真っ向勝負でねじ伏せてみせた。栃ノ心が、関取最重量の227キロを誇る逸ノ城と右の相四つでがっぷり組み、持ち前の腕っ節を生かして寄り切り6連勝。意気揚々と引き揚げた支度部屋では、何度も左で握り拳をつくり「(腕が)パンパン。気持ちいいね」と笑顔を見せながら心地良い疲労に浸った。
「危なかったね。我慢して勝って良かった。うれしいね」
過去14勝5敗で、直近でも6連勝中だった合口の良い相手。盤石に見えた力比べの中に何度もピンチがあった。組み止めることを意識しすぎて当たりが鈍り、まわしへの指のかかりもいまひとつ。もろ差しとの選択を迫られる場面もあったが、右四つへの絶対の自信が最大の勝因になった。
初日からの6連勝は3度目。これまでは昨年初場所の初優勝、大関昇進を決めた同年夏場所と良いことずくめだ。帰り支度が整うと、徒歩での帰路の混雑を気にして「走っていこう」と冗談めかす余裕も出てきた。
1場所で大関に復帰するために必要な10勝は、通過点になりそうな充実ぶり。足取りも軽く、連勝街道を突っ走っていく。 (志村拓)