これは非常に問題で、陽明学って戦前のニューアカみたいなもので、なんでも結びつけて解釈されてたのよ。禅だとか武士道だとか西洋哲学とか。ところが陽明学の本質、伝習録についての研究が深まるのは戦後。三島の認識は戦前の通俗解釈を引きずったもので、誤解が多いことは以前から指摘されていた。
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小島毅氏の陽明学への言及は、学会誌でも「朱子学的アプローチをする小島氏」とわざわざ書かれるぐらいで微妙なのである。はじめ安岡正篤もすごく評価低かった。でもなあ。 安岡先生がいなければ多分陽明学は三島由紀夫の珍説だけで理解されてた
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もっとも王陽明や李卓吾そのものが一時期色んな思想をやっていたせいか、陽明学そのものが色んな思想（そのなかには諸子百家もキリスト教もイスラムも入っている）の影響があるから、もともと融通無碍ではあるんだよ。ところがそれを戦前の学者は全部流行りものにくっつけちゃうんだな。
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陽明学が戦前のニューアカだと書いたが、最大の違いはニューアカは種を割っても西洋哲学の切れっ端しか出てこないが、陽明学はなんやかんや言うても原典がどしっとあるところが圧倒的な違い。だから戦後は浮ついたニューアカ的言説を抜いた実証史学的研究が栄えた。
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既に安岡生前から「60年代のアメリカで禅がビートルズやヒッピーにもてはやされた結果、その流れで陽明ブームもあるが、やはり原典について理解しないと駄目だ。甚だしきは真を誤る」という本人の発言も残っており、トンデモ陽明学理解がかなりあったらしい。
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