例えば、ブドウ糖なしの透析液で700ppm~800ppm程度、ブドウ糖100mg/dlの透析液で1300ppm~1500ppm程度、ブドウ糖150mg/dlの透析液で1900ppm~2300ppmとなる。
【0062】
そして、この透析廃液には、強酢酸系の消毒剤や次亜塩素酸系の消毒剤が混入されている。これらの消毒剤は、透析機器の消毒に用いられるものであり、微生物の活性を低下させる。従って、透析廃液の中へ単に投与した場合、微生物は、時間の経過とともに死滅してしまう。しかし、界面活性剤やアミノ酸とともにビタミンBを投与することにより、微生物は、透析廃液の中でも活性化されることが判った。
【0063】
以下、透析廃液における実験結果について説明する。透析廃液にビタミンB1を投与した際の実験結果を表9に、ビタミンB2を投与した際の実験結果を表10に示す。また、透析廃液にビタミンB6を投与した際の実験結果を表11に、ビタミンB12を投与した際の実験結果を表12に、混合ビタミン剤を投与した際の実験結果を表13に示す。これらの表において、[-]は微生物が生育しなかったことを意味し、[±]は微生物が僅かに確認できたことを意味する。また、[+]はその数が多いほど微生物が多く成育したことを示し、最大は[++++]である。
【0064】
なお、この実験において、使用した微生物や添加した界面活性剤等は、前述した実験のものと同じである。このため説明は省略する。
【0065】

【0066】
以上の結果より、次のことが確認できた。まず、いずれのビタミンBにおいても、ビタミンBだけを投与した場合には、透析廃液の中で微生物を生育させることができなかった。しかし、界面活性剤やアミノ酸等とともにビタミンBを投与することで、透析廃液の中であっても微生物を生育させることができた。特に、ビタミンB12や混合ビタミンB剤を投与した場合には、微生物の成育が顕著であった。これにより、透析廃液中のBODを600ppm以下に下げることができた。
【0067】
===廃液処理システムについて===
次に、上記の微生物活性化剤を用いた廃液処理システムについて説明する。ここで、図2は、施設から排出された廃液を処理するための廃液処理システム100を説明する図である。この廃液処理システム100は、地下に埋設されている液槽群110と、微生物活性剤を貯留する貯留タンク120とを有している。この廃液浄化システムに用いる微生物活性剤の組成は、前述したとおりである。すなわち、微生物活性剤は、TCAサイクルのメンバーと、アミノ酸と、ビタミンBとを含有している(表1を参照。)。また、液槽群110は、原水槽111と、調整槽112と、攪拌槽113と、第1曝気槽114と、第2曝気槽115と、処理水槽116とを有している。
【0068】
原水槽111は、廃液用配管117を通じて施設から排出された廃液(原水)を貯留するものである。すなわち、原水槽111と廃液用配管117は、処理対象液としての廃液を採取する採取部に相当する。この原水槽111には揚水ポンプP1が配置されている。この揚水ポンプP1は、原水槽111に貯留された廃液が所定レベル以上の場合に、廃液を調整槽112へ汲み上げる。
【0069】
調整槽112は、原水槽111から汲み上げられた廃液に、微生物活性剤REを投与するための部分である。この調整槽112と貯留タンク120との間には活性剤用配管121が設けられており、活性剤用配管121の途中には送液ポンプP2が設けられている。そして、送液ポンプP2を動作させることで、微生物活性剤REを調整槽112へ送っている。この調整槽112と攪拌槽113とを仕切る壁には、連通窓が設けられている。このため、調整槽112に溜まった液体(微生物活性剤REが投与された廃液)の液面高さが、この連通窓よりも高くなると、この液体はオーバーフローして攪拌槽113へ流出する。
【0070】
攪拌槽113は、微生物活性剤REが投与された廃液を攪拌するためのものである。本実施形態では、攪拌槽113の内部に1対の攪拌ポンプP3を配置し、これらの攪拌ポンプP3を動作させることにより、廃液を攪拌している。これにより、この攪拌槽113により添加された微生物活性剤REが廃液中に均等に混ざる。そして、攪拌槽113と第1曝気槽114を仕切る壁にも連通窓が設けられており、オーバーフローした液体(攪拌されている廃液)が第1曝気槽114へ流出する。
【0071】
第1曝気槽114は、空気を送り込んで微生物を活性化するためのものである。エアーポンプP4で圧縮された空気は、空気用配管118を通じて第1曝気槽114に送られる。そして、第1曝気槽114の底部には空気出口としての気泡生成板118´が配置されている。第1曝気槽114に送られた空気は、この気泡生成板118´から排出されるので、第1曝気槽114内の廃液がこの空気(気泡)によって攪拌される。この気泡による攪拌で廃液内の微生物が活性化される。ここで、本実施形態では、微生物活性剤REを投与しているため、微生物の活性度合いを、一般的な攪拌のときよりも高くすることができる。このようにして微生物が活性化された廃液は、第1曝気槽114と第2曝気槽115とを仕切る壁に設けられた連通窓を通じて第2曝気槽115へ流出する。
【0072】
第2曝気槽115も第1曝気槽114と同様の構成である。このため、第2曝気槽115でも、気泡による攪拌によって廃液内の微生物が活性化される。そして、第1曝気槽114と第2曝気槽115とを仕切る壁にも連通窓が設けられているので、オーバーフローした液体(微生物によって有機物が分解された廃液,処理水ともいう。)は、処理水槽116へ流出する。
【0073】
以上の説明から判るように、調整槽112、攪拌槽113、第1曝気槽114、第2曝気槽115、攪拌ポンプP3、エアーポンプP4等が、廃液(処理対象液)に存在する微生物を活性化させるための、微生物活性化部に相当する。
【0074】
処理水槽116は、処理水を貯留するためのものである。この処理水槽116には、揚水ポンプP5が配置されており、処理水が所定量以上貯留された場合に、処理水用配管119を通じて処理水を下水管に排出する。
【0075】
このような廃液処理システム100によれば、TCAサイクルのメンバーと、アミノ酸と、ビタミンBとを含有する微生物活性剤REを用いて廃液を処理しているので、微生物による処理能力を高めることができる。また、処理水中にも活性化された微生物が含まれている。このため、下水の浄化も行うことができる。
【0076】
===河川の浄化システムについて===
次に、河川の浄化システムについて説明する。ここで、図3は、河川の浄化システム200を説明する図である。この浄化システム200は、採取部210と、貯留タンク220と、浄化槽230とを有している。
【0077】
採取部210は、浄化対象となる水(処理対象水に相当する,浄化対象水ともいう。)を採取するものである。そして、採取部210は、採取用配管211と揚水ポンプP11とを有している。採取用配管211の一端は、河川を流れる水の中に入れられている。また、採取用配管211の他端は、浄化槽230に接続されている。そして、採取用配管211の途中には、揚水ポンプP11が取り付けられている。このため、揚水ポンプP11が動作すると、河川を流れている水の一部が、浄化対象水として浄化槽230に貯留される。
【0078】
貯留タンク220は、廃液処理システム100のものと同様に、微生物活性剤REを貯留するものである。そして、浄化槽230と貯留タンク220との間には活性剤用配管221が設けられており、活性剤用配管221の途中には送液ポンプP12が設けられている。従って、送液ポンプP12を動作させることで、微生物活性剤REを浄化槽230へ送ることができる。つまり、浄化対象水に微生物活性剤REを投与することができる。
【0079】
浄化槽230は、微生物活性剤REが投与された浄化対象水を空気(気泡)によって攪拌するものである。この浄化槽230の底部には気泡生成板231が設けられている。この気泡生成板231は、浄化槽230の外側に配置されているエアーポンプP13からの空気によって気泡を生成する。そして、浄化対象水の中に存在する微生物は、気泡による攪拌で活性化される。この場合にも、微生物活性剤REが投与されているので、微生物の活性度合いを、一般的な攪拌のときよりも高くすることができる。以上の説明からわかるように、この浄化システム200では、浄化槽230、気泡生成板231、エアーポンプP13等が、浄化対象水(処理対象液)に存在する微生物を活性化させるための、微生物活性部に相当する。
【0080】
この浄化槽230の側面には、排液用配管232が設けられている。排液用配管232の一端は、浄化槽230の側面の所定高さ(図示の例では、浄化槽230の高さの1/2程度の高さ)に設けられている。また、排液用配管232の他端は、河川の水面に臨んでいる。要するに、この排液用配管232は、途中から下方向に屈曲されている。従って、浄化槽230内における浄化対象水の水面が排液用配管232の高さに達すると、この排液用配管232を通じて河川に排出される。
【0081】
ここで、排液用配管232を通じて排出される浄化対象水(便宜上、処理水ともいう。)は、有機物が分解されたきれいなものである。加えて、この処理水は活性化された微生物を含んでいる。このため、排出された処理水に含まれる微生物が、河川を流れる水に含まれる有機物を分解する。その結果、河川の下流側においても流れる水を浄化できる。
【0082】
===その他の実施形態===
上記の実施形態は、微生物活性剤RE、微生物活性剤REを用いた廃水処理システム、および、微生物活性剤REを用いた廃水処理システムについて開示されているが、その中には微生物活性剤REを用いた処理対象水の浄化方法の開示も含まれている。なお、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0083】
例えば、グリストラップの浄化や家畜ふん尿の浄化に適した環境浄化システムや環境浄化方法にも本発明を適用することができる。
【0084】
また、開示された微生物活性剤REの組成は、あくまで一例であり、TCAサイクルのメンバーと、アミノ酸と、ビタミンBとが含まれる限り、構成成分や含有量を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】TCAサイクルを中心とする代謝を説明するための図である。
【図2】廃液処理システムを説明する図である。
【図3】河川の浄化システムを説明する図である。
【符号の説明】
【0086】
100 廃液処理システム,110 液槽群,111 原水槽,
112 調整槽,113 攪拌槽,114 第1曝気槽,
115 第2曝気槽,116 処理水槽,117 廃液用配管,
118 空気用配管,118´ 気泡生成板,120 貯留タンク,
121 活性剤用配管,
200 河川の浄化システム,210 採取部,220 貯留タンク,
221 活性剤用配管,230 浄化槽,231 気泡生成板,
232 排液用配管,P1 揚水ポンプ,P2 送液ポンプ,
P3 攪拌ポンプ,P4 エアーポンプ,P5 揚水ポンプ,
P11 揚水ポンプ,P12 送液ポンプ,P13 エアーポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TCAサイクルのメンバーと、
アミノ酸と、
ビタミンBと、
を含有する微生物活性剤。
【請求項2】
請求項1に記載の微生物活性剤であって、
界面活性剤を含有する、微生物活性剤。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の微生物活性剤であって、
前記ビタミンBは、
ビタミンB1である、微生物活性剤。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の微生物活性剤であって、
前記ビタミンBは、
ビタミンB2である、微生物活性剤。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の微生物活性剤であって、
前記ビタミンBは、
ビタミンB6である、微生物活性剤。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の微生物活性剤であって、
前記ビタミンBは、
ビタミンB12である、微生物活性剤。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の微生物活性剤であって、
前記ビタミンBは、
ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12の混合物である、微生物活性剤。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の微生物活性剤であって、
前記TCAサイクルのメンバーは、
リンゴ酸,コハク酸,クエン酸の少なくとも1つを含む、微生物活性剤。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の微生物活性剤であって、
前記アミノ酸は、
遊離アルギニン,遊離フェニルアラニン,遊離アスパラギン酸,L-アラニン,β-アラニン,グルタミン酸,アミノ酪酸の少なくとも1つを含む、微生物活性剤。
【請求項10】
処理対象液を採取するステップと、
TCAサイクルのメンバー、アミノ酸、および、ビタミンBを含有する微生物活性剤を、採取された前記処理対象液に投与して、前記処理対象液に存在する微生物を活性化させるステップと、
活性化された前記微生物を含む処理対象液を処理対象地に排出するステップと、
を有する環境浄化方法。
【請求項11】
処理対象液を採取する採取部と、
TCAサイクルのメンバー、アミノ酸、および、ビタミンBを含有する微生物活性剤を、採取された前記処理対象液に投与して、前記処理対象液に存在する微生物を活性化させる微生物活性化部と、
活性化された前記微生物を含む処理対象液を処理対象地に排出する排出部と、
を有する環境浄化システム。

【図1】

【図2】

【図3】